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文鮮明師からセウォル号まで 韓国はキリスト教カルト天国 - 新潮45(2014年9月号)


昨年12月にNHK『おはよう日本』がキリスト教福音宣教会(摂理)による偽装勧誘を取り上げました。放送をご覧になった方も多いと思います。

一方、3年前(新型コロナウイルスが蔓延し始めた頃)新天地イエス教会が礼拝を続け、集団感染を招いたことは日本でも大きく報道されました。

また、2014年に仁川港から済州島へ向かう途中で沈没し大勢が犠牲になったセウォル号(世越號、MV Sewol)の運航会社・清海鎮(チョンヘジン)海運の実質的なオーナーはキリスト教福音浸礼会(救援派)の兪炳彦(ユ・ビョンオン)教祖でした。検察に追われ逃走した後、教祖の腐敗した遺体が畑の中で発見されました。

プロテスタントの韓流キリスト教にはカルトが多いようですが、北海道大学出版会から刊行されている論文集『越境する日韓宗教文化 -  韓国の日系新宗教 / 日本の韓流キリスト教』

は価格が高いので、【カルト天国】等のキーワードで検索してみたところ、新潮45(2014年9月号)に掲載された『文鮮明から「セウォル号」まで 韓国はキリスト教カルト天国』が目に留まりました。記事(およびテキストの一部)を下記に引用しますが、お時間があれば、記事の前半が公開されている著者(裵淵弘  ベ・ヨンホン氏)のブログをご覧ください。韓流映画・ドラマやK-POPには学ぶべき点が多いですが、韓流の新興宗教は押し並べて危険なようです。くわばら、くわばら...


https://tragedyofthesixmarys.com/ffwpu-uc-and-shamanism/

The Unification Church and shamanism - at its heart the Unification Church is not Christian but it presents a Christian facade.


https://beh3.hatenablog.com/entry/2022/07/18/162618#google_afc_user_container_1:~:text=『新潮45』2014年9月号

文鮮明からセウォル号まで 韓国はキリスト教カルト天国

神と名乗る教祖20人、再臨のイエスと主張する者50人。なぜ韓国社会でカルトが蔓延っているのか。  新潮45(2014年9月号)

裵淵弘(ベ・ヨンホン)ジャーナリスト
1955年東京生まれ。AFP通信社束京支局、AP通信社ソウル支局写真記者などを経て、若述活動に入る。主な著作に「サムスン帝国の光と闇」「朝鮮人特攻隊」「中朝国境をゆく」など。

(前略)

なぜ韓国のプロテスタント教会にはカルトが蔓延るのか。ソウル郊外の九里(クリ)市を拠点にカルト対策に取り組む「韓国基督教異端相談所」の申鉉郁(シンヒョンウク)所長を訪ねた。

「日本では統一教会が知られているでしょうが、韓国人の信者数は一万五〇〇〇人ほどに落ち込み、日本人信者の半分にもなりません。一〇万人を超える勢いのある巨大カルト教団は、海外からきたエホバの証人などを除けば四派に絞られます。ハナニム教会、新天地、万民中央教会、そして救援派です。救援派には三つの勢力があり、兪炳彦のキリスト教福音浸礼会には二万人います。この四派で合わせて五〇万人。この他にも中小の様々なカルトがあり、プロテスタント系の異端信者数は少なく見積もって一五〇万人になるでしょう。プロテスタントの人口が九〇〇万人近くになるので、六人に一人がカルト信者という尋常ではない数字です。その実態は、信教の自由という名のもとに横行する合法的な詐欺です。

プロテスタントは日本の植民地支配と朝鮮戦争後の焼け野原から始まった高度経済成長期に合わせて、韓国で爆発的に広まりました。教皇を頂点とした伝統や組織を重んじるカトリックとは異なり、プロテスタント教会には神以外に主がいません。信者の増加は金に直結するため、きちんとした教義の裏付けもないまま、勝手な聖書解釈が横行するようになったのです。すべてのカルトが教祖型の集団で、自らがこの時代の救援者であり、再臨のイエスだと言い張り、金儲けの手段として教義が書きなおされました。」

(中略)

