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誰一人取り残されない世界ではなく

ようこそ、お越しくださいました。

どうも、えんどう @ryosuke_endo です。
昨年09月に任命された菅義偉元首相の肝入りだと目されていたデジタル庁。そのデジタル庁おける事務方のトップであるデジタル監である石倉洋子さんが退任することになった。

<独自>デジタル庁事務方トップの石倉氏退任へ

経営戦略等を専門にする一橋大学の名誉教授だった石倉だが、過去に公職を務めた経歴もあり、組織改革などの手腕を期待されていたとのことだが、そもそもデジタル庁は数年、数十年と継続してきた組織ではない。

もし、上記の記事にある通り、組織改革に期待をされていたのだとしたら圧倒的に方針が違うだろうから、さすがにそれはないだろう。根本的には体調問題で登庁の機械や会議への出席も減っていたことから退任に決まったそうである。

正直、デジタルへの知見がないとされていた点は眉唾ものだったと思うが、少なくとも退任されたことは事実だ。

デジタル庁自体は現状においては新型コロナワクチン接種証明書アプリ、マイナポータルなどを提供しているものの、既存の政策を支援するような制作物を提供しているものの「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」といった標語を実現するには志半ばといったところだ。

なお、後任にはCDO(Chief Desogn Officer)を務める浅沼 尚氏となることだけ決まっているようであるが、ちょっと一人の日本国に籍を置く生活者として思うところを書いていく。

▶︎ 誰一人取り残されないことを目指して欲しくない

デジタル庁はデジタルを利活用し、国民一人ひとりの幸福に寄与することが目的だとされている。

その点には同意するし、何の反論もない。むしろ、他国と比較して遅れていると国内批判にさらされることも少なくはない行政のデジタル化については喫緊の問題であるあと認識しているからこその立ち上げだったのだ。

菅義偉前首相は、まったく評価されていない首相であるだろうが、そんなことはない。現時点でネーミングセンスの欠片を失ってしまったのか、保守政党の意地を見せたのかは知らないが「こども家庭庁」と呼称された「こども」を優先することを標榜していくために立てたものがそれだ。

結局、こども=家庭といった固定観念に打ち勝てず、家庭に居場所がない子どもがいる点には目もくれず、結局は自らの政党が抱える保守的、伝統的な家族間を重視した庁名となってしまった。

党の公約には「持続可能で誰一人取り残すことがない育成環境」という文言があり、児童養護施設などで暮らしている子どもたちをどう扱うのかと問われたらどう答えるのか興味津々だ。

しかし、「誰一人取り残さない」がどういう意味合いで使われているのかは冷静に判断しなければならないが、意味合いとしては政府の策定した政策を誰もが理解し、何の不自由もなく所得の再分配を享受できる光景を目指しているのだろうか。

正直、デジタルやIT化といった文脈でそれを目指すことには甚だ疑問が生じてしまう。

▷ 平等と公平

我が家の長男くんや次男くんは小学生である。

30年以上前に小学校へぼくが在籍を始めた頃から何ら変化のない学校教育のシステムには色々と驚愕しているものの、中でも連絡帳システムはいまだに現役だったことと、そこに必要事項を連絡して近所の児童に届けてもらうシステムが施行され続けている。

欠席連絡等にしても、電話連絡の場合には各家庭に連絡可能な時間帯を手紙で通知しておき、その時間帯に電話をかけてくるよう暗に依頼をされているが、その時間帯になっても判断がつかないことがあることは考慮されていないのだろう。

公共の教育機関だからこそのデジタル化が普及していないって現状なのかもしれないが、デジタル化やIT化を「選択できる」ようにすべきではないか。

仮に、デジタル化やIT化といったツールを利用することが困難な家庭があったとして、その家庭が学校教育における不利を被る可能性があるからといって「できる人たち」まで水準を落として対応を求めることは平等ではあるかもしれないが公平ではない。

個々人の違いを考慮した上で機会が提供されることが公平であり、その違いを認識しているものの、その違いに向けたアプローチは均一に揃えてしまうことは平等ではあるかもしれないが、機械を損失する人が増えるのは確実だ。

なぜか。そこに選択の余地がないからに他ならない。

▷ 選択ができる余地は必要だ

たとえば、我が家の子供たちが通う小学校の欠席連絡にメールによって通知をする機能が実装されたが、あまりにも面倒なために使いたいと思えないものになってしまっているため、少なくともぼくの中では形骸化した印象だ。

  1. あるメールアドレスに空メールを送信

  2. 返信されてきたメール内にあるリンクから欠席登録

これを毎回行う必要があるのだが、空メールを遅刻・欠席のたびに送ること。さらに、空メールを送ってから返信メールまでの時間が空いてしまう。最短でも5分程度かかってしまうため、中断しなければならない。さらに、文中にある欠席登録用のリンクは24時間でリンク切れを起こす。

