野球書店の店主

「野球書店」とは本当に面白い野球本だけを(誰にも頼まれてもいないのに)紹介している架空…

野球書店の店主

「野球書店」とは本当に面白い野球本だけを(誰にも頼まれてもいないのに)紹介している架空の本屋です。 なぜなら、野球と本と平和が好きだから。 LOVE &PEACE! BOOKS&BASEBALL!

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    忖度なし!面白い野球本を紹介する架空の書店「野球書店」の書評をまとめています。

最近の記事

【書評】「サラリーマン球団社長」

阪神野崎前社長はプロ野球版「半沢直樹」!阪神、広島という当時の「二大低迷球団」の改革、立て直しに奔走した野球素人「サラリーマン球団社長」2人の活躍を、彼らと同時期に巨人の球団代表を務めていた清武英嗣氏が描くノンフィクション。 FAで巨人移籍濃厚だった緒方を自宅に招いて振る舞った「焼き肉丼」で思いとどまらせ、黒田にメジャーの大型契約を蹴って広島復帰を決意させるなど、お金がないなりに知恵と足と情熱で球団立て直しに奔走した鈴木清明氏(現常務取締役球団本部長)。一方でオーナーから押

    • 【書評】「元ヤクルトスワローズチーフスカウト鳥原公二 プロ野球スカウトの裏話 トリ物帖」

      「メガネを掛けた捕手は要らん」論争に終止符!? 夕刊フジ連載の「元ヤクルトチーフスカウト鳥原公二 トリ物帖」の書籍版です。プロ野球のスカウトを題材にした本といえば、後藤正治氏の「スカウト」、澤宮優氏の「スッポンの河さん 伝説のスカウト河西俊雄」のようなノンフィクションが真っ先に浮かびますが、この本の中身は良くも悪くも夕刊紙レベルです。でも、ヤクルトスワローズの元チーフスカウトがフリーの立場で当時の裏話、秘蔵話を披露しているのですから面白くないわけがありません。ずるい。 こ

      • 【書評】「東京スタジアムがあった ー永田雅一、オリオンズの夢」

        両津勘吉にも愛された「光の球場」「永田ラッパ」と呼ばれ、大映映画社長で大毎オリオンズのオーナー・永田雅一が、今はなき東京スタジアムとオリオンズに見た夢の物語。 昭和38年に完成した「東京スタジアム」のモデルはサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地キャンドルスティックパーク。内外野共に天然芝で、エントランスには現在のバリアフリーの概念にも通ずるスロープを採用。低い内野フェンス、広いロッカールーム、永田がライバル視していた巨人軍の本拠地・後楽園球場を凌駕する明るい照明。地下には

        • 【書評】【蘇る名作】「最弱球団 高橋ユニオンズ青春記」

          おじいちゃん達の青春の記録かつて「最弱球団」と呼ばれる球団がありました。 対戦相手のバッターが本気を出して打とうものなら、自軍の先輩たちから「打つんじゃねぇ、かわいそうだろ!」と罵倒されることもあったといいます。 若き日の西鉄ライオンズの主砲豊田泰光はこのチームと対戦するときはこう思っていたそうです。 「(早くなくなってくれないかな、こんなチーム…)」 8年連続Bクラスに向けて邁進している我が中日ドラゴンズでさえ、相手チームにそこまで同情されることはありません(実はされてい

        【書評】「サラリーマン球団社長」

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          16本

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          【書評】「まかちょーけ 興南 甲子園春夏連覇のその後」

          あの選手達の10年後、そしてメンバー外たちの思い沖縄県勢として初の甲子園春夏連覇を達成した興南高校。 あの夏から10年ーー 甲子園で煌びやかに輝いた、あの選手達はその後どんな人生を歩んだのか? 沖縄に移住し、彼らを高校時代から取材している作家の松永多佳倫氏が当時の主力選手達を追った一冊が『まかちょーけ』(集英社文庫)です。ちなみに沖縄の方言で「まかせておけ」という意味なんだそうです。 本書に登場するのは高校野球ファンの記憶にも新しいこんな顔ぶれです。 ・第一章 島袋洋奨(

