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災害支援におけるデジタル活用 (災害デジタルボランティアの募集)

8月18日のトロール会議では、オフィス園崎代表の園崎秀治さんに「災害支援における情報共有とICTの重要性」についてお話しいただきました。

講師の園崎さんは全国社会福祉協議会に勤務の後、現在はオフィス園崎で災害ボランティアセンターの支援、特にICTを使った現場の効率化に取り組んでおられます。

今回の講演では、園崎さんが実際に支援に関わってきた災害・被災地の体験をふまえ、少しでも被災者に届く支援を増やすために、できる限り多くの人と情報を共有し、ICTを活用した運営に取り組むことの重要性について、具体的な事例をあげて紹介。

参加者の高校生に向けては、八幡浜を離れて他府県に行っても使えて、同じ情報を共有できる、スピード感と量が災害時に必要であると話されました。

講演後、参加者に向けて「災害デジタルボランティア募集」の説明を行いました。


◆被災地からの情報発信◆

支援者への直接的な支援ではないため後回しにされがちですが、被災地での混乱・統制を少しでも収めるためには情報発信は大事。
スタートの時点でつまずくと混乱がさらに大きくなります。

◆発災直後の現実、外圧の中での情報発信の難しさ

線状降水帯があちこちで起こったり台風が通過するなど、今年の6月までの被災地(災害救助法が適用)は69市町村17府県になります。
これだけの被災地があるなか、損害は出ているがセンセーショナルな災害ではない被災地の話はもう報道されていません。

災害が起こると支援は報道されたところに集中します。マスコミ、世論、みんなの注目が集まります。
被災地の当事者はそれどころではないのに、周りの人たちの外圧が強く、準備もできていないのに「早く災害ボランティアセンターを立ち上げなければいけない」という状況になります。

その混乱を収めるためには情報発信をするしかありません
しかし、「災害ボランティアセンターを立ち上げます」と早々に発信しても、そこから被災された方のニーズ調査が必要です。
さらに災害ボランティアの募集には一定の時間がかかるので、実際に活動するのはその後。時間差があります。

ここをきちんと発信しないと、被災地にどっと人が来てしまうことになります。
東日本大震災前はこれがひどかった。
「とりあえず行っちゃえ」とボランティアが殺到し、被災地が混乱してしまいました。

最近では被災地側から情報の発信をすると、被災地外の人たち(市民・支援者)が被災地の情報発信を待つチェックするのが当たり前になってきました。
被災地がきちんと情報発信をすれば、みんながそれに従ってくれるようになりました。

いかに早く情報発信をするかは大事ですが、被災した当事者が冷静に情報を発信するのは極めて難しいです。
そもそも被災地では、身近な情報も取れない。職員間でも連絡がつかない。建物が被災している。人がいない。マニュアル通りにはいかないのが現実。

そんな状況下で「支援したい」という問い合わせの電話に応えることは、被災者にとって何の役にも立たないし、そこに時間と労力を取られるほど無駄なことはありません。
情報発信が重要であることはわかってはいても、このような状態のなかではなかなかできないのが現状です。

➡そこで、情報を発信できるための「助け」が発災直後から必要となります

◆被災者の状況に合わせた支援の必要性

被災地外の人たちは、「大変なことになっているから早く何とかしてあげよう」という気持ちが強いのですが、災害の種類によってボランティアに来てもらうタイミングは違います。そこをちゃんと発信しないと伝わりません。

例えば、水害は短期集中型。
大雨が降って土砂が崩れ落ちるような水害や、川が氾濫して広く床上浸水になった場合。
水が引いた後の泥出しや掃除をいかに早くするかが大事で、たくさんのボランティアで一気に片づけてしまう必要があります。

