見出し画像

新規国内シード投資|ScanX

本日2020年9月16日付けにて、ScanX社より配信されましたプレスリリースのとおり、弊社DNX VenturesはScanX社のシードラウンドにて、投資を実行致しましたことをご報告致します。本ラウンドへは複数名のエンジェル投資家とともに出資致しました。

出資自体は昨年2019年12月に実行しており、これまで当社がプロダクト開発に集中するために対外的な公表を控えていた経緯があります。

スキャン・エックスクラウドって?

「スキャン・エックスクラウド」は、イスラエルのドローンスタートアップAiroboticsでSLAM*や3D点群データ解析の経験を積んだエンジニア2名が開発した、3D点群データをオンライン上で解析することができるクラウドソフトウェアです。レーザー測量で用いられる様々な機器が取得した点群データから、必要性の高い情報のみを自動かつ高精度に抽出します。
たとえば、同社の点群のクラス分類機能では、自動でノイズ除去や地表面を抽出することができます。地表面抽出精度は従来製品と比較しても倍近い精度を達成する高性能です。
また、建物や樹木の分類にも対応します。最先端の統計的手法や機械学習を用いることで点群データを自動で解析、ユーザーのニーズに合わせて、建物や樹木を分類し、色分けして表示したり特定の物体を抽出することができます。

*Simultaneous Localization And Mappingの略。LiDAR等のレーザースキャナで取得した点群データを基に自己位置推定やマッピングを行うアルゴリズムの事。自動運転やロボット分野でよく使われる。


プロジェクト管理画面

スキャン・エックスクラウドのプロジェクト画面。複数の点群3D画像が並ぶ。

クラス分類後の様子_株式会社東豊開発コンサルタント提供

それらの点群データを、時表面や植物、建物などそれぞれ色分けで自動識別する
(株式会社東豊開発コンサルタント提供)


建設現場、損害保険、災害現場の初動対応などの現場で活用

抽出された3D点群データは、建設会社が建設や土木工事現場において着工前に実施する測量や、保険会社が損害保険の付保現場の保険料算定を行うための災害シミュレーションなどに使用されています。

建設業界では、労働人口減少に伴いAI(人工知能)やIoT、自動運転など最先端の技術が現場で使われ始めているようになった一方、最先端の技術導入には多額のコストや技術の習得時間がかかるため、i-Constructionや3D施工が一部の現場でしか導入されない状況が続いているといいます。また、コロナ禍のニューノーマル時代に合わせて働き方も変化。スキャン・エックスクラウドを導入することで、遠隔から施工管理を実施する「遠隔臨場」や「リモート現場監督」を推進します。
実は台風、地震、大雨、洪水など、先進国の中でも災害が非常に多い日本では、災害予防・対策の需要も少なくありません。3Dデータを用いれば、災害が起こる前から被害を予測して減災対策を行い、更に災害直後は被害状況を遠隔から正確に把握することが可能になります。

豪雨で被害を受けた道路の様子_株式会社東豊開発コンサルタント提供

豪雨で被害を受けた道路の様子
(株式会社東豊開発コンサルタント提供)

等高線データを生成した様子_株式会社東豊開発コンサルタント提供

等高線データを生成した様子
(株式会社東豊開発コンサルタント提供)


クラウドならではの価格と効率

点群データの処理には、これまで高スペックなパソコンと高価なソフトウェアが必要で、パソコン一台あたり数百万円単位の投資が必要でした。同社のクラウドソフトウェアはわずか3万円程度から、インターネットとパソコンさえあれば、いつでもどこでも3D点群データの解析および共有ができます。
また、ノイズ除去や解析処理には高度なスキルが求められ、スキルがある作業者でも作業が長時間に及んでいたところ、寒河江測量設計事務所社の例では、3D点群データから地表面抽出を実行する際に本製品を使用することで、作業時間が従来比70%削減できたと言います。


メンバーコメント

倉林 陽(マネージングパートナー / 日本代表)
職人不足が叫ばれる建設業界において、最先端の3Dデータ解析を用いて課題を克服する技術を持つスキャン・エックス社に投資させて頂くこととなりました。高い技術的優位性と創業当初から海外展開を視野にいれた優秀なメンバーを集めたスキャン・エックスの事業成長を後押しすべく、共に知見を持ち寄りご支援させて頂きたいと思います。

向川 恭平(インベストメントVP)
宮谷CEOとは、創業前、Airoboticsに在籍していたときから意見交換を継続的に行ってきた経緯もあり、この度ご一緒できることを大変嬉しく思っています。常に現場を飛び回り、顧客と向き合う徹底的なCustomer Firstな姿勢を持ちつつ、Visual SLAM・点群データプロセッシングに非常に高度なエンジニアリングスキルを持ち合わせるScanXのチームは必ずや、日本そしてグローバルスケールでの建設業界の課題解決に貢献できると確信しています。

メディア掲載

日経クロステック、THE BRIDGEでもご紹介いただきました。ぜひ合わせてご覧ください。


スクリーンショット 2020-09-16 14.58.12

創業者は日本とアメリカにそれぞれ在住。メンバーは日本、フィリピン、デンマーク、オーストラリア出身という、異なる文化、言語、宗教を持つユニークなチーム。技術力の高さとこのグローバルで多様性あるチームを強みに、日本国内での活躍はもちろんのこと、早々に世界各地で本ツールが建設業界、そして災害対策の役に立つことを期待してやみません。


(文・向川恭平 / 編集・上野なつみ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?