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[現役博士院生が語る]博士課程に進んで良かった点と後悔

こんにちは、いま自宅の洗面所が絶賛詰まり中のゆってぃです。

今回の記事は、現在D2の後半 (12月)になった私が、博士過程に進んだのは正解だったのかどうか振り返ってみようと思います。

今まで自分のキャリアパスについて全然向き合ってこなかったので、自分でも振り返るのが少々怖いところです。

何はともあれいってみましょう!

2020/12/23 追記
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プロフィール

まずは私のプロフィールを簡単にご紹介します。

私は国立大の理学部 生物科学科の出身で、そのままエスカレーター式に同大学の大学院に所属しています。

学年は博士2年(D2)です。

研究分野は神経科学です。これは就活にも若干関わってきそうですが、線虫という生き物を対象にしています。

なぜこれが就活に関わるかというと、企業で線虫を扱っている所がほとんどないからです。例えば製薬だとマウスや培養細胞を扱えると良いと噂で聞きます。その点で線虫を扱っていて有利になることはまずないでしょう。うーん残念。

博士進学を決めた理由

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簡単なプロフィールを見たところで、まずは私が博士進学を決めた理由をお話します。

まず私は学部・修士の頃から博士に進学するつもりでいました。

アカデミアで研究していきたかったので、自然とPh.Dを取る道を選んだんですね。

また博士を選んだ別の理由として、就活から逃げたかったのも少しあります(笑)。

企業でどういう仕事がしたいとか、どんな企業に行きたいなどのビジョンが全く無かったので、もう少しモラトリアムを堪能したい甘えがあったように思います。

今思えばそんなビジョンを持ってる人はおそらく少なくて、とりあえず早く社会に出てお金を稼いで自立したいというのが就職の道に進む人の大半ではないでしょうか?

概して修士の頃の自分は、経済面などの現実的なことをあまり考えていませんでした。

そんなこんなで流れるように博士に進んだわけです。

博士進学して良かった点 (1)利益はいらない

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さて、では博士に進んで折り返し地点をすぎた私が、このキャリアについてどう感じているか書いていきます。

注意点として、多くの場合、企業との比較は書きません。これは僕自身が企業就職を経験していないからです。知り合いの方から企業での経験談を聞くことも多いですが、自分の実体験ではないのであまり多くは書かないでおこうと思います。

ではまず博士に進んでよかった事の一つ目は、利益になりにくい基礎研究でもできる点です。

これは僕がアカデミアの研究者になりたいと考える最も大きな理由です。

僕自身、自然への興味がかなり強くて、「なんでこうなってるんだ?」と不思議に思う事は山ほどあります。その内のわずかでも、実際に仕組みを理解したいと思って研究の道を歩んでいます。

やはり一般的に利益を重視する企業よりも、どうしても研究したいテーマが利益に繋がりにくいものならばアカデミアの道に進むのが今はメジャーな選択肢となっています。

周囲の環境としても、"役に立つ"ではなく"おもしろい"をベースに話ができる機会が多く、それは博士に残って良かった点ですね。

博士進学して良かった点 (2)情報収集し放題

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博士進学して良かった点の2つ目は、研究関連の情報に溢れている事です。

その代表が論文!

大学や研究機関は企業と比べて読める論文の量が全然違います。論文雑誌を購読してるかどうかの差ですね。当たり前のように論文が読める事は実はとても幸せな事なんです。

以下は化学系の研究職に就職された方のコメントです。

そもそも企業が出版社と契約していないとだめなのですが、特定のジャーナルしか契約していないとか、取得件数に上限があるため上司の許可をもらわないと取れないとか、各社いろいろあるようです。急ぎでないなら外注する場合もあります。ということで、読めるのは1週間後とかザラです。 (たこつぼの穴HPより引用)