対して、地震災害は細く長く。
映像的にインパクトがあるので、「被災地に早くから行きたい」というボランティアが多いのですが、実際にはすぐに来られては困ります。

平成28年の熊本地震の時には、震度5以上の地震が何度も起こりました。
ボランティア自身も危険なため被災地に入れるわけにはいかず、早い段階でボランティアを入れてもいいことがない状態でした。
地震の場合は、むしろその後の仮設住宅への引越など、たくさんのボランティアが必要になることがあります。
地震の場合は細く長くボランティアが必要になります。

◆ネットによる情報発信の重要性

災害ボランティアセンター立ち上げ初日のHP(ホームページ)の閲覧数は何万という数になり、全国からアクセスが殺到します。
HPだけでは拡散力が弱いので、Facebook(フエィスブック)ページを立ち上げる必要もでてきます。
ネットが情報源の主流になっているので、HPやFacebookページの作成・公開をどうするかが問題。

ICTに精通し、被災地からの情報発信のポイントをおさえた発信ができる支援者のノウハウを積極的に活用して乗り切ることが大切です。

マスメディアによる報道の影響も大きい。
平成26年の丹波と広島で同時期に起こった土砂災害の報道は、マスメディアの発信にいかに目が集中するかがわかる例です。

広島土砂災害では77名の命が失われたことから報道が集中。義援金は丹波が2億円、広島は62億円となりました。
インターネットの情報は関心のある人は見てくれますが、多くの人(全国の一般市民)に伝えるのは難しいことがわかります。

最近はマスコミも災害ボランティアセンターのHPにある情報を使って発信してくれるようになりました。

マスコミが欲しがる情報をHPに掲載することで、問い合わせやクレームを激減させています。

このような情報発信をしないと、電話による問い合わせが殺到し、電話に追われてなにもできません。

◆外部支援者の迅速な情報発信支援(熱海市の例)

2年前の熱海市での土砂災害発生時の例です。
熱海市の社協は何も準備ができていなかったので、情報発信を支援しました。
HPでは基本的・固定的な情報を発信。
Facebookではフォロワーを増やすことを目的に毎日発信。明日の活動予定など日々変わるような情報を発信しました。
Facebookで発信すると投稿を見た人が拡散してくれます。

熱海市の場合、土砂崩れのあった場所は危険で人が入れなかったのですが、コロナで休業中だったホテルが避難所として利用できたこともあり、発災後3週間はボランティアが必要ありませんでした。

3週間後にはメディアでは報道もされなくなっていましたが、SNSでは毎日状況の発信を続けていたため、発災3週間後にボランティアを募集したときにもたくさんの人がボランティアに来てくれました。

情報の発信は人々の関心をとどめることができます。支援者(ボランティア)は、活動ができなくても現場のリアルな状況を見ることができるからです。

◆被災地社協からの情報発信のポイント(中津市社協の例)

今年の7月に中津市耶馬渓が被災した時の、中津市社協の情報発信がすばらしかった。

中津市は2012年にも被災しており、その時の体験から積極的に地域の中で防災に取り組み、市内で完結できる支援体制を作っていました。

災害ボランティアセンターを立ち上げなくても、支援者がアクセスできる窓口を4か所も作っていて、結果的に普段の自分たちの顔のつながりだけで500人以上のボランティアを集められました。

情報発信は被災者のことをとてもよく考えており、支援者に対しても混乱のないように要素がいろいろ入っています。
報道がない限り外の人にはわからない情報や進捗状況、ボランティアの活動内容や活動の目途などを丁寧に発信しています。
このような発信は全国的にほとんどできていないのが現状です。

普段から住民がどう思うか、支援する人がどう思うかという視点から考えたときに、どんな情報が必要なのか。
マスコミが同じような問い合わせをするなら、そのことをすべてHPに掲載すれば問い合わせがなくなる。
このようなことを先読みして発信できているのが中津市の強みです。

被災地支援の三原則は、
1.被災者中心(被災者のために生かす情報)
2.地元主体(地元でなければ出せない情報)
3.協働(ボランティアに対する気遣い)

