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11.ダイエット

「最近フードが美味しくてつい食べすぎちゃいました~」とか「最近ちょっとお腹周りが~」なんて思っている犬がいるのかどうかは置いといて……、「うちの子太っていますか?」とか「おやつを与えすぎてしまってダイエットさせなくちゃ!」といった、肥満やダイエットに関する相談を受けることが結構多くあります。どう見ても犬は肥満体ではなく、飼い主さんの取り越し苦労……というケースも多いのですが、それでもやっぱり万病の元「肥満」には注意しておいた方が良いですよね。

肥満度の判断は?

犬の「適正体重」って何でしょう? もともと骨が細い犬もいれば骨太の犬もいますし、筋肉質だったりぽちゃぽちゃだったり……、それぞれ個体差というものがあります。犬の肥満度は、一般的な犬種ごとの「適正体重」を基準に判断すべきものではないと思うのです。

では犬の肥満度はどのように判断されるべきか、といいますと、下にある通り、カラダを見たり触ったりしてその犬の体型を5段階で評価する「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」を基準にするのがもっともよい方法と思います。BCSでは、太りすぎはもちろんのこと、やせすぎも判断できます。

BCS表

犬が理想的な体型「BCS3」に当てはまれば、その犬の理想体重となり健康的でダイエットは必要ありませんよ、ということになります。「見た目」だけで決めるのではなく、体脂肪率や筋量判定も必要だと思われましたか? このような数値を気にし過ぎると、途中で飼い主さんの気持ちが折れちゃいますので、気楽に「見た目」で決めればいいんです。あとは、食事制限しても肥満が解消されない、食べても太らない、といった何かしらの病気が心配される時は、獣医さんに相談しましょう。いずれにしても、こと肥満度の判断においては「見た目」を大切にすることの方が重要です。

ただ、この「見た目」、人によって違うんですね。そこで、私たちは、飼い主さんだけでなく、私たちトレーナーやトリマー、獣医さんなど複数の目で判断することをおすすめしています。他人の評価を聞いて愕然とされる飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが……。

肥満を予防する散歩

もうひとつ大切なことがあります。この理想的な「見た目」を維持するために、適度な運動で筋肉量を維持し、増やすことです。加齢とともに筋肉量は減ります。筋肉量の減少は基礎代謝量の減少につながり、結果として肥満につながる可能性が高くなります。今は理想的な見た目でも、いつしか肥満になってしまうこともあるんです。肥満になりにくい健康なカラダを維持させるためにも、若いうちからその犬に応じた運動量を確保してあげることが、飼い主さんの務めでもあると考えています。

私たちは、犬にとっての適度な運動の基本を「散歩」だと考えているんです。なるべく立ち止まらない少し長めの早足散歩です。立ち止まってご近所さんとおしゃべりをする、少し歩いてベンチにすわる、などのような「癒しの散歩」ではなく、立ち止まらずに少し長めに早足で歩く「運動の散歩」です。「運動の散歩」は、犬にとってもヒトにとっても、有酸素運動になり筋力も鍛えられます。

思いっきり走ったり、坂道をダッシュ!する無酸素運動は、筋力を鍛える効果がありますし、スイミングは、水による浮力で膝への負担が軽く、四肢を前後に動かす全身運動にもなるので筋力強化と心肺機能が同時に鍛えられます。でも、これを毎日続けるのは飼い主さんがたいへんですよね。やっぱり飼い主さんも楽しめる適度な運動としておすすめできるのは、「少し長めの早足散歩」しかないと思うのですが、今まで「癒しの散歩」だった犬やヒトは、徐々に距離を増やしていくようにしましょうね。

適正体重より適正体型

犬も食べすぎや運動不足によって肥満になってしまうこともありますし、肥満を心配するあまり痩せすぎにしてしまうこともあります。その犬にとってどこが適正な体重なのか、本当にダイエットが必要なのか、もう一度愛犬の体型を見つめ直してみましょう。

WIZ-DOGドッグトレーナー 吉田 直美


科学的思考を育てるドッグトレーナースクール ウィズドッグアカデミー