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16.iPS細胞

ヒトのカラダもイヌのカラダも、細胞によって作り出されるタンパク質を基に作り上げられていきます。最初は受精卵という一つの細胞だったのが、分化を続けていろんな細胞となり、いろんなタンパク質を生み出して、はっきりとした個別の形に作り上げられるわけです。

ほとんどの細胞の中には核があり、その核のなかに遺伝子情報を持ったDNAがあります。DM(変性性脊髄症)は変異したDNAが正常でないタンパク質を生み出し、結果として神経機能を阻害するのではないかと考えられています。

「どんな細胞にでも分化できる細胞」は、カラダを構成するすべての組織や臓器に分化することが可能と考えられています。いわゆる「iPS細胞」などの人工多機能幹細胞ですね。しかも、そのスーパー細胞を、自分から採取した皮膚や細胞から作れれば、拒絶反応が起こりにくい(2013年CiRAの髙橋淳教授らによる報告)ですし、ガン化するリスクの低い細胞の開発も途上にあるようです。それは、今まで治療法のなかった難病に対して、その病因、発症メカニズムを研究することもできますし、もちろん、治癒の可能性も飛躍的に高くなります。

こういった正常な機能を失った細胞を正常な細胞に置き換えようというのが、iPS細胞を利用した再生医療です。ご存知かと思いますが、世界で初めてiPS細胞の作製に成功したのは京都大学の山中伸弥教授です。通常の細胞を多機能幹細胞に変化させることを「リプログラミング」というのですが、山中教授らは、容易にリプログラミングできる技術を見いだしました。心から素晴らしいと思います。

まだまだヒトの医療でも完全に実用化されているとは言い難い再生医療ですので、イヌへの応用なんて夢のまた夢なんだろうなぁ~と思っていたら、朝日新聞(2020年2月8日付)に嬉しい記事が出ていました。日大の枝村先生などのグループが安全性の高い「イヌのため」のiPS細胞を作り出した、という記事です。すぐに臨床で利用できるものでもないでしょうけど、iPS細胞はさまざまな細胞に変化させることができます。神経細胞に変えることもできますので、DM犬の神経機能も改善できる最も可能性の高い治療法だと思うのです。すごく期待しています。

ちなみに、ロシアのプーチン大統領は再生医療による若返り治療を行っているらしいのですが、それを聞いて私も楽天スーパーセールでヒト幹細胞コスメを使ってみました。

まだ効果はまったく感じられませんけど、いつか……「あっ!」っという時が来るかもしれないですし……。

WIZ-DOGドッグトレーナー 石田 陽子


科学的思考を育てるドッグトレーナースクール ウィズドッグアカデミー