『ルックバック』(ネタバレあり)
映画『ルックバック』。最近では珍しく劇場で二度観ました。短いので割合サクッと時間を作って見に行きやすいのは良い所ですね。
一度目は感情を揺さぶられっぱなしで、嗚咽を堪えながら、周囲の人を気にしながらでしたが、二度目なので落ち付いて観られました。
やはり、細かいところまでよく出来ていますね、この映画。窓ガラスの反射の描写にずっと感心していたら、最後もそれで締める。
後、音響が実に丁寧で、作品のリアリティを支えている。
ドアを介してのやり取りに関しては色々解釈があるのでしょうが、私は、単純に時空を越えた二人の絆という平凡なところで納得しました。
卒業証書を京本に届けた後、雨の中家に帰り、そこから猛然と漫画を描き始めるところは、勿論大好きですが、私が一番好きなシーンは、ストレッチャーに乗せられた藤野が救急車の中でピースサインをするところです。「また漫画描き始めたんだ」という、例によって藤野らしい嘘か本当か分からないことを言うと、風が一瞬駈け抜ける。
藤野と出会わない京本も結局美大に進み、京本に漫画を誉められなかった藤野も漫画を諦められなかったとも言えるのですね。(現実は一つなのだから、そんなことを言っても仕方ないのだけれど)しかし、あのピースサインが『シャークキック』の続きを描き始める藤野につながる。
美しく、かつ未来への希望を感じさせる。
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