◆支援者間での情報共有◆

いろんな人たちの力が結集することでできることが増えますが、業界の違う、見知らぬ人たちと、限られた時間の中で会話を重ねなければならない協働の難しさがあります。

◆災害時の情報共有

災害時には
・一刻を争うスピードが求められる
・ベストよりベターを。ベストを考えると間に合わない
・多方面からの大量の情報をさばく必要がある
・関わる人、初めての人とのやりとりが一気に増える

災害時の情報共有には
初めて会った人たちとすぐに情報共有をすることが必要
 相手がどういう人なのか(本名・所属)がわかる情報ツールが必要

・情報共有の輪に新しく加わる人に情報をつなげる必要性
 いろんなグループができていくので、情報共有のグループを作るためにFacebookを使っているが、トロール会議のように顔の見える人たちと若干クローズドなSNSを使うならLINEWORKS(ラインワークス)を使ってもよい。
プライベートとは別のアカウントを作る。
瞬時に複数の人と情報共有することが大事。

・ネット環境や使用端末を限定されないアクセス
どこにいても連絡ができる方法で。
セキュリティーの問題から会社や学校が個人のスマホに情報が入るのを嫌がることがあるが、「災害時は別」と考えないといけない。

◆被災地支援に必要な情報

被災地支援には多くの情報が必要です。
被災地の中でどう動くか、場所をどうするか、誰が関係しているのか、どういう地域なのか。

さらに、被災地の地名が読めない、言葉がわからないなど、地元の人が当たり前にわかっていることが、外の人にはわからないことも多い。
地元のことを分かった上でないと、外部支援者はいい支援ができません。

➡だからこそ地元主体で
地域の基礎データ(人口構成、歴史、地名の読み方)、支援の拠点、地元の支援団体、地域の人材、特性、課題などの情報を、支援のバトンでつなぎ、蓄積していくことが重要です。

◆情報共有の手段(ツール)

情報共有の手段には、直接会う、電話、メール、Zoom、SNS(LINE、Facebook、messenger、Twitter、YouTube、Instagram、TikTok)などいろいろありますが、今はSNSを使わないとなかなか難しいといわれています。

SNSの中でもTwitter(ツイッター)のようにひたすら多くの人たちが見ているオープン型のものもあれば、LINEのようにグループの中で見るクローズ型のもの、その中間型のFacebookなどがあります。

さらにHPとFacebookのように、コンテンツの性格から使い分けることも必要です。
変わらない情報=何度も繰り返し参照するもの。資料や被災地・支援先の基本情報などのストックコンテンツはHPに。
日々変わっていく情報=即時性を重視、移り変わる情報の最新をキャッチするフローコンテンツはFacebookに。

最近はYouTube(ユーチューブ)を使って、災害ボランティアセンターまでのルートを分かりやすく伝えたり、ボランティアに来るときの心得などを動画で紹介したりすることもあります。

また、支援者を通していろんな情報を共有して見るときには、オンラインストレージを通して大きなデータを使うときもあります。

SNSはメールとは違って、自分の端末に情報がいつでも入ってくるし、「既読」機能により相手にきちんと伝わったかどうかを送り手が知ることができます。
さらにメンバーが開示されるので、誰に発信しているのかもわかります。

2021年以降は、Zoomの利用により参集する必要がなくなりました。
例えばコロナにかかっていても家からZoomで参加できます。

Zoomを使うことにより例えば「物資が足らない」「こちらでは余っている」など、複数の被災地で同時に情報共有ができるようになりました。

さらにそこに被災していない地域の人が加わることで、被災地の状況を他の地域の人たちにも伝えることができ、「被災地間の物資はこちらで運べますよ」とZoom会議の中で問題が解決できるようになります。

