新規投資|Siiibo:社債特化の発行・購入プラットフォーム
この度DNX Venturesは、2021年12月24日にプレスリリースが配信されました通り、Siiibo証券株式会社(以下、Siiibo)のシリーズBラウンドのリード投資家として参画、出資させて頂きました。
同社が運営するオンラインでの社債の発行・購入が可能なプラットフォーム「Siiibo」の拡大・強化に尽力して参ります。
今回はなぜ弊社が本ラウンドをリードすることにしたのかにも繋がる、Siiiboの魅力と投資理由を紹介していきたいと思います。
Siiiboとは?
Siiiboは「自由・透明・公正な直接金融を創造する」ということをミッションに掲げる、社債に特化した国内唯一のネット証券です。具体的には、社債の発行、そして社債への投資・購入が全てオンラインで実現します。
このようなプラットフォームは発行体(=事業会社等)、投資家の双方に多大なるメリットをもたらします。
発行体 - 調達に関連するペイン:
一般的に調達といえば、「株式による調達」、「公募社債による調達」、「銀行借入による調達」を想像される方も多いと思いますが、これらの手法による調達は必ずしも簡単ではありません。
「株式による調達」に伴うペイン・リスク:
発行プロセスが複雑で、時間がかかる
資本コストが高く、場合によっては過度な希薄化に繋がるケースもある
景気サイクル・事業進捗によっては株式調達が不可能(上場・未上場ともに)
「公募社債による調達」に伴うペイン・リスク:
発行プロセスが複雑で、時間がかかる
格付け機関(Moody’s、S&P、Fitch、R&I、JCR)からの格付けの取得が求められ、取得に伴うコストが必要
中小企業にとってはコスト負担が大きく、一部の高格付、規模の大きい発行体のみが取れるオプション
「銀行借入による調達」に伴うペイン・リスク:
審査に時間を要する場合がある
調達難易度が事業会社の事業・ビジネスモデルによって変わる場合がある
代表の心理的負担:未上場だと代表個人の保証が求められるケースが多い
Siiiboの提供ソリューションのメリット:
各種調達手段に上記のようなペイン・リスクが存在する中、Siiiboを通じて、発行できる私募社債には下記のようなメリットがあります。
資本コストの低減(株式の希薄化も回避)
相対的に低いオペレーション・管理コスト(有価証券届出書等も不要)
柔軟なターム設計(金額・年限・利率等)
発行スピード(審査開始から発行まで約1ヶ月、2回目以降は審査期間を圧縮できる可能性)
上記からもみてとれるように、私募社債は一般的に、株式による調達より資本コストを抑えることが可能です。その上、手続きもシンプルで、償還期限、年利、発行金額などを自由に設定することが可能です。また社債の発行を通じて、投資家に自社事業についての認知・理解を深めてもらい、継続的な関係構築を行えるという利点もあります。事業会社は社債発行を通じて、資本コストを抑え、資本政策の柔軟性を高めることができるのです。
投資家のメリット:
昨今日本でも証券口座数が急増しており、投資に対する興味は明確に高まっていますが、社債投資に馴染みがある方は少ないかもしれません。
社債はいわゆる「インカムゲイン型金融商品」に分類され、株式のように価格上昇によるキャピタルゲインを主目的とはせず、デフォルトが発生しない限りは企業の事業・業績に関わらず一定の利息を得ることができるようなシンプルな商品です。株式と比較すると日々の価格ボラティリティ・リスクに晒されることがなく、リターンが読みやすい金融商品です。低リスク低リターンと高リスク高リターンの間のミドルリスクミドルリターンな金融商品として投資家に一定の需要があるのではないかと推測されます。
そのような利点のある社債ですが、これまでは主に機関投資家や金融機関を中心にアクセス可能な金融商品であり、個人が購入できるのは一部の大企業の社債に限定されているのが現状です。しかしSiiiboのプラットフォームを通じることで、個人投資家が多種多様な企業の社債を直接購入することができるので、個人投資家のポートフォリオ構築・分散投資にも大きく寄与できると考えております。また、企業から直接社債を購入することができるため、間に入る事業者リスクを投資家は負わなくても良いという点もSiiiboの特徴です。
なぜDNXはSiiiboに投資したのか?
