マガジンのカバー画像

長夜の長兵衛 七十二候シリーズ <短編小説>

44
長夜の長兵衛 二十四節気シリーズに続き、七十二候のシリーズです。 短編の連作です。読み切りですので、どこからでも、お読みいただけます。全部地の文で出来ているこの世界は、一体いつ、…
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

長夜の長兵衛 朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)

  落葉衣  長兵衛っ、と、がなるのはまだ声変わりしておらぬ、男子子である。斜面に、坊が…

44

長夜の長兵衛 虹蔵不見(にじかくれてみえず)

  銀杏羽  白い月の前を、ぼんやりと鱗雲が流れてゆく。ちと、鱗が大きい。雨になるのやも…

40

長夜の長兵衛 金盞香(きんせんかさく)

  小春日  幹にくるり、銀兵衛は慣れた手つきで菰を巻き、縄をかける。長兵衛がもう一本縄…

43

長夜の長兵衛 地始凍(ちはじめてこおる)

  霜柱  縄を結び終え、軒先に下げた。  壮麗でございますね。長兵衛が言うと、お内儀は…

42

長夜の長兵衛 山茶始開(つばきはじめてひらく)

  留紺  峠の向こうで、日が傾き始めた。この調子なら、翳るまでに帰りつけることだろう。…

42