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新規投資のご報告|米国Paystand

2020年2月7日付にて、米国Paystand社より配信されましたプレスリリースの通り、弊社DNX Venturesは、B2B企業向け決済処理のサービスを提供するPaystand社(以下Paystand)へ、シリーズBラウンドにて投資を実行したことをご報告致します。本ラウンドへは、DNXが既存投資家であるLeap Global Partnersと共にリードをとり、Battery Ventures, BlueRun Venturesらと共に投資致しました。
>> プレスリリース(英語)

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Paystandって?

Paystandはブロックチェーンの技術を用いて企業間決済をクラウド上で提供するスタートアップです。手数料ゼロのサブスクリプションモデルを導入し、企業の決済・送金手続きのデジタル化と自動化を実現します。米国では既に使われている既存ERPシステムの「NetSuite」や「Xero」などとのインテグレーションに優れており、Paystandによって請求書の発行から会計調整までの全てのプロセスを一括で行うことができます。

2017年のシリーズA資金調達以降急速に事業を拡大し、カナダやメキシコへの進出を経て、現在顧客規模16万社、売り上げは2017年当時の10倍に及んでいます。さらに、2019年には世界初のハイブリットブロックチェーンをローンチ。オープンAPIを利用し、パートナー企業であるJCB、Silicon Valley Bank、 First Dataとの連携が可能となり、さらに多くの決済データ処理を開始しました。

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B2Bペイメントを取り巻く課題

「Venmo」や「PayPal」などの「P2Pペイメント」と呼ばれるサービスにより、個人間の金銭のやりとりはアプリ上で簡単に行うことができるようになってきました。しかし、企業間の決済処理は未だにファックスや小切手、銀行間送金など、“前インターネット時代”のプロセスが主流であり、 企業は高い手数料や長い手続きに悩まされています。

モダンバンキングの勃興

2020年1月に発表された、Visaが金融サービスAPIスタートアップ「Plaid(プレイド)」を53億ドルで買収するというニュースが記憶に新しいですが、他にも仮想通貨投資アプリの「Robinhood」がバリュエーション57億ドルを記録し、「Fidelity」が決済サービス大手のWorldPayを430億ドルで買収するなど、米国ではモダンバンキングを実現する金融テック企業の成長が目立ちます。これは決して偶然ではなく多くの大手金融機関がイノベーションの必要を感じ、こぞって動き出している様子が伺えます。

勢いづくB2Bフィンテック

2019年の米国では、コンシューマー向けフィンテックスタートアップへの投資額の減少が見られましたが、B2Bフィンテックスタートアップへの投資額はグローバルで735億ドルと引き続き伸びています。その理由は、コンシューマー市場に比べて10倍以上の規模あること、そしてその半分が未だ現金や小切手などの紙ベースで行われていることです。今後しばらくB2Bフィンテックへの投資は増え続けると予想しています。

テクノロジーの進歩

金融インフラへのイノベーションの必要性が騒がれ始めて久しいですが、ここ数年ようやく次世代金融インフラを整えるためのテクノロジーが成熟してきたように感じます。ブロックチェーンは、既に個人間送金やオンライン商品の支払いなど、人々の生活に身近な場面で使われるようになりました。また、米国では大企業によるSaaSサービスの導入も一般的となり、紙ベースでビジネスを行ってきた保守的な業界も、クラウドを受け入れる態勢が整ってきました。

日本市場への進出

Paystandはここ1年、日本やメキシコへの展開にも積極的な姿勢を見せています。日本では、既に公式プレスリリースにて発表されている通り、JCBとのパートナーシップを発表しています。Paystand CEOのジェレミー・アーモンド氏は、1億3000万人の顧客規模を抱えるアジア最大のペイメントプロセッサーであるJCBとのパートナーシップにあたり、国内決済の90%以上を現金・小切手が締める日本市場の可能性に大きな意気込みを示しています。
>> プレスリリース(英語)

調達資金の活用用途

今回調達した資金は、プロダクト開発、サービス向上とカリフォルニアとメキシコ二つのオフィスでのセールス、マーケティング、カスタマーサクセス、エンジニアチームの採用に充てられる予定です。

北村コメント

B2Cビジネスで起こったイノベーションが数年遅れてB2Bビジネスに導入されるという事例は、フィンテック業界だけでなく、頻繁に起こっている現象です。VenmoやSquare Cashなど個人間のペイメントへのディスラプションが次々と起こる中で、B2Bペイメントでは目立ったディスラプションは起こっていませんでした。35 Trillionドルという巨大な市場を前に、今後のPaystandの成長を非常に楽しみにしています。また、我々の日本の企業ネットワークを通じて、Paystandの日本進出を最大限サポートしていきます。


(文・なつき・ズィヒニオール、編・上野なつみ)

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