さて、次に今回リード投資家として、出資をさせて頂くに至った背景についてご紹介させてください。
理由① Team: 深い業界知見と壮大なビジョンを大切にする卓越した経営陣
小村CEOをはじめとするSiiibo経営陣の皆様は金融機関での経験が豊富で、その中でも社債・クレジットマーケットに精通されている方々が多いです。Siiiboという「社債特化の発行・購入プラットフォーム」を運営していくにあたり、これ以上にFounder-Market Fitがあるチームはないだろうと考えております。そして証券会社という特性上、アーリーステージでも「守りの体制」も重要になってきますが、Siiiboは金融機関における、「守りの面」でも経験豊富な方々を採用出来ている点も、魅力でした。
また、複数回の面談の中でも、小村CEOは一貫して「直接金融の民主化をより加速・促進できるプラットフォームを構築したい」と述べており、社債市場のプロフェッショナルでいらっしゃったからこそ市場とそのペインを熟知されていたこと。また、Siiibo経営チームの「自由、透明、公正な直接金融を創造する」という同社の壮大なミッションに意義を感じて集まっているのも魅力でした。経営陣の皆様の過去の職場の同僚の方々に、レファレンスを取得させて頂いた際にも、皆様一貫して「Siiiboの社会的意義にコミットしている」との声を多くいただき、弊社としても是非Siiibo経営陣の皆様とご一緒させて頂きたいと強く感じました。
理由② Empowerment: 発行体に、新しい調達手段を提供できるプラットフォーム
Siiiboは発行体に新しい資金調達手段を提供できる社債発行プラットフォームです。特にデット調達において、例えば米国では社債市場が企業による銀行借入金額総額の1.5倍なのに対して、日本では社債市場は企業による銀行借入金額総額の1/5程度という状況で日本は欧米諸国に後れを取っている状況です。
また直接金融に限らず、米国ではPipe(SaaS企業のMRRをディスカウント価格で購入し、リターンを得たい投資家とマッチング)のようなオルタナティブ資金調達プラットフォームが台頭していますが、日本はまだそのようなプレーヤーの数が少ない状況です。
このようなオルタナティブ資金調達プラットフォームが従来の資金調達手法を完全にReplaceすることはないと思われますが、発行体にとって資金調達手段の多様化・分散化は重要になってきます。資本コストの管理の側面からも重要ではありますが、経済の動向・事業の成長度合い・戦略によって最適な資金調達手段は変化していきます。例えば、新規事業を設立してこれから大きく勝負をしていくような企業にとっては、株式による大型調達が最適な調達手段かもしれないですし、ある程度成熟期にあり運転資金を確保したいという企業からすれば、デット(社債・銀行借入)などが最適な調達手段なのかもしれません。また企業によっては複数の調達手段の組み合わせ(ハイブリッド活用)をしていくかもしれません。実際多くの上場企業は、株式・CB・社債・銀行借入などを状況に応じて活用しています。
その一方で、Small-Cap上場企業 (時価総額が小さい)、未上場の中小企業、スタートアップ等にとっては必ずしも上記のような調達手段をいつでも活用できるわけではありません。事業規模、発行コスト、オペレーションコスト等の観点から、このような伝統的な資金調達手段を活用できない企業群も多く存在します。しかしどの企業にも資金調達ニーズは必ず存在します。そのような状況下、Siiiboは私募社債といった観点から、より自由度の高い調達手段を多くの企業に提供できる、素晴らしいEmpowerment PlatformであるとDNXは考えています。DNXとしては、日本で「自由、透明、公正な直接金融を創造する」というSiiiboチームの大きな挑戦を応援できることをとても嬉しく誇りに思っております。
代表:小村さんのコメント
(文・チェ ミンジュン / 監修・高岡 美緒)
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