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ミャンマーに着くや否やビックリした話。

夕暮れのバンコクから1時間あまりでヤンゴン・ミンガラドン国際空港に着陸した。もうすっかり日が暮れていた。涙は乾いていた。他の乗客と共にボーディングブリッジからターミナルビルへ進む。入国審査場では「ミャンマー人と外国人その他」にカウンターが分けられるのだが、日本語を話す大学生位の若者の一行がミャンマー人用の列に並んで係員に咎められていた。見ていて微笑ましい。外国人用の列に並んでカウンターでパスポートのみ差し出す。入国書類は無かった。30秒も経たぬ内にパスポートは返却された。普通の国の判子よりも随分、大きな判子が押されていた。「長かったな」とふと思いながら手荷物受取所へ進んだ。

この国へ来たい・・・その思いはずっと変わらなかった。しかし一介の日本の庶民にはどうしようもない政治的な状況が、この国を更に遠く感じていたのは間違いなかった。2011年迄は鎖国されていたという。加えて東南アジア国家ではビザ取得が必須だった経緯もあった。今年はコロナという惨事に見舞われているが、ミャンマー政府も外国からの観光客を誘致しようと、各国からのビザ免除や取得の簡易化を進めていた。日本国籍者に対してはお試しでビザ免除の措置を限定的に実施した所だったのだ。だから私はビザを取得しないで入国出来たのだ。コロナ前の状況ではミャンマーを訪問する日本人は順調に増えていた。

スーツケースを受け取って到着口へ出る。ここでも「初めての事」を経験せねばならなかった。我々が持っている日本円、これは「国際機軸通貨(ハードカレンシー)」と呼ばれる通貨だ。両替する際に日本円のまま持ち込める。両替所のカウンターには世界の基軸通貨との両替率が示してある。米ドル、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、日本円など・・・

ただこのミャンマーでは旅行ガイド曰く、日本円からの両替は受付していないという。一番レートが良いのが米ドル、しかも新札で折り目のない100ドル紙幣が一番だと書いてある。そう書いてあったので日本から新札の100ドル紙幣を用意し、銀行の封筒に入れて旅行ガイドに挟んでおいた。

1番レートが良いだろう両替屋のカウンターに、ピン札の100ドル紙幣を差し出した。ミャンマーの通貨である「チャット」が物凄い量で返って来た。

これがまた汚い。ベトナムの貨幣であるドンですら、ビニール由来のポリマー紙幣だったりするが、紙の質も良くない上にとても汚れていた。しかし持っておかねば話にならない。

財布にその紙幣を入れてSIMカードを買い、送迎の車に乗ってホテルを目指した。

空港を出たら外は真っ暗。何だか不思議な国へやって来た感じがした。

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