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働く者たちへの提言

私は noteで、わりと多岐にわたるトピックを扱っているつもりです。
そのなかでも主張強めなのは「日本」「生き方」「働き方」にカテゴライズした記事でしょう。
日本人の生き方と働き方に関心をもっているわけです。

とくに関心が高いのは労働のこと。
私は、50余年のうち半分以上を仕事に捧げてきましたが、あと数年でそんな生き方にもピリオドを打つ予定です。

働く人の事情や仕事に対する考え方は様々です。
すべての人に届けられるメッセージなどありません。
そこで、いくつかのグループに分けてみようと思いました。

まずは、「収入」と「やりがい」の 2軸でマトリクス化してみましょう。
労働に貴賤はない、と私は考えるので、具体的な職業等は例示しませんが、各象限を便宜的に類型化しました。

厳密な定義は気にしないでください

「シットジョバーへの提言」
ある意味で最も報われないカテゴリーと考えられがちですが、私はそうは思いません。あなたの強みは、仕事を「クソ」と割り切れるところです。世の多くの人たちは、仕事いやだなーと思いながら、お金のためとか社会のためというメタささやきとの間で常にジレンマ状態にあります。あなたのお仕事は、収入もやりがいも小さいので、そのようなジレンマに悩まされずにすむのです。
また、このお仕事の傾向として、勤務時間外は仕事のことを考えなくていいという大きなメリットがあります。四六時中仕事のことばかり考えて病んでしまう人もいるなかで、こんな健康的なお仕事はないでしょう。

「エッセンシャルワーカーへの提言」
人と社会に最も大きく貢献しているのに収入が見合っていない。部外者にかぎってそんなことを言いたがりますが、まったく大きなお世話ですよね。
収入よりやりがいを重視する人は誰だってこのお仕事を選ぶものです。
子供の頃になりたかったお仕事を憶えていますか?
子供って正直でいいな、と思います。やりたいことをやりたいって言えるのですから。
なりたかった自分になっているあなたは、誰よりも輝いています。子供の頃の心を持ち続けているからでしょうか。
え?やりがい搾取? やれやれ。不粋なことを言う輩がいるものです。うらやましいんでしょうね。
そんなヤッカミは笑い飛ばしましょう。間違いなくあなたは最高のお仕事をしています。

「ブルシットジョバーへの提言」
最も厄介なやつです。なりたがる人が多いくせに、なったら最も不幸になるお仕事。やってることに意味が感じられないのに無意味に収入が大。エッセンシャルワーカーの真逆ですから、そりゃ不幸にもなります。
あなた自身が一番よくわかっているでしょう。誰も幸せにしない(なんなら誰かを不幸にする)、なんