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米国新規投資|Airhouse:急成長ブランドのためのエンドツーエンドフルフィルメント

止まらないECの台頭

パンデミックによって加速したECの台頭は、現代史上、小売業界の消費者行動における最も大きな変化のひとつと言えるかもしれません。実際数字で見てみると、2021年の米国のEC売上は約8710億ドルで、2011年の2000億ドルから4倍以上になっています。小売全体に占めるEC売上高の割合は2021年末で約13%で、大流行時の15.7%から若干下がったものの、10年前の普及率5%を大きく上回っています。ECは、自動車(Carvana)、衣料品(Stitch Fix)、眼鏡(Warby Parker)、食料品(Instacart)など考えうるあらゆる消費財カテゴリーと接点があり、この分野の成長は衰える気配がありません。


持つ者と持たざる者の分断

ところが、この業界全体の成長がどの会社にも等しく見られたかというと、そうではありませんでした。大量のオンライン購買を処理するためのエンドツーエンドのサプライチェーン機能を持つプレイヤーが市場シェアを獲得する傾向が見受けられたのです。
効率的なロジスティクスの代表格であるAmazonは、2021年米国での売上高が3020億ドルとなり、米国のEC全体の35%を占めるという驚異的な市場シェアを抑えました。また、WalmartやApple、Best Buy、Targetなどのレガシーブランドや小売業者も、既存のインフラを活用してオンラインショッピング時代に合わせてピボット。これにより残りのパイを切り分けた形となっています。

過去10年間、デジタルストアフロント(Shopify)、チェックアウト(Bolt)、ペイメント(Stripe)、マーケティング(Klayvio)などの領域で、確かにECソフトウェアの革新が進んできました。それによって、特にD2Cやデジタルネイティブなブランドにとって、オンライン商取引の参入障壁が圧倒的に低下しました。しかし一方で、オンラインコマースの裏側には、ロジスティクス・物流があります。業界内での深いコネクションや価格競争力、旧式の3PLシステムに統合するためのエンジニアリング能力がなければ、中小企業が大企業のもつ世界クラスの3PLや倉庫にアクセスすることは未だ困難です。

モダンブランドのためのモダン・フルフィルメント・ソリューション

「Airhouse」は、D2Cやデジタルネイティブなブランド企業が3PLを見つけ、統合し、管理するという重い負担を軽減する、エンドツーエンドのロジスティクス・ソフトウェア・プラットフォームです。Airhouseは、世界中のトップクラスの3PLネットワークとの関係性を構築し、物流業界に存在するさまざまなソフトウェア、価格、プロセスの非効率を解決しています。ブランド側は、自社のオンラインストア「Airhouse」に接続し、提携するすべての3PLを手頃な料金で利用できるようになります。Amazonレベルのロジスティクスを、Amazonのようにマージン取られることなく利用することができるのです。実際、すでに利用しているユーザーは、「Airahouse」のプラットフォームによって、時間もエネルギーも、リソースにも柔軟性がもたらされ、物流の立ち上げと拡大がいかに容易になったかを絶賛しています。「Airhouse」により、本来の仕事である、顧客に愛される素晴らしい製品を作ることに集中することができるのです。

しかしながら、そんな市場の追い風やユーザーの声よりも、最終的にDNXの投資の決め手となったのはチームです。Airhouseの共同創業者であるKevinとSarahとは2年以上の付き合いになりますが、彼らと話すたびに、そのビジョン、集中力、実行力の速さに圧倒されています。二人ともShypの経営者であったため、その戦いの傷跡を貴重なメンタルモデルに変えていく様子を見るのはとても楽しいものです。

この度DNX VenturesはAirhouse社のシリーズAラウンドにてリード投資家として投資させていただきました。同社Airhouseチームの旅に参加できることをうれしく思います。私たちは、AirhouseがEC物流業界を代表する企業の一つになると信じています。

文・Rickie Koo / 編集・クーンズ貴子 / 日本語監修・上野 なつみ


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