書評:「だれも教えてくれなかった 本当のレーザー治療・美容皮膚科治療」
渡辺晋一(著)「だれも教えてくれなかった 本当のレーザー治療・美容皮膚科治療」の書評です。
レーザーを扱う美容皮膚科医や皮膚科医、美容外科医の先生方におすすめの本です。この本は本当に読んで良かった1冊です。シミの鑑別が苦手な一般皮膚科医にもかなりおすすめできる本です。
書評
この書籍は、国内初のQスイッチルビーレーザー開発に携わった著者の渡辺晋一先生が、基本~疾患別の治療法までレーザー医学と美容皮膚科の全てを紹介しています。
すべてというと難しそうですが、内容を見ると、基礎的な部分も非常に分かりやすく嚙み砕いて説明されており、初学者でも問題なく読むことが可能となっています。
病態からみた治療のメカニズムや、治療が効いた症例と効かなかった症例の根拠など、他にない切り口も示しています。症例写真も豊富で、図表も多く使用しているので、ビジュアル的にもわかりやすいと思います。
レーザー治療は、根拠なく行われていたり、不適切な治療が行われていることも少なくないので、この本を読むことで、根拠に基づいたレーザー治療が行えるようになると思います。
シミといっても、たくさんの種類があり、適切に診断することの重要性についても繰り返し説明されており、この本を読めば、シミの鑑別にも強くなることは間違いないでしょう。
さらに、美容ビジネスの利益相反や選択的出版など様々な問題にも触れています。したがって、エビデンスに基づいた治療を心掛けていきたい皮膚科医にもおすすめの本です。
日本の全ての美容皮膚科医が根拠に基づいた適切な治療を行えるように、本当に患者の為となる治療とは何かを記した著者渾身の一冊です。
本書の構成
本書の構成は下記のようになっています。
大きく、レーザー治療総論と治療の実際の2部構成となっており、レーザー治療総論では、レーザー治療の根本原理を説明しています。
治療の実際では、各疾患毎の治療法や、美容皮膚科治療などを詳しく解説しています。
目次
序 文
Ⅰ レーザー治療総論
A レーザー治療の基本
B 今あるレーザー機器
C 肌の色と色素異常症
D 色素性皮膚病変治療に用いるレーザー装置
[Special Column]Qスイッチルビーレーザー開発記
E レーザー照射後の皮膚の変化
F レーザー治療による主な副作用とその発生メカニズム
Ⅱ 治療の実際
A 色素沈着症
1.色素異常症の総論
2.色素沈着症の治療の実際
a.太田母斑
b.太田母斑類似の色素病変
c.蒙古斑
d.母斑細胞母斑
e.刺 青
f.茶あざ
g.老人性色素斑
h.老人性疣贅(脂漏性角化症)
i.肝 斑
j.口唇の色素斑
k.炎症後色素沈着
l.雀卵斑(ソバカス)
B 血管性病変
1.血管腫の総論
2.血管腫の治療の実際
a.毛細血管奇形
b.サーモンパッチ(正中部母斑,Unna母斑)
c.毛細血管拡張症
d.くも状(星芒状)血管腫
e.乳児血管腫
f.海綿状血管腫(静脈奇形)
g.静脈吻合を伴う血管腫(動静脈奇形),動脈性蔓状血管腫
h.血管芽細胞腫
i.被角血管腫
j.老人性血管腫
k.血管拡張性肉芽腫(化膿性肉芽腫)
l.蛇行状血管腫
m.Osler-Weber-Rendu病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)
n.グロムス腫瘍
o.血管腫を伴う母斑(血管母斑症)
C 美容皮膚科治療
a.レーザー脱毛
b.レーザー照射による非特異的な熱傷害を利用した治療
c.高出力短パルス光発生装置(IPLなど)
d.低出力レーザー
e.ケミカルピーリング
f.美白剤
g.レチノイド
h.ニキビ治療
[appendix]レーザー照射時の痛みとその対策
最後に
索 引
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