見出し画像

10.DNAとタンパク質

タンパク質からタンパク質が作られる

おさらいです。

先回の記事で、食事として摂取されたタンパク質(摂取タンパク質)は、カラダの中でアミノ酸などに分解され(異化)、そのアミノ酸が体内でタンパク質(体内タンパク質)として合成される、ということを書きました。分解されたさまざまな種類のアミノ酸は体内をめぐっていき、肉を食べればそのまま自分の肉に、骨を食べれば自分の骨になる、というわけではありません。

消化吸収(異化)能力が悪くても、合成(同化)能力が悪くても、せっかく食事で摂取したタンパク質を体内で適切なタンパク質に変えることはできません。DMは、その合成過程、つまり、タンパク質が分解される異化期ではなく、タンパク質が作られる同化期に問題があると疑われています。

子は親に似る

ヒトのカラダも犬のカラダもほぼタンパク質でできています。髪の毛も目も内臓も皮膚も骨も筋肉も靭帯も血液も、水分を除くとカラダ全体のほとんどの構成部分がタンパク質でできています。その体内タンパク質は食事で体内に取り込まれた摂取タンパク質から変化したもので、どこにどういうタンパク質を作るのか、たとえば顔の形や背格好、髪の質や脳の構成など、どういった形や質に創り上げるのか、それはそれぞれの部位の細胞の中にある遺伝子が決めています。遺伝子は親から引き継ぎますので、自ずと、親と子は外見も、さらには性格まで似てくるんですね。

外見や性格が親に似るのが良いのか悪いのかはケースバイケースとして、DM犬は、DMの原因となる変異タンパク質を作る遺伝子まで引き継いでしまったのでしょうね。

遺伝子情報の転写・翻訳、そしてタンパク質の移送

では、どうやって同化=体内でのタンパク質の合成がなされているのでしょうか?

カラダの隅々に散らばる細胞の中の核の中には遺伝子情報を持ったDNAがあり、、そのDNAが持つ遺伝情報に対応したmRNA(メッセンジャーRNA) という物質が作られます。これを「遺伝子情報の転写」と言います。そして、そのmRNAは核を出て同じ細胞中のリボソームに行きます。そしてその情報を感知したtRNA (トランスファーRNA ) が、それぞれのタンパク質を作るのに必要な固有のアミノ酸を運んできます。そしてtRNAとmRNAはめでたく結合し、固有のタンパク質が作られることになるわけです。このmRNAの遺伝情報にもとづいて、固有のタンパク質が合成されることを「翻訳」と言います。

この転写から翻訳に至るタンパク質合成の過程は「セントラルドグマ」と呼ばれているのですが、ヒトや犬のみならず、あらゆる生物の体内では、こんなシステムでタンパク質が合成されているんですね。

そうやって作られたタンパク質はゴルジ体などを通して必要な部位に送られることになります。

WIZ-DOGドッグトレーナー 平野 文


科学的思考を育てるドッグトレーナースクール ウィズドッグアカデミー