11/25開催【スタートアップアカデミー】大企業×スタートアップ 協創実現に向けたポイント 「Epson×Via-at」「NTTドコモ×Catalu JAPAN」の例から イベントレポート
皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は2021年11月25日(木)のイベント
【スタートアップアカデミー】大企業×スタートアップ
協創実現に向けたポイント
「Epson×Via-at」「NTTドコモ×Catalu JAPAN」の例から
についてレポートしていきたいと思います!
本イベントでは、セイコーエプソン株式会社、および我々NTTドコモベンチャーズの両企業、および両者とそれぞれ協創に取り組み、事業開発に成功したスタートアップ2社をお招きし、大企業とスタートアップの協創に向けたポイントについて議論をしていただきました。
・大企業とスタートアップの協創がどのように行われているのか興味のある方
・どのような協創の例があるのか知りたい方
に特に必見の内容となっておりますので、ぜひご確認ください!
以下、当日登壇していただいた各社取り組みを交えながら、トークセッションの内容についてもたっぷりと紹介していきます!
まずはNTTドコモベンチャーズを除く3社の取り組みが紹介されました!
<登壇会社様の取り組み>
■1社目:セイコーエプソン株式会社/小原様
1社目は、セイコーエプソン株式会社 P事業戦略推進部 小原 秋寿様にご登壇いただきました!
<セイコーエプソン株式会社 P事業戦略推進部 小原 秋寿様>
・セイコーエプソンの協創への取り組み
セイコーエプソン社では、2021年3月に長期ビジョンを見直し、
新たに「Epson 25 Renewed ビジョン」を策定発表しました。
その内容として、
「省・小・精の技術」とデジタル技術で人・モノ・情報がつながる、持続可能でこころ豊かな社会を創造する
を掲げています。
上記の実現に向けて重要だと考えているのが、環境・DX・共創の3つです。
その中でセイコーエプソン社では、オープンなソリューションにより、印刷の進化を主導することを宣言しています。
リモートに対応した分散プリントやスキャンができる環境の提供に取り組み、環境負荷低減・印刷性向上の実現に向けて共創を推進しています。
■2社目:株式会社via-at/河嶋様
2社目は、株式会社via-at 代表取締役 河嶋 茂様にご登壇いただきました!
<株式会社via-at 代表取締役 河嶋 茂様>
・via-atの協創への取り組み
via-at社は
「ワークスタイルDX、ロケーション認証型サービスの創出」に取り組んでいます。
身近で仕事ができる環境(コワーキングスペース)をたくさん創ることを目指しています。
via-at社のコワーキングスペースの特徴としては、アプリで簡単にチェックイン、チェックアウト、支払いができるという点です。
さらに、このコワーキングスペースは仕事ができる場所を提供するという点だけには留まらず、簡単にプリントアウトができたり、地域体験、カフェなど多彩なサービスを同時に提供することに現在取り組んでおり、その際に協創が生まれています。
実際に、”プリントアウトのサービス”という点で、1社目にご紹介したセイコーエプソン社と協創しています。
■3社目:株式会社Catalu JAPAN/吉本様
3社目は、株式会社Catalu JAPAN 代表取締役 吉本 正様にご登壇いただきました!
<株式会社Catalu JAPAN 代表取締役 吉本 正様>
・Catalu JAPANの協創への取り組み
Catalu JAPAN社は、地方創生をテーマとして
集客機能を持つ「体験型EC」を提供しています!
現在、60%以上の製造業者が
「良い製品を作っているのに販路がない」
という課題を抱えています。
また、ECを作成しても集客ができないということがネックになっている現実があります。
そこで、Catalu JAPAN社では
「リアル店舗での展示・体験を通じて集客を行い、お客様にネットで購入をしてもらう」
といったサービスを提供しています。
具体的な仕組みは以下の通りです。
①営業中のサービス店舗(美容院や飲食店、宿泊施設)などのスペースに、メーカー様の製品を展示させてもらう
②そこで、お客様に製品を実際に体験してもらう
③お客様が良いと感じていただいた場合、ECで購入してもらう
Catalu JAPAN社では現在、大企業や政府とも協力してサービス展開を行っています!