専門的な人材が導線設計をしたとは思えないような現実味の薄い欠席登録動線を強いられているのだが、現在は生徒一名に一台のタブレット、もしくはPCが配布されているのだから、そこから登録できるようにすればいいと思うものの、それはまだ先の話になるようだ。

出欠席の連絡などといった誰にでも起こりうる可能性があるものは、少なくとも電話連絡なら可能な人と連絡帳連絡なら可能な人と貸与されている端末から連絡が可能な人とで区分すればいいだけだが、貸与された端末から連絡をすることは許容されていないだけでなく、その理由も明白になっていない。

子どもたちの安全を確保するといった名目で、大人たちの責任逃れを気にしているのではないかと思わざるを得ないが、それは選択の余地が残されていない堅苦しいシステムではないか。

▷ デジタル庁が果たすべきことは取り残すことではないか

それらの観点からデジタル庁が果たすべきことを考えてみると、結局は取り残すことを意識し徹底的にIT化やデジタル化に舵を切っていくことを進めなければならないのではないか。

上で触れているように党の公約内に「誰一人取り残されない」といった文言がある以上、ボトムアップ的に救いながらやっていこうと考えられているのかもしれないが、デジタル化やIT化といった事柄はできる人たちだけを対象にするぐらいにゴリゴリと進めていき、できない人たちは他の手段で代替してもらう方向で進めていかなければならないはずだ。

そんなことをやっていたら時間なんていくらあっても足りないし、いつまで経っても本来的な意味でのデジタル化やIT化などは果たされることがない。
しかし、実際のところはこれまでのやり方を刷新していくことが期待されているはずのデジタル庁でも、旧来的なやり方に固執した結果内部から反発が出てしまうような事態に陥っている。

「会議に出たくない」 デジタル庁、民間出身職員が反発

デジタル庁のシステムトラブルが止まらない、運用面の懸念を払拭できるか

要は、訳がわからない言葉や仕様などについて詳細説明を求める官僚が民間から登用された職員たちに会議を執拗なまでに迫り続けた結果、不満が爆発しているとのことである。

まぁ、結局、そうなったのかといった心持ちではあるものの、ハッキリいって冒頭の石倉氏が退任するのも仕方がないような気もしている。こんなことの調整ばかりをしなければならない上に、早急な成果を求められるような状態なのだとしたら心身ともにしんどすぎる。

輪をもって尊しをモットーにする官僚組織主義を貫くのであれば、デジタル庁など中抜き組織で終わってしまう可能性が高いだろう。実際、すでにそんな雰囲気がプンプンしているではないか。

菅義偉前首相が肝入りではじめたものが首相交代によって引き継がれていないのかもしれない。

なんだか悲しい事態ではあるが、取り残す人を多くし後々カバーするような状態に持っていくことがデジタル庁が果たすべき姿勢なのだろと考えることに何ら変わりはない。

そんなわけで、これからもデジタル庁には期待をさせていただきたいのだが、果たして...!

ではでは。

えんどう

▶︎ おまけ

▷ 紹介したいnote

デジタル庁への三つの提言
中島さんが記載されている内容はデジタル化云々の前に情報の扱い方や情報への向き合い方だといえる。確かにデジタル化云々の前にしなければならないことは、情報をどのように扱うのかといった視点で物事を整理することや分類すること、さらに処理の仕方まで統合的に捉えることだと気づく。

デジタル庁は、やっぱり官僚組織に飲み込まれてしまうのか?
ただただ批判的なものの見方をするような態度をとりたくはないのだが、少なくとも旧来的な官僚組織的な運用体制と民間事業者で培ってきた運用体制との間に軋轢が生じているのはあきらかなようで、そこに飲み込まれるようであれば中身のない瓦解した組織になってしまうのだろうな。悲しい。

デザインすべきは、「誰一人取り残されない」ための“場”──デジタル庁CDO 浅沼尚
新たにデジタル監として就任することになった浅沼氏。本当に大変な状態で引き継ぐことになってしまった点においては応援する他にないが、「こぼれ落ちてしまう領域を」という文中内のメッセージに希望を感じる他にない。

▷ 紹介したい関連書籍

アフターデジタル2 UXと自由
デジタル化もままならない組織運用をする場合に注意しなければならないのは、デジタルに傾倒できるだけの人員なのかという点を踏まえてでも、思い切り舵を切ることができるかどうかだ。なんて感想を抱かざるを得ないのは本書の影響かもしれない。

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