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職場に女性が絶対に必要な理由

巷には「女性管理職の割合を高めるにはどうしたらよいか」みたいな議論が溢れかえっているわけですが、その前に、なぜ会社組織に女性がいたほうがいいのかという「そもそも論」が十分に共有されていない気がするんです。

そんなわかりきったことを・・・と思われたでしょうか?
そう思われた方は、試しに答えを言ってみてください。
 男女平等の理念に適っているから
 組織の成長には多様性が必要だから
 女性ならではの視点が得られるから
 性別を問わず優秀な人材を活用すべきだから
 多様な働き方が認められるようになるから
 女性のほうが得意な職種があるから

思いつくまま並べただけでこんなにあります。人によっていろんな回答がありそうですね。どれも全部正解だ、という考えもあるでしょう。
私も概ね同意します。
ただ、どれも本質を言い当てていないと思うんですよ。
だいたい、どれも経済至上主義の域を出ていないこと、つまり政府がGDPを押し上げるための政策として、あるいは企業価値を高めるための施策として女性の活用を推進しているところが残念です。
だって、それって日本人がエコノミックアニマルって呼ばれた時代の精神と本質的に変わってないから。

私の答えは極めてシンプルです。

「職場に女性がいたほうが楽しく働けるから」

あまりにも自明なので説明不要だと思うんですが、私がどういう経緯でその単純明快な真理に至ったのか、少し話させてください。

私が日本の会社で働いていたとき、そこは男女比率9:1くらいの職場でした。私の頭には「仕事=楽しい」という図式はなく、男性だらけのオフィスは単に居心地の悪い場所でした。紅一点のごとく扱われる女性社員は、歪な環境のせいか、人間的に歪な人ばかりでした。
私は、男性集団にはくだらない社交に付き合わされ、高慢女性にはネチネチといびられました。

その後、UKとドイツで働きました。
どちらも男女比率は5:5で、マネジメント職でも6:4くらいでした。
UK・ドイツ時代は心地良く働いていました。
仕事が楽しかったわけではありません。ただ、毎朝オフィスに向かうときの心が軽やかで、仕事中に冗談を言い合ったりして和やかな気分でいられたし、ときどき同僚たちと飲みに行くのも楽しかった。

で、気づいたんです。
こんなに職場の居心地が良いのは、半分が女性だからだ、と。
男性しかいない職場に行くと思ったら気が重くなるし、仕事中に冗談を言う気にもならないし、男ばかりで飲みに行っても楽しくないですからね。

さらに遡って、私の中学・高校は公立の男女共学で、中学は普通に男女同数でしたが、高校は理系クラスのため男女比率は9:1でした。
高校時代より中学時代のほうがずっと楽しかったです。
それも今思えば、クラスの半分が女子だったからかもしれません。

もうおわかりでしょう。
人間社会は、男と女がほぼ同人数で成り立っているんです。
どんな集団でも、男がいて、女がいる、そして可能なかぎり半々なのが居心地いいんですよ、理屈なしで。
私は、男女比率9:1の職場では働きたくないし、1:9の職場も同じくらい嫌だろうな、と思います。
つまり、大切なのはバランス。
5:5が理想ですが、6:4くらいならよしとしましょう。
でも、7:3は黄信号です。男性が女性の2倍以上いるわけですから。
そうなると、同質化が起こり、同調圧力が生まれ、全体主義っぽい空気が支配し始める。そうなったらもうその集団の中にいるのは楽しくないですよ。

男女バランスが大切なのは子供や若者だけでなく、中年層(おじさん・おばさん)だって高齢者(おじいちゃん・おばあちゃん)だってそうでしょう。
ある老人ホームの話を聞いたことがあります。
その昔、男性専用の老人ホームがあったそうです。
時代が変わり、そのホームにも女性が入るようになりました。そうしたら、男性たちが身だしなみや言動に気を遣うようになり、ホーム全体が見違えるように若返ったそうですよ。