<トークセッションのご紹介>
ここからはスタートアップと企業の全4社によるトークセッションの様子をご紹介します。
セッション中以下大きく4つのトピックについてお答えいただきました!
Q1) 実際にどのような協創を実現した?
Q2) スタートアップからみた企業との協創に対する魅力、期待値、そして課題とは?
Q3) どうやってサービスをデザインしたのか?どちらが何をどのように?双方の役割分担は?
Q4) オープンイノベーションはもっとうまくいくはず〜双方から見た協創促進のポイントは?
モデレータとして共催のRouteX社より塚尾様を交え、非常に盛り上がる議論となりました!
Q1) 実際にどのような協創を実現した?
・「Epson×Via-at」の場合
「Epson×Via-at」では、
Via-at社のサービスを表層的にセイコーエプソン社に使っていただくという形ではなく、Via-at社のサービスにセイコーエプソン社のプリンティング技術を組み込む、いわば「全く新しい事業を生み出す」形で協創しています。
お互いに持っている強み(Via-at社のカフェ空間を仕事空間として自由にチェックイン・アウトできるビジネスモデルとセイコーエプソン社のクラウドプリントの技術)をうまく掛け合わせると、何か面白いことができるのではないか、という考えから、2社のコラボが始まりました!
・「NTTドコモ×Catalu JAPAN」の場合
「NTTドコモ×Catalu JAPAN」では、Catalu JAPAN社と岐阜県のドコモショップが連携し、各ドコモショップにおいて、地元岐阜の製品を展示・販売するサービスを行っています。
背景として、ドコモショップではスマートフォン契約のオンライン化の進展や、コロナ禍による来客数の減少に対し、店舗ならではの新たな価値提供による事業拡大を進めていく必要がありました。
その解決策の1つとして、Catalu JAPAN社のサービスをうまく組み合わせる取り組みがスタートしました。
課題とソリューションをうまく組み合わさった良い例として双方から感嘆の声が上がりました!
Q2) スタートアップからみた企業との協創に対する魅力、期待値、そして課題とは?
まず、スタートアップからみた企業と連携する「魅力」や「期待値」として大きく2つのことが話題に上がりました。
①大企業ならではのリソース(人、お金、店舗 etc)を利用できること
一般的にスタートアップにはリソースが十分ないケースがほとんどで、市場に対してインパクトの大きい事業を提供する上で大きなネックになります。
そこで、大企業と協創することでそのリソースを活用することができ、今まで育ててきたビジネスモデルとのシナジーを生み出すことで事業を一気に広げられる可能性が高まるといえます。
②市場からの信用が得られること
スタートアップは知名度もなく、信用という点では大企業に劣ってしまいます。しかし、大企業との連携は実績として大きなネームバリューとなり、それによってユーザーからの信頼と今後の事業活動における信用を得ることが可能となります。
なかなか意識できない「信用力」が得られるというのもまた協創の大きな魅力の一つです。
上記の2つは、本来スタートアップがウィークポイントとして抱えることの多い内容ですが、大企業との協創によって、うまくフォローできることがよくわかりました!
