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地理の教科書は「桃鉄」に勝てなかったし、歴史の教科書が「信長の野望」や「三国志」に勝つことはなかった

桃鉄。

都道府県の位置、名前や各地の名産物を覚えるのに、あそこまで最適な教科書はありませんでした。あのゲームを取り組めたからこそ、ぼくは地理に対して苦手意識を持つことなく取り組めたものと考えています。小学生当時のクラスには、ぼく以上に桃鉄が大好きな人は当然のようにいましたし、彼に比べれば、ぼくの「好き」度合いなんて鼻くそみたいなもので、もう桃鉄を好きすぎて、桃鉄になりたいんじゃないかと思えるぐらいに桃鉄にのめり込んでいて、当然のように社会科のテスト成績がよかったのです。

それと同じように、信長の野望や三国志も歴史を学ぶのに最適でした。歴史を忠実に守っているのかどうかは判別することは困難ではありますが、事実として記載があったり、書物に残されているものを史実として扱う以上、それに従う他にありません。むしろ、歴史の教科書よりも能動的に教えてくれました。そして、授業で触れる部分があまりにも短く、軽薄なことに対して怒りを覚えたものです。

織田が齋藤家に挑む際の気概、武田の騎馬隊への恐怖心、毛利を討たんと駆け上がる上でのワクワク...。桃園の誓いで誓い合った兄弟との契り、董卓を討つために手を取り合った群雄割拠の好敵手たち、次々といなくなっていく戦友たち...。合ったことはもちろん、そんな時代が本当にあったのかを疑いたくなるような昔の話だから、存分に脚色されていて、余計な感情移入も入ってるのなんて、今となれば承知の上。だけど、それにしたって授業で触れる時間があまりにも短くはないか!世界史の授業、教科書で三国志の該当部分を目にしたときのぼくの心情たるや、絶望に伏しましたよ。

二行。

しかも文字数は少なく、三つに国が分かれていたことを示すぐらい。

おい!

いくらなんでも、おい!

酷すぎやしませんか。酷すぎると思いませんか。それまでのつまらないカタカナの名前がひたすらに出てきては「何世」かで誰かを判断するだなんて罰ゲームのような世界史の授業を我慢しながらも受け続け、その時代になるのを待ちわびて待ちわびて待ちわびていたのです。そして、先生がその時代をどんなにキラキラとした目で語ってくれるのかを楽しみにしてきましたし、先生がキラキラと語るのであれば、それをぼくはどんな目で見つめ、共感するのか、いやいやそうではないと反論するのか、はたまた全く異なる切り口から攻めてくる先生に対して尊敬の念を抱くのか......。そんなぼくの期待を見事に裏切ってくれた教科書。せめて、そうだ、せめて先生はわかってくれるはずだ。ぼくがここまでのめり込んで授業を聞くそぶりを見せた機会は、それほどなかったはず。そんなぼくを見てるでしょ!知ってるでしょ!さ、先生、三国志についてあなたの見解を教えてください!ぼくのワクワクを、さらに増幅させて欲しいのです!さあ!

「中国って、広いからこうやって何個かに分かれるんだよ」

......


......おい、ちょっと待ってくれ!それはあまりにも、あまりにもじゃないかい、先生!たしかに、たしかに中国本土の国土が広いために、中国は7つとか5つとか3つとかに分かれて戦争を行うことは少なくない。だからこそ、それを一つに国としてまとめようとする過程に苦労があり、その苦労の中に物語が潜んでいるからこそ、ぼくたちはゲームにしてまで楽しんでいるのではないですか。それを教科書では二行で片付ける程度のサラッと流してしまう態度......そして、先生、いや、もう敬称ではなく立場で呼ばせてもらおう。「教員」がなんの感情もなく時代についてのウンチクを語るでもなく、その時代の特徴を、ただただ遠いところから冷めた視線を送りながら見ているのが明らかに感じられるようなコメントで授業を聴講しているぼくたちに投げかける。

大人になったいま、その態度に立って理解はできますよ。学習指導要領ってのがあって、そこから学校の年間スケジュールがあって、スケジュールに授業カリキュラムを組み込み、一定程度まで進まなければならない状況のなかで授業を展開していかなければならないのだから、時間との勝負。だから、余計な雑念や知識を披露している暇などありはしないのだと理解はしています。それでも!それでも他の歴史の部分だって、面白おかしく語ってくれましたか。その授業はエンターテイメントとして、聞きたいとは思えない生徒であるぼくたちに響かせるような、自発的にワクワクしてしまうような仕掛けがたくさん混ぜられている授業でしたか。そんなことを、いま、ぼくは書きながら当時の教員に対して妄想で問いかけています。

結局、何がいいたいのかといえば、ゲームの素晴しさを思い返すのと同時に、ゲームに取り組むだけの能動的な活動になれば、勉強ではなく学習できるのだと実感していた過去を振り返っただけで、メッセージ性も何もないのです。ただただ、自分の知識欲に対して、よく働きかけてくれたな、と思っただけなのです。

久しぶりに桃鉄を99年プレイしたいなぁ。



シーエスレポーターズって会社でコミュニケーションについて考える仕事をしていて、Twitterやってます!


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