Zoomを使うことにより、隣町で何が起こっているのかわからない状況が2~3カ月続く、というようなことがなくなりました。

◆アフターコロナ被災地支援◆

コロナ後は状況が一変しました。
コロナ後の一番大きな変化はZoom。まったく違う場所にいる人たちが情報共有できるようになり、支援の行き違いや無駄なやりとりの時間が減りました。

◆QRコード受付の定着

コロナ禍で災害ボランティアセンターに人が集まる、密になることを避けるために生まれたのがQRコード受付。
QRコードを使うことで、受付での行列がなくなりました
QRコード付きのポスターを張ったりチラシを配れば、どこでも自分のスマホで受付できます。
受付終了後はデータが集計され一元化されるため、他地域からもデータを見ることができるようになりました。

さらに、ボランティアの事前登録(HP上で登録する)が可能になりました。
例えば熱海市の土砂災害の場合、事前登録は4000人。その中で最初は熱海市に居住が近い100人だけを選ぶことも可能に。
事前登録することによって、被災地側が必要な数だけのボランティアを集めることができるようになりました。

今までのようにアナログ的に受付をしていたときは、ボランティアが何人来るのかわからない、来た人を送迎バスに案内するとバスが足らない、といった非効率的な対応に追われていました。
事前登録によってボランティアの人数を事前に把握でき、人数に合わせた準備ができるようになりました

◆災害ボランティアセンター運営の「三種の神器」

アフターコロナにおける災害ボランティアセンターの運営では、
Facebook/messenger、Zoom、キントーン(Kintone=サイボウズ社のクラウドサービス)を「三種の神器」と呼んでいます。

Facebook/messengerで連絡をとり、Zoomで調整をして、キントーンを使って活動することにより、スピードアップ、時間短縮、省力化、同期性向上、処理量の増加になり、災害ボランティアセンター運営の多くの雑務から解放され、本来の被災者と向き合った支援に力を注ぐことができるようになりました。

◆キントーンの活用事例

2021年以降、災害時にキントーンを活用したボランティアセンター運営の新たな流れが起きています。
2021年7月の熱海市に始まり、直近では今年7月の久留米市、秋田市がキントーンを使って稼働しています。

キントーンの活用事例
・ボランティア登録(HP上に登録フォームを掲載)
・活動予約(活動人数の推測用)
・QRコード受付
・ニーズ管理
・活動依頼
(1週間の予約の人数が事前に把握できる。活動人数は国や県、マスコミが知りたがるのでHP上にアップしておけば、問い合わせが減る)
・活動報告

HP上のボランティア登録フォームでは、メールアドレス、電話番号、居住地域などを登録していますが、今後はボランティアの得意分野を尋ねるようなフォームの活用も考えられています。

例えば車の運転ができる、看護師の資格がある、学習支援ができるなど、支援者の得意分野がわかれば適材適所に配置して、その人の特技を生かして活動してもらうことができるようになります。

さらに、ボランティアの登録や調整、連絡は被災地でなくてもできるので、県域を越えた調整ができるようになりました。
例えば、2021年に佐賀県で起こった災害のボランティア調整は、富山県でやっていました。

また、ボランティア活動保険加入がネット加入できるようになりました。
以前は保険に加入していない人が来てしまい、社協が保険料を肩代わりしたこともありました。
オンラインで加入が済むまでは受け付けないことになったので、保険加入した人しか来なくなりました。


キントーンを使うことで一番大きな成果をあげたのは、被災者のニーズ(困りごと)の管理です。
キントーンを使って被災者のニーズと住所を入力するとデータ化され、家ごとの被災状況が地図上に記載されます。

例えば赤が「作業待ち」、黄が「作業中」、青が「作業終了」のように進捗状況が色分け表示されるので、その地図にハザードマップや浸水状況の地図を重ね合わせると、情報のない家がわかり、その家を訪問することもできます。

さらにニーズが追加されてもその家ごとの履歴が残るので、支援者側も過去の支援の履歴を見ることができます。
紙ベースで管理していたときは、何千件もの家のニーズ履歴を管理、検索をするのは難しく、漏れや重複ばかりでした。

