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新規投資ご報告|米国Banzai

2020年3月9日付にて、米国Banzai社より配信されましたプレスリリースの通り、弊社DNX Venturesは、B2B企業向けイベントマーケティングサービスを提供するBanzai社(以下Banzai)へ、シリーズAラウンドにて投資を実行したことをご報告致します。本ラウンドへは、DNXがリードをとり、Vulcan Capitalと共に投資致しました。
>> プレスリリース(英語)

B2B企業のマーケティング予算の
25%を占める「イベントマーケティング」

あまり知られていない事実ですが、イベントマーケティングはB2B企業のマーケティング予算の内訳で最大の平均24%を占めるほど、各企業が注力しているマーケティング手法です。昨今新型コロナウイルスの影響を受け、大型イベントのキャンセルが目立つ一方で、各企業はイベントのオンライン化や小規模イベント開催に切り替えるなど、イベントマーケティングの勢いは衰えません。今回DNXが投資をしたBanzaiの2020年2月の売り上げは過去2番目に高く、3月は過去最大を見込んでいます。

遡ること2018年、アメリカ国内イベントマーケティングに使われた費用は620億ドルを超えました。これは前年の577億ドルと比べると8%増。また、リサーチ大手のGartnerはイベントの協賛や宣伝費で毎年4億ドルの利益を得ています。Gartnerのマーケットシェアが50%と仮定した場合、テック業界だけみても8億ドル。これには金融、ヘルスケア、製造業、建設業といった他の業界におけるイベントマーケティングは含まれません。

B2B企業にとってイベントはベンダーや顧客、パートナー企業の担当者らとのネットワーク作りに最も有効な手段です。近年増え続けているSaaS企業もイベントマーケティングを有効活用しており、より効率的にイベントを開催するためのツールが次々開発されてきました。B2B向けイベントプラットフォームのプレイヤーとして大きなところではCventやRainfocus、Bizzabo、Splashなどが挙げられますが、これらはどれもイベント運営効率化に特化したツールであり、イベントの拡散・宣伝には特化していません。

イベント開催時、最大の課題は「集客」

こうしたツールにより、イベントページの作成やコンテンツの管理など、「イベント運営における業務の効率化」は促進されてきましたが、イベントマーケターが最も頭を悩ませるのは「集客」です。イベントのターゲットにあった顧客へのターゲティングマーケティングからイベントへの誘導、カレンダー招待や前日のリマインダー送信まで。特に中小規模のイベントの場合は、各企業のイベントマーケティングが既存の顧客リストを元に、メールや電話などのチャネルを使ってマニュアル作業で行っている場合がほとんどです。近年ではAPIインテグレーションによりチャネルの多様化が進み、LinkedInやTwitterのダイレクトメッセージ、ターゲティング広告も可能となりました。チャネルの多様化は便利なようにも見えて、イベントマーケターにとっては作業をより複雑にする原因にもなっています。

イベントの集客にはイベントマーケター以外にSDR(Sales Development Representatives)と言われるセールスチームが駆り出されることもありますが、顧客候補とのミーティングの数で評価されるSDRは、いくらイベントの集客で数字上げてもの人事評価では加点されません。こう言った人事評価制度の仕組みも理由となって、イベントマーケターは社内のリソース獲得に苦労しています。

そんなイベントマーケターの抱える問題を解決するのが、Banzaiです。

Banzaiって?

Banzaiはフィールドマーケター向けのマーケティングプラットフォームです。イベントページの作成、ターゲットとなる客層の設定、集客サポート、カレンダー招待の送信、リマインダーの送信、イベントデータとMarketo、Salesforceとの連携といったイベント開催に必要なプロセスを全て一元管理できるようになっています。特に独自のデータベースを元にした集客サポートサービスを強みとし、他のツールにはないサービスを提供しています。

プロダクトローンチの2017年以降着実に売り上げを伸ばし、現在顧客は100社以上、これまでに3万件ものイベント開催をサポートしてきました。顧客のほとんどがB2B向けソフトウェア企業で、マイクロソフト、Dell、VMWareなどの大企業から、中小規模のスタートアップまで幅広くカバーしています。マイクロソフトだけをとっても、カジュアルなネットワーキングイベント、ユーザーグループ、エグゼクティブディナーなど合わせて年間8,000イベントを開催するというから驚きです。Banzaiの持つ独自データを使ったターゲティング広告によるイベント集客は競合他社が苦戦している部分であり、顧客の大きなペインポイントでもあります。顧客データが増えることによって確実に拡大してきたネットワーク効果を利用していくことで、さらなる飛躍の可能性をもっているところがこの企業の面白いところであり、DNXとして投資をした理由です。DNXの投資先LiveRampもこの独自データによる顧客獲得からのネットワーク効果で成功した良い例であり、BanzaiのファウンダーJoe Davyが持っているビジョンに似たものを感じました。


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Joe Davyはプロダクト開発の知見が深いエンジニアで、Banzai以前はAvalaraという上場企業にて中小企業向けセールスのGMを務めていました。Avalaraではそのプロダクトセンスを社長に認められ、若手メンバーながら大きなプロダクト変更の責任者としてチームを牽引しました。共同創業者のAndy LinteauはBanzai以前に2つのスタートアップにてJoeとチームを組んでおり、二人の息はぴったりです。

2017年の創業からVCからの資金調達することなく、ゼロからブートストラップさせてきました。そんな二人の初の資金調達ラウンドをリード投資家としてDNXがサポートすることができたことを非常に光栄に思います。

調達資金の活用

今回発表されたシリーズAで調達した約7億円の用途はプロダクトと営業チームの採用に充てられます。サービス内容の拡充と顧客ベースの拡大によって、競争激しいマーケティングオートメーションのカテゴリーでのポジショニング獲得を目指します。


本社をマイクロソフトやアマゾンのお膝元であるシアトルに構えているBanzaiは、彼らによって作られた潤沢なタレントプールを利用して優秀な人材獲得にも成功しています。今後のさらなる活躍を楽しみにしています!


(文:なつき・ズィヒニオール)


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