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日本の学校が隠されていた頃

金曜日(12月3日)、娘の通う学校は Crazy Hair Day でした。
この日、全校生徒はできるだけ奇抜な髪型(髪飾り、帽子等も含む)で登校することになっています。

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やっぱり、どこか胡蝶しのぶテイストになるのかねぇ。
自由な学校だな、と笑いつつ、私の記憶は自分の中学時代に飛んでいました。

愛知県というところは、日本でも異常に管理教育がクレイジーな地域でしてね。
私が通っていた中学校では、男子は坊主頭。女子の前髪は眉毛の上、後ろ髪は襟の上という校則でした。あからさまな憲法違反ですね。
その学校の教員が全員一様に狂っていたとは思えないので、愛知県に住むと人は狂ってしまうのか、その学校に赴任すると教員間の同調圧力で狂わされてしまうのか、どちらか(あるいは両方)だったのでしょう。

個人の頭髪を強制するのは、それだけでもじゅうぶん暴力だと思いますが、教員による文字通りの暴力は、その比ではなかったよね。

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中学 2年のときのこと。
日曜日、部活の練習の帰りに、駄菓子屋に寄ってガリガリ君を買いました。
それを頬張りながら歩いていたら、部活の顧問(教員です)に見つかりました。
顧問は、私を引きずるようにして校内の茂みの中へ連れ込み、メチャクチャに殴りました。
私を押し倒した状態で馬乗りになり、顔が壊れるかと思うくらい、20発ほど殴った後、立ち上がり、横たわったままの私を右に左に蹴りまくりました。

何度も激痛が走ったけど、そのうち何も感じなくなっていった。
意識が朦朧とするなか、死ぬのかなあ俺、と思いながら終わるのを待っていた。

この程度の出来事は日常茶飯事でした。
その教員だけが狂っていたのではありません。その中学校の男性教員はほぼ全員、アタマがイっちゃってた。
女子ソフトボール部の顧問が、部員(中学 3年の女子です)の鳩尾みぞおちを力いっぱい蹴るのを見ました。部員はうずくまり、動かなくなりました。救急車を呼んでもいい状況でしたが、彼女は病院にも行けませんでした。

当時は、「体罰」という言葉で片づけられていました。
今思えば、教員による生徒への「虐待」でした。
生徒たちの顔は変形し、体じゅうアザだらけだった。
体に傷や後遺症が残らなかった私は、幸運なほうだったと思います。

親たちは、我が子の体の異常に気づいていたに違いないが、黙殺していた。

30年以上前の日本です。
インターネットも携帯電話もない時代の校内は、無法地帯でした。
当時の教員らに社会的制裁を加えてやりたい、と思わなくもないです。
しかし、彼らも今は相当の高齢だし、星の数ほど殴ったり蹴ったりしてきた生徒のことなど憶えていないでしょう。
やられた側は、30年以上たった今でも鮮明に憶えていますけどね。
それよりも、最大の問題は、彼らを心のどこかで赦してしまっている自分がいることです。

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モンスターペアレンツなんて言葉がつくられましたね。
ふざけないでいただきたい。
子供が教員に殺されかかっているのに声も上げなかった親のほうがよっぽどモンスターだっての。

当時はそういう時代だった、と笑っていい話なんだろうか。
当時だけ、教員と親たちが狂っていた。今はもう改善されたから大丈夫って言えるんだろうか。
たしかに、子供を虐待する教員は減ったかもしれない。
しかし、この国の病理は治っていないんじゃないか?

強い立場にある者が弱い者をいじめるのは、国民性なのでしょうか?
子供を虐待する親は論外としても。
教員が生徒を殴る。
先輩が後輩をリンチする。
上司が部下を追い詰める。
姑が嫁をいびる。

仕方がないことだ、と心のどこかで諦めてしまっていませんか?
当時の教員らを赦してしまっている私もその一人かもしれません。

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なんだか批判めいた記事になってしまったのは、予定外でした。
大昔の暗部を告白して、自分がすっきりしたかっただけなんですけどね。

そんな教員らのおかげで、絶対に弱い者をいじめてはいけない、という信念が私の血肉になったんだと思います。
こういうときに、ぴったりの言葉がありますね。
反面教師って。

そういえば、生徒を殴らない教員もいたなあ。
数学の先生でした。
その先生には口癖がありました。

校長は教頭をいじめ、教頭は教員をいじめ、教員は生徒をいじめる。
生徒は犬をいじめ、犬は猫をいじめ、猫は鼠をいじめる。
鼠はどうするか? 学校をかじるんだ。それが世の中の仕組みだよ。

先生、そんな思想を子供に植え付けないでください(笑)って思うけど、その先生だけは生徒に手を上げなかったんだよね。


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