次に、協創をする上での「課題」が話題となりました。
一言でいうと、協創における課題、それは「大企業における組織構造の複雑さにどのように対応するか」ということです。
・多重構造な大企業の壁を乗り越える
具体的に、NTTドコモ社の場合、Catalu JAPAN社はドコモ・ベンチャーズが支援をしていましたが、ドコモ・ベンチャーズ社はスタートアップ専業で支援をする子会社です。
一方で、今回連携した岐阜県のドコモショップは、ドコモ社の東海支社、
さらに子会社配下の岐阜支店が管理しています。
そのため、ドコモ・ベンチャーズとしては、どうやって岐阜支店のドコモショップに働きかけるかというのが最も難しい課題の一つでした。
そこで、ドコモ・ベンチャーズでは、Catalu JAPAN社のサービスがどのように現在のドコモ社が抱えている問題を解決するかを営業本部や関係者にビジュアル化し、各社のKPIを満たすように分かりやすく伝えました。
結果、トライすることの意義について各方面に賛同をもらった上で実際にトライしてみようという流れになりました。
加えて、岐阜支店の担当者にそのサービスは非常に良いのではないかと熱意を持ってもらえたことが大きな成功要因の一つでした。
協創をする上でまず私たちがやるべきことは、”如何に関係者にわかりやすく伝えられるか、関係者それぞれの目標に(間接的にでも)迎合するか””ということです。
特に注意したことは以下の3つです。
・今ある共通課題の克服を前提とした協力しやすい内容での初期提案をする
・目先の数字を追いかけないゴール設定
・今、すぐにでもできるレベルの内容をもとに直接相対する熱量高い担当者を確保
あまり無理をせずに、どういう伝え方をすればわかりやすいかが非常に重要となります。
こういった課題に対するアプローチとして4社を交えた会話の中で大きく2つのポイントが垣間見えました。
①ワークフローに関して共通のイメージをもつこと
協創の場でよく起こるのが、「企業とスタートアップ間における仕事の進め方の違い」です。縦割りの組織である大企業では部署をまたがる連携も自ずと多くなりますが、スタートアップと大企業間、また大企業の中でも仕事の進め方が違うことによって大きな齟齬が発生してしまうことも多々あるといいます。
その課題を解決するために、企業の部署間およびスタートアップで共通のワークフローを作り、その見える化を実施しました。
円滑な協創を実現する上では、欠かせないものとして強くお話されていました。
②「熱量」を伝えられることか
これが一番大事なポイントです。特にイベント中では、企業側が熱量をもつことが活発に議論され、エプソン社 小原様曰く、「自分がVia-atの社員になったつもりで」協創に取り組んでいたといいます。
逆にスタートアップ側が連携する大企業を選ぶ場合には、その企業が熱意をCatalu JAPAN社 吉本様はお話されました。具体的には役員がその活動に関わるぐらいの温度感があることを必要条件としていたそうです。
「お互いが熱量をもって協創に取り組む」
一見根性論のようですが必要不可欠なのだと言うことを改めて感じました。
Q3) どうやってサービスをデザインしたのか?どちらが何をどのように?双方の役割分担は?
・「Epson×Via-at」の場合
0→1、つまり事業アイデアを生み出す段階から、共同で行ったそうです。
Via-at社としては、もう一つ新しいプロダクトを作るといったイメージで、非常にチャレンジングな活動だと河嶋様は振り返っておられました。
また、セイコーエプソン社はプロジェクトマネジメントを担当し、先述のワークフローの策定や課題の抽出を率先して実施されたようです。
もちろん、計画通りにいかないことも多々あるため、その時は両社が何度も話し合いを重ね、共に作り上げていきました。
・「NTTドコモ×Catalu JAPAN」の場合
一方、こちらのサービス開発の場合は、協創がスタートした時点で、ある程度サービスの構想ができあがっていました。
そのため、マネジメントの部分でドコモ社が引っ張る形でサービスをデザインしていきました。
Epson×Via-atの例と同じように、うまくいかないことももちろん出てくるため、その時には、できるだけ綿密に考えをすり合わせていきました。
協創の例によって、色々な分担のやり方やサービスデザインのやり方があると感じる一方で、やはり同じ熱量を持ってサービスのデザインをすり合わせることが重要であることを感じました。
Q4) オープンイノベーションはもっとうまくいくはず〜双方から見た協創促進のポイントは?
スタートアップ、大企業双方の弱みを補完し合うことが協創の一番の良さです。
そのためには、何度も繰り返しますが同じ熱量を持つこと、同じ会社、チームの一員だと思って仕事をすることが重要です。
お話を聞いていて、スタートアップ、大企業の垣根を越えて同じ熱量を持ってサービス協創に取り組むことが非常に重要だということを強く感じました!
まとめ
今回は、「Epson×Via-at」「NTTドコモ×Catalu JAPAN」の例から
大企業とスタートアップの協創のお話をお聞きしました。
お互いの弱みを補完し、強みを伸ばしていく協創の可能性を非常に感じられました。
また、その際に生じる課題や、それをどう乗り越えていったのかという点も非常に勉強になるお話でした!
今後ますます、大企業とスタートアップの協創が実現されていくことを期待します。
今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!
引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!
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