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新規投資ご報告|米国Diligent Robotics

2020年3月20日付にて、米国Diligent Robotics社より配信されましたプレスリリースの通り、弊社DNX Venturesは、B2B企業向けイベントマーケティングサービスを提供するDiligent Robotics社(以下Diligent Robotics)へ、シリーズAラウンドにて投資を実行したことをご報告致します。本ラウンドへは、DNXがリードをとり、True Venturesらと共に投資致しました。


看護師の人材不足|1日の約30%を単純作業に費やさざるを得ない

米国労働省労働統計局のデータによると、全米で看護師不足問題の深刻化が進んでおり、この先10年間での看護師不足が毎年約50万人発生すると見込まれています。高齢化がさらにこの問題に拍車をかけており、大手病院グループはこの問題を受けて高い専門性をもつ優秀な人材の労働環境向上や、従業員給与形態の見直し等に力を入れていますが、依然として離職率は10〜30%、看護師一人を採用し直すために平均400万円のコストをかけています。

看護師不足の主な原因には、過酷な環境での長時間労働や薄給などが挙げられますが、このような現象を引き起こす根本的な問題として、「単純作業の多さ」が挙げられます。看護師という職業は、医療の高い専門性が求められる職業でありながら、1日の平均約30%を医療器具や薬品を探し、保管場所から使う場所へ運ぶという単純作業に費やしています。DNXチームは、投資検討中に何度も病院訪問を行い、医療業界の専門家たちへのインタビューを経て看護師不足の深刻さを理解し、今回のDiligent Roboticsへの投資の重要性を確認することができました。

人材不足の解決策としての看護師サポートロボット

DNXはこれまで、フリート契約の運転手向けのコーチングソリューションNautoや、超小型SAR衛星のICEYE、5G技術のMovandiなど、数々のロボット・ハードウェア投資を行ってきました。

今回、Diligent Roboticsの創業者であるAndreaとVivianが掲げる看護師補助ロボット「Moxi」が実現するビジョンに大いに共感し投資に至りました。共同創業者の二人はMIT、ジョージアテック大学、テキサス大オースティン校の研究者でした。CEOのAndreaは2008年に現在のMoxiの原型となるロボットを発表し、それ以降メディアや研究機関から数々の賞を受賞している素晴らしい技術者であり、今回こうしてパートナーシップを組むことができることを光栄に思います。

Diligent Roboticsの強みとは?

スタートアップが失敗する原因の第一位は、サービスやプロダクトのニーズがないこと、つまり市場が存在しないことです。そのため我々が投資検討をする際には、この企業やサービスが市場から求められている課題を解決をしているか、その課題と創業チームの専門性に親和性があるか、という点を重視しています。加えて、AndreaとVivianの二人は高い専門性を持つだけでなく、起業家精神を兼ね備えたチームであること、医療専門家への入念なインタビューと顧客調査の上での初期参入市場選択をしていることが、我々DNXが投資をするに至った理由の一つでもあります。

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提供するプロダクトにも、他の人間補助ロボットと大きな違いがあります。Diligent Roboticsは”Social Intelligence” (=社会的知能)を、プロダクト開発の中心に掲げている唯一の企業です。人間とロボットが共存するための課題解決に注力し、人々が心地よくロボットと共存できる世界を目指しています。
第一段階としてMoxiは現在医療現場で使われる道具や薬品のピックアップと配達を行ます。これは上記で挙げた看護師の離職率問題を直接的に解決する第一歩です。全米病院市場の10%に導入してもらうには、3つの病院グループとの協業が必要ですが、そのうちの既に2社がDiligent RoboticsのMoxiを採用しています。

Diligent Roboticsチームと共に米国のヘルスケア問題の解決実現を全力で目指していきます。


そのほかの投資先についてはこちらでご覧いただけます。

(文:なつき・ズィヒニオール)

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