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東北旅 お土産話 その1

東北の旅から帰ってきて
次の日には、
実家にお土産を
持って行った。

私の大好きな
かもめの玉子を持って。

私はこのお菓子が
いつの頃からか好きだった。

いつもなら自宅にいる母は
珍しく友達と一日バス旅行で
いなかった。

私の一人旅に
触発されたみたい。

父が、妹と留守番をしていた。

母親がいないことは
知っていた。
仕事終わりに一人で
夕食を済ませてから
実家に向かう。
なんとなく、
気持ちを上げたくて
ワインを2杯ほど
引っ掛けた。


去年、離婚して、
私は実家に戻った。

急に決まった離婚だった。

そんな状態だったことを
知らなかった母は
驚きつつもすぐに
迎えに来てくれた。

今考えれば、
離婚が決まった時は、
開放感の方が大きかった。

でも、起きている現実を
受け止める程の
余裕はなかった。

ボロボロだったから。

実家に戻ってからの
私は、現実を見ながら、
自分の心と否応なく
向き合わされた。

本当の自分から
逃げ続けてきた人生。

そう言われてしまえば
それまでだけど、
それでも私は、
一瞬一瞬を
懸命に生きてきた。

いい時も、
悪い時も、

彼氏も欲しかった、
友達も欲しかった、
結婚もしたかった、
子供も二人欲しかった、
仕事でも成功したかった、
旅行だって行きたかったし、
裕福にもなりたかった、

棚ぼた式に
夢は叶ったけれど、

一番、
私が願い忘れてきたのは、
「自分の本当の幸せ」
だったのかも知れない。

あれがあれば、幸せなはず、
これがあれば、幸せなはず、
いやこっちの方が、幸せなはずだ、

満たされない理由。

夢遊病者のように
雲のように
外側の何かを掴んでは、
違う、違うと
子供のように手放す。

そして、
何も積み上がっていない。

その中で、
置き忘れてきたものの中で
一番大きいものは、

実家の両親との関係
だったとも言える。

今でこそ、
父親とだいぶ向き合える
ようになったけれど、

それも、自分と向き合ったから
父親とも向き合えるように
なったんだ。

だから、離婚後
実家に引き戻されたのも
必然だったんだ。




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