日本で「摂理」として知られる「JMS」の鄭明析(チョンミョンソク)も、統一教会で学び、女性信者に強姦を繰り返した末に摘発され、懲役一〇年の実刑判決を下されている。そんな宗教を信じるほうにも問題があるが、どうやら血分けの教義にはカルト信者たちを惹きつける魔力があるようだ。そのルーツは一九二〇年代に遡る。

現在の北朝鮮東部の元山(ウォンサン)にあった教会に通う劉明花(リュミョンファ)という女が、自分の体にイエスが入り込んだと主張し、各地を訪ね歩いてイエスが降臨する「降神劇」を演じた。朝鮮には古くから巫堂(ムーダン)と呼ばれる女のシャーマンがいて、「クッ」という祭儀を通して神を憑依させ、お告げをする土着の信仰がある。シャーマニズムとキリスト教を合体させた新しい占いは、人々に難なく受け入れられた。こうして土着化したキリスト教を、太平洋戦争中に教義にしたのが「イスラエル修道院」を設立した金百文(キムベクムン)なる人物で、文はここで見聞きした血分けの教義を真似たと言われる。

文と共にイスラエル修道院に通い、五〇年代末から八〇年代初めにかけ巨大カルト教団を築き上げた男がもう一人いる。「天父教」教祖の朴泰善(パクテソン)。やはり血分けによる混淫が社会問題化したが、信者たちに共同生活をさせる大規模な「信仰村」を各地に作り、最盛期には九〇万人もの信者の頂点に立つ神として君臨する。この統一教会と天父教の二大カルトから枝分かれして、無数の神や再臨のイエスが韓国に登場することになる。

(後略)



(前略)

―― 韓国の政治と宗教には、どのような関係があるのでしょうか。

これも歴史的な背景から説明しなくてはなりません。かつて朝鮮半島のキリスト教の中心地は多くの教会がある平壌でしたが、朝鮮戦争が起こって、北側にいたクリスチャンが宗教的自由を求め南に逃げてきた。この経緯から韓国のキリスト教の基本的性格には「親米・反共」の信条がありました。

中でも、アメリカ留学経験者が多かったプロテスタントは、同じくプロテスタントでアメリカ帰りの初代大統領、李承晩を支援するなど、保守勢力として大韓民国成立に大きく関わっていったのです。

一方で、カトリックはプロテスタントほどアメリカ留学経験者が多くなかったこともあり、当初から親米路線が弱かった。加えて、1962~65年の第二次ヴァチカン公会議でカトリックの総本山から世界各国のカトリック教徒に向けて、社会に対して積極的な姿勢をとって協調するようにという方針が出されると、韓国カトリック教会も人権など社会問題の解決や民主化路線の強化に舵を切りました。枢機卿や司教は、韓国の軍事政権への批判を続け、カトリックは韓国の民主化運動の一翼を担うようになります。韓国カトリック教会のシンボル・明洞聖堂は、金大中を一時かくまうなど民主化運動の中心地でした。

このような戦後の流れの中で、大まかにいえば「保守派政治家はプロテスタント」、「進歩派政治家はカトリック」という形で密接な関係を築いていった。歴代の大統領も保守派の李承晩や李明博はプロテスタント。進歩派の金大中、盧武鉉、そして文在寅はカトリックです。普通、カトリックは保守的で、プロテスタントがリベラル、というイメージがあるかも知れませんが、韓国ではそれが当てはまりません。かつての韓国の独裁政権を支えてきたのも、保守的なプロテスタントでした。

今回、進歩派が「『新天地』は保守派と関係があった」と主張するのには、前提として、そんな背景があるのです。あくまで「外国の宗教」としてキリスト教を受容している日本に比べ、韓国のキリスト教は政治や社会と広く関わり合って土着化しています。

―― 韓国の新興宗教は韓国国内に留まらず、日本を始め世界に進出しています。「新天地」も日本に支部を持っています。

基本的に、布教には「よい教えを知っている我々が、まだ知らないかわいそうな人たちに教えてあげないといけない」という意識があり、それが世界各地の宗教がよその土地へ進出する際の原動力になっています。

ただ、「統一教会」や「摂理」などの韓国の新興宗教の場合は、現実の政治的な日韓関係が影響している感は否めません。「日本から虐げられたぶん、道徳的に韓国は有利だ。キリスト教が弱く、道徳的にかわいそうな日本人を救う使命がある」という意識が、進出の原動力に加わっている側面はあると思います。

(後略)

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