          【書評】「まかちょーけ 興南 甲子園春夏連覇のその後」

          【書評】「アナウンサーは足で喋る」

          中日ファンの耳に残る名調子!「郭はもう泣いています」 (1988年の星野政権初優勝の試合の最後の場面) 「こんな試合は今まで見たことない!」 (巨人・斎藤にノーヒットノーラン寸前から落合がサヨナラスリーランを打った時) 中日戦のテレビ放送を思い返すとき耳に蘇る声はいつもこの人です。長らく東海テレビのスポーツアナウンサーを務めてきた吉村功さん。 *そういえば思い出したくもない「10.8決戦」の実況もこの方でした… 吉村アナが2017年に上梓された『アナウンサーは足で喋

          【書評】「アナウンサーは足で喋る」

          【書評】「信じる力」

          かつての「鬼」も今は気さくな名指導者これまで監督として指導してきた、公立高校2校を含む4校を甲子園に導いた実績を持つ持丸修一監督(専大松戸)が自身の指導者人生を振り返った本です。 4校で甲子園出場を果たしたのは長い高校野球の歴史の中でも二人しかいないそうです。ちなみにもう一人の監督は佐賀商、千葉商、印旛、柏陵の4校を甲子園に導き、81年にはセンバツ準優勝を果たした蒲原弘幸元監督。*詳しくは2013年に出版された「野球導」(蒲原弘幸/日刊スポーツ出版社)でどうぞ。 29年前

          【書評】「信じる力」

          【書評】「井上一樹自伝『嗚呼、野球人生紙一重』」

          井上さんの不思議な「愛され力」「俺みたいな男の本、誰も読まんわ」という自虐的な帯のコピー。 「そうだね」と心の中で相槌を打ってしまい申し訳ありません。 星野仙一が亡くなる数ヶ月前、井上一樹が立浪和義と共に星野にインタビューしている映像がYouTubeにあがっています。井上さんはこの二人に無性に可愛がられていたことがこの本から分かります。 入団当初は星野に名前も覚えてもらえず、たまに先輩の巻き添えで怒られる時に「小僧!」と呼ばれるくらいだった井上さん。それが1軍で活躍する

          【書評】「井上一樹自伝『嗚呼、野球人生紙一重』」

          【感想】「歴史に学ぶ プロ野球 16球団拡大構想」

          タイトルと内容がミスマッチ!だが圧倒的に面白い!これからのプロ野球、16球団になったらどんな風に変わるんだろう? どこに新しい球団ができるかな? 新潟? 静岡? 沖縄? 四国? 新球団できたらCSが面白くなるよね! 拡張ドラフトやったらどんな選手が指名されるかな? そんな期待をいだいてこの本を開くと、おそらくAmazonレビューで低評価をセコセコ書き込むことになってしまうと思います。 なぜなら、この本「プロ野球16球団構想」と掲げてありますが成分の95%はプロ野球の「歴史を

          【感想】「歴史に学ぶ プロ野球 16球団拡大構想」

          【感想】「勝ちたければ歴史に学べ」

          野村克也が語る、昭和のプロ野球トリビアたくさんの書籍を遺して天国に旅立ったノムさん。最早どれが遺作なのか分からないほど死後もハイペースで書籍が発売され続けています。 そんな中発売されたこの本『勝ちたければ歴史に学べ』(内容から察するに2017年くらいに書かれたものだと思いますが)の半分は、 「なんで俺の背番号が永久欠番にならずに黒田の背番号が永久欠番なんだ」 「トリプルスリーがこんなに簡単に達成されるのはプロ野球のレベルが下がっているからだ」 「古田は俺が獲れといった」 と

          【感想】「勝ちたければ歴史に学べ」

          【蘇る名作】「弱くても勝てます」(2014/3/1発売)

          野球を愛した秀才たちの悪戦苦闘(笑)39年連続で東京大学合格者数1位(ちなみに初代校長が高橋是清)。そんな超進学校、開成高校にも硬式野球部があります。その野球部は「知る人だけが知る攻撃野球の名門校」。実際に平成17年には全国高等学校野球選手権東京都大会でベスト16まで進出しています。 そんな開成高校硬式野球部を追いかけた著書の高橋氏は初めて開成高校の練習を見た感想をこうしたためています。 「下手なのである。それも異常に」 聞けば練習は週に1回。テスト期間中はもちろんテスト