読みたい論文1つ読むのも一苦労のようです。論文を読むのが好きな私としては、読みたい時にすぐ読める今の環境には感謝しかありません。

また論文以外にも、研究関連の求人情報やセミナーの情報などが大学からメール等で回ってきたり、やはり情報を得るのに苦労しにくい環境かと思います。

他にも良かったと思っている点は多く、研究に対する理解が深まっていったり、研究に集中できる環境だったり、あとこれは副産物ですがメンタル鍛えられたなとかもあります(笑)。お金を払いながら労働しているような状況ですから、ふとした時に何してるんだろうと思ったりもしますが、その辺の乗り越え方も心得てきました。

総じて私は博士進学して良かったなと思っています。

ただもちろん良いことばかりではありませんから、最後に就職してた方が良かったかなと思っていることを少し挙げてみます。

博士進学していなかったら・・・ (1)お、お金、、、

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まぁ第一に思い浮かぶのはお金ですね。

当たり前すぎるので簡単に済ませますが、経済的に独立して自由にお金を使えたらなと時々思います。

私はありがたいことに学費免除&奨学金受給があり、自分一人の生活は何とかできる状況ですが、それでも実家を離れて一人暮らししているため余裕はありません。

2020年12月現在でも政府が支援を視野に入れてくれているのですが、日本の経済状況も良くはないですから、劇的な状況変化は見込めないでしょう。

博士進学していなかったら・・・ (2)周囲の理解

もう一つもありきたりですが、大学院生、特に博士院生は周囲の理解があまり得られません。

20代半ばにして学生という身分です。親の理解を得られない場合もあるでしょうし、親戚や知人から所詮学生として扱われる感じに嫌気がさすこともしばしばです。

外国人だと反応も違うんですけどね。

英会話教室の先生とかに自己紹介すると、Ph.D studentかい?と聞いてきて、すごいねー何の研究をしてるの?という話になることが多いです。

はたして日本の非研究者でPh.Dという言葉を知っている人がどれだけいるでしょう?うん、考えないことにしましょう。理解を得たければ、科学や研究の実態を世に広めていかないといけませんね。

企業就職に対するジェラシーは概ね上記の2つですね。

あと周りからよく聞く話として、企業の研究職の方が仕事が楽なケースもあるようです。結構多くの大学院生は朝から晩まで研究室にこもってますし、いわゆるブラックラボだと異常な仕事量に加えて人間関係のトラブルも起きやすいです。それと比べたら、長くても月に数十時間の残業で済む企業は天国でしょうね。もちろんこれは場合によりけりですが。

あと聞く話は、学部のうちに恋人をつくっておかないと院に入ってからは出会いの場が少なくなるという話ですね。これも人によるでしょうし、周りを見てもそんな感じはしないのですが、僕が学部生の頃に先輩方がよく言っていました。まぁ恋愛はともかく、結婚は金銭的な面や色んな安定感から就職した方が考えやすいでしょうね。

いま思う、将来のこと

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ここまでまとめると、「博士課程は基礎研究もできて研究に集中しやすい環境なので個人的には満足。ただ金銭的・社会的な不満は若干ある」が今のところの感想です。

さて、これを踏まえて私の今後、つまり博士卒で就職するのが良さそうか、アカデミアの研究者になるのが良いか、はたまたその他か、軽く考えて見ましょう。

結論は、アカデミアに残る考えが強いです。ただし就職も視野に入れつつです。

やっぱり基礎研究をやっていきたい気持ちが強いですね。

ただやはり不安なのはアカデミアで生き残れるかどうか。ポストを得続けられるかどうか。ここは全く自信がないです。

それも踏まえて、自分試しで一度ポスドクを経験してそこで判断しようかというのが今の考えです。修士でも流れで博士に来た私。博士卒でも判断を後回しにします(笑)

まぁポスドクが大きな分水嶺でしょうね。そもそもポスドクの職を得られるかも分かりませんが。

そんなこんなで私はこれからも頑張って研究します。まずは卒業!

研究している方もそうでない方も、生きるのって大変ですが一緒に頑張っていきましょう!

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