データ上で管理できれば一瞬で検索ができ、あとから支援に入ってきた人にも、各家の支援の履歴をはじめいろんな情報がデータ上で見ることができます。

このデータを作ること、ニーズを受けたものをデータ化する作業が必要で、ここでデジタルボランティアが必要になってきます。

今年、秋田市で3万人が浸水した例。
1000軒以上の家から支援を求める状況が1ヵ月経っても続いた。
最初はニーズを紙に書いていたが、管理できない状況に。
それをすべて写メで撮ってキントーンのシステムにあげた。
キントーンを見ていた東京や豊田市の社会貢献の人たち40人が写メしたデータを入力。
データがキントーンにすべて入力されると、地図上で1000軒分のデータがすべて見られるようになる。

一度入力してしまえば、そのあとの更新は地元でもできる。
地図を見て「緑がだいぶ増えた。黄色は明日も継続。新しく増えた赤は明日やろう」と、大画面の地図を見ながら、夕方のミーティングで明日の活動の打ち合わせまでできる。

さらに、地図上の明日の活動場所は活動依頼書にも連動しているので、ボランティアの人に活動依頼書を渡すだけで、活動依頼書のQRコードを読み取れば、現在地から被災地へのルートもわかる。

◆なぜキントーンが使われたか?

・情報の一元化。チームの仕事の見える化
キントーンがうまくいった理由の一つが、情報の一元化。
「どこまで支援が終わっているのか」を地図上で支援する人みんなが見られたり、誰もが同じ情報を見ることができる。

支援者は入れ替わっても情報を共有できて、あとから来た人でも過去の情報も含めてすべて見ることができる。

一方で個人情報があまりに深い場合、例えば福祉的な意味で心配な家などは見られる人を限定するなど、レイヤーを分けることもできる。

・アプリの追加が自由。外部サービスとの連携、カスタマイズ
キントーン自体はシンプルなデータベースソフトで、そこに目的を達成させるためのいろんな機能(アプリケーション)を追加できるのが強み。
しかも、プログラミングの知識がない人でも作ることができ、追加・変更が素早くできる。

・テンプレート化して移植が可能
テンプレート化して移植できるので、直前の一番完成度の高いアプリケーションの状態のものをそのまま移設でき、他府県で起こった例もそのまま使える。

平時に勉強会をしている人たちも、過去に実際に災害ボランティアセンターで使われたものをコピーしたもので練習している。
過去の災害でやりとりしたメールや案内文章などのテンプレートもそのまま使えるので、一から文章を作る手間が省ける。

・様々なデバイスからアクセス。外出先からモバイル操作可能
災害支援は被災地の現場(災害ボランティアセンター本部)とその他の支援拠点などに分かれるが、どこにいるスタッフも自分のスマホやタブレットからキントーンに入ればボランティアの情報がわかる。

・SNSのようなコミュニケーションが可能
SNSのようなテキストベースでリアルタイムでコミュニケーションができる

・信頼できるセキュリティ
キントーン自体はISO/IEC27017(クラウドサービスセキュリティ)という第三者認証も取得しているので、セキュリティに関しては何の問題もない。
使う人が守秘義務を守ってやるだけ。

◆まとめ◆

災害支援では、災害時にいかに多くの関係者が必要な情報を共有できるかが大事。
今までの災害支援で「俺は聞いてないよ」「あいつら、なに勝手にやってんだ!」「それはもう進んじゃってるよ!」というようなことが起こっていたのは、情報が共有できていないから。

情報を共有している人はたいていが同じグループ、同じ業界の人なので、違う業界と対立関係になって協働破綻するようなことが起こっていました。
そういうことが起こらないように、「みんなで同じ情報を見ましょう」ということが実現できるようになってきています。

