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工学部生に告ぐ! 英語の技術論文(参考文献)を自身の資産とせよ!

Google翻訳やDeepL翻訳.本当にありがたい.あるものはどんどん利用して,その向こう側の領域(テクノロジーで解決できうる社会課題)にできるだけ早く到達して,色々考えたいですよね.

多くの大学の研究室では,大学院生が主体となって,輪講を行っているのではないでしょうか.研究室ごとに色んなスタイルで実施されていると思います.技術論文の読み合わせというのは,情報共有・発表練習・まとめる/伝える力を育てるのに非常に有効で,研究室にとっても個人にとっても大切な資産になりえます.
その大切な資産をさらに価値あるものに昇華する方法があります.

英語の参考文献を,ただ単に課題だから読む,単位取得のために日本語に翻訳するというのではもったいない.

もちろん英語の参考文献を日本語に訳するだけでも勉強になります.それは,本の辞書を用いて手で日本語訳をノートにメモして,日本語として分かりにくい文章や非人称主語の分を意訳したりして,新たに日本語でプレゼンできるレベルに書き起こしている場合の話です.

今ではDeepL翻訳などの優れた翻訳ソフトがあふれ,そこにコピペして,出てきた日本語訳を並べて体裁を整えれば課題をこなしたことにはなります.でもそれでは何の役にも立ちません.(いつも言いますが,人の筋トレを見ていても,筋肉はつきません.)

もう一度言います.学生の時には実感できないかもしれませんが,自身が訳した技術論文は一生を通しての大切な資産になり得ます.ですので,翻訳ツールを使ってもいいので,内容に言及する(一人ツッコミをして考察する)ことを忘れないで欲しいのです.では,どうすればいいのか.一例を示したいと思います.(あえて,汚いサンプルとしています.きれいに書くことに意識を向けないで!)

技術論文サマリー集

タイトル欄

1.せっかく自分の大切な時間を割いて取り組むのだから,読む論文をしっかりと選定するところから始めて下さい.それは,自分の論文の参考文献としてふさわしいか.研究室の大きなテーマやジャンルに則しているか.古すぎないか.

2.タイトルをよく吟味して下さい.アブストラクトを読んだ時に,『自分ならもっとふさわしいタイトルをつけるのに』と思ったあなた,大変すばらしい!将来飛躍する素養をお持ちだと思います.全文を読み終えた後,自分なりにタイトルを再考してみて下さい.そして,ご自身が書く論文のタイトルは,とことん悩んで付けて下さい!

3.タイトルの意訳 → 直訳の日本語タイトルではなく,その論文を完結に表現するとしたら,どのような日本語タイトルがふさわしいかを考える.

目的欄

4.この参考文献を読む目的をできるだけ具体的に記述する.今,自分は○○という研究を進めようとしているが,逆機構解析における可視化のトレンドを知りたいとか,△△の走行制御に関する□□の定式化について参考となる式を探しているなど.

検索欄

5.せっかく論文を読んで,まとめても後で検索できないのでは意味がない※.検索キーワードなどを記述しておく.記号なども駆使して,重要度で分類できるようにしておく.
情報をかき集めることは,インターネット時代において何もしていないのと同じと考えなければなりません.情報を集めただけで仕事をしたと思ったら大間違いです(これはいつも自分に言い聞かせています).取り出したい時にすぐ取り出せる様にしておくことが大切です.GoodNote5を使えば,それも大変楽にできます.例えば,検索欄に,『問題』と打てば,全書類ファイルから検索してページ数も表示してくれるし,もちろんそこにジャンプしてくれます.しかも,簡略して書いた手書き文字であっても検索するのです!!(この機能があるから,使っているといっても過言ではない)

簡略手書き文字も検索できる!!

結果欄

6.その論文の最も重要な部分(結果)のサマリーを書く.必要なら,グラフを大雑把にプロットして,著者が述べていることを書く.その右側に自分の反論や考察,疑問に思ったことを書く.本来,輪講ではこの部分をじっくりと協議することが重要となります.また,実験の内容やシミュレーションの方法,自分が重要であると思った数式については,しっかりメモしておく.数式はかなり端折って掲載されていることがほとんどなので,Maple/Mathematica/MathCad/Maximaなどの数式処理ソフトを利用するなどして,自分の研究に関連しそうな数式は追っておくと役に立ちます.

突っ込み所とその対処欄

7.完璧な論文なんてありません.疑問に思ったところや分かりにくいところはあります.読み直しても不明瞭な領域など色々残っているはず.人の論文を読んで,もやもやしたことを言語化する作業はとても疲れます.でも,ここが最も大事です.心して取り掛かりましょう.論文に掲載されている図や結果は,最も良いデータを提示している可能性もあります.その結果をさらに補強するとすれば,どういった追加試験が必要で,どのような理論武装すればさらに確からしいと言えるのか,著者と一緒になって考えることが最も効果の高い知的トレーニングです.

最後に

ここまでお読み下さったあなた,iPadお持ちの方は,技術論文サマリーのpdfファイルをGoodNote5※に読み込んで,どんどん自身の資産を増やしていって下さい.一気に仕上げる必要はありません.気が乗った時に論文を引っ張り出してきて,書き足すといったことをやればいいのです.汚くても稚拙でもいいのです.これを愚直に続けることが研究者・エンジニアのライフワークだと思っています.
ともに頑張っていきましょう.一生エンジニア,万歳!


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