          【蘇る名作】「弱くても勝てます」(2014/3/1発売)

          【感想】「あのプロ野球選手の少年時代」

          みんな小学生時代から化け物だったわけじゃない!(鈴木誠也は除きます) 日本を代表する6選手、秋山翔吾、前田健太、柳田悠岐、菅野智之、山崎康晃、鈴木誠也の小・中学時代はどんな野球少年だったのか? 当時の監督、コーチ、チームメイトなどから証言を集めた1冊が『あのプロ野球選手の少年時代』(花田雪/宝島社)だ。ちなみに証言だけでなく秋山、柳田、山崎の本人インタビューも収録されています。 年俸を合わせるとおそらく30億円を超えるであろう、今をときめく6選手。さぞや小学生時代から「化け

          【感想】「あのプロ野球選手の少年時代」

          【感想】「証言 ノムさんの人間学」

          早くも第二弾が待ち遠しい! 宮本慎也、頑張れ!昨年発売された『証言 イチロー』(宝島社)がとても面白く、密かに野村克也版、仰木彬版、星野仙一版、野茂英雄版なども発売されないかなと期待していので、発売当日に迷わず購入しました。 古田敦也、宮本慎也、山崎武司、高津臣吾、稲葉篤紀、伊藤智仁、遠山奨志、赤星憲広、江本孟紀など、証言しているラインナップを眺めると、あまり目新しさを感じないのですが、 「『顔と名前を売るために、バラエティ番組にも出なさい』と推奨され、ある日、番組出演後

          【感想】「証言 ノムさんの人間学」

          【蘇る名作】『10・8 巨人vs.中日 史上最高の決戦』(2015/9/2発売)

          「野球書店」開設以前に発売されたため、不幸にも当サイトで紹介できなかった野球本を【蘇る名作】シリーズとして紹介させていただきます。今回は2015年に発売された鷲田康氏の『10・8 巨人vs.中日 史上最高の決戦』(文藝春秋)です。 負けるべくして負けた中日、勝つべくして勝った巨人中日ファン歴30ウン年の店主にとっては振り返るには辛すぎる試合ですが、四半世紀以上の時間が流れようやく振り返ることができました。 本書を読むと記憶違いしていたこと、知らなかったことが数多くあり自分

          【蘇る名作】『10・8 巨人vs.中日 史上最高の決戦』(2015/9/2発売)

          『球童 伊良部秀輝伝』(2014/5/10発売)

          「野球書店」開設以前に発売されたため、不幸にも当サイトでご紹介されなかった野球本を【蘇る名作】シリーズとして紹介させていただきます。記念すべき第一作はちょうど6年前の今頃に発売された、田崎健太氏の『球童 伊良部秀輝伝』(講談社)です。 知らなかった、本当の伊良部秀輝がここにいる映画好きが高じて脚本家の養成学校に通っていた時期があります。そこで面白い脚本とは何かを学びました。それは意外に単純で、主人公が困れば困るほど物語が面白くなるということでした。困難に陥り、敵やライバルと

          『球童 伊良部秀輝伝』(2014/5/10発売)

          今すぐ「Kindleで読める面白い野球本」で打線を組んでみた(高校野球編)

          どこにも行けない、行ってはいけないGW。 自宅ですることがない! 野球本を読みたくても本屋さんが閉まってる! 今すぐ野球本が読みたい! そんな野球本愛好家のあなたに、野球書店がおすすめしたい「Kindleで今すぐ読める野球本」を打線形式で紹介します。今回は「高校野球編」です! 「Kindleで今すぐ読める面白い野球本」(高校野球編)1番センター「不登校からメジャーへ イチローを超えかけた男」(喜瀬雅則/光文社) イチローよりも早く、「日本人初の野手メジャーリーガー」の称号

          今すぐ「Kindleで読める面白い野球本」で打線を組んでみた(高校野球編)