これらを主体となる社協の人たちが勉強してやっていくには限界があります。得意な人がやるべき。

今回、ICTに長けたトロール会議コアメンバーがデジタルボランティアの養成をやっていくように、できないことは得意な人に任せて、受援力(支援を受ける力)を発揮して、社協は住民と直接顔を合わせるところに足を運ぶというように役割分担ができれば、いい支援の体制ができると思います。

私たちが関わることで(協働)、支援の可能性が広がります。
被災された方の多様化する課題に対して、いろんな人の力が合わさることによって解決につながると思います。

今回は省力化の面から話をしましたが、ボランティア活動する人たちのコーディネートをする負担を少しでも減らすための話がメイン。
しかし一番大事なのは、誰が被災されていて、何に困っているのかを拾うこと。それが一番大事。そこの部分はICT化されていません。

やはり直接会う、電話で聞き取ることをするほかありません。
そこにかかる時間を減らすためのICT。

窓口になる人が日常にたくさんいてくれることによって、その人たちが自発的に連絡してくれる状態があれば一番良い。
「災害があれば社協に連絡する」ということが定着すればスムーズになると思います。

◆質疑応答◆

Q.SNSではあやふやな情報や間違った情報も流れがち。支援者の情報収集時の注意点は?
A. 外部の野次馬的な存在の人はSNSを使いがちだが、直接被災地の支援に関わっている人たちは、SNSからの情報収集はあまりなしない。
支援関係者や被災当事者との顔の見える中での直接的な情報収集がメインになる。

Q.デジタルボランティアの具体的な作業は?
A. 秋田市の場合は、電話で受けたニーズの情報(名前、住所、お困りの内容「1階の家財道具を運び出してほしい」など)をニーズ表に手書きし、そのフォーマットを写真で撮り、キントーンにあげていた。
そのキントーンを見ていたトヨタ自動車のボランティアが同じフォーマットのエクセルに入力してデータ化。
最終的にはそれをキントーン上で変換して、個人のニーズとして地図上に表示する。

Q.公民館や組織の中でデジタルによる被災地支援をするときに、最低限どんなものが必要か?
A.  システムを入れるという方針を決めたら、とにかく勉強や活用する機会を作ることが大事。
初めの連絡をとるときのツールをLINEWORKSを使うのであれば、普段の会議の案内や内容の共有などに必ずLINEWORKSを使うなど。
慣れるまでが大変なので、できるような場を平時に繰り返し作るということが大事。

Q.個人としてデジタルボランティアに関わる上で心がけておいた方がいい点は?
A. 守秘義務をきちんと守ることの申し合わせが必要。
キントーンというシステムが悪くて情報が洩れるのではなく、人為的に言ってしまうということで漏れることが多い。
支援者として被災された方の情報を扱うときには、センシティブな個人的情報の扱いに注意と配慮が必要。

◆災害デジタルボランティアの募集◆

園崎さんのお話の中でもありましたが、発災時にニーズのデジタル化する作業を担うデジタルボランティアが必要になってきます。
トロール会議でも今回参加の高校生に向けて、災害デジタルボランティアの説明と募集を行いました。

デジタルボランティアとは

発災時はさまざまな情報が混雑しており、ニーズの把握や被災状況の収集が遅くなります。
トロール会議では速やかな情報把握を図るため、デジタルを利用した情報整理・発信・仲介等を行っています。
そのため、パソコン、スマートフォン等を使ってデジタルの側面から避難所やトロール会議などの災害現場をサポートする人員を募集します。

◇デジタルボランティアの役割

アナログ情報のデジタル化です。
避難所や支援者から送られてくるアナログ情報のニーズをデジタル化します。
具体的には、支援者が情報共有シートに記入した手書きの情報を、デジタル人員が文字入力します。

◇デジタルボランティア募集条件

1.パソコン、スマホでの文字入力ができる方
2.Zoomなどを使ったオンライン通話ができる方
3.研修会を2回受講できる方

◇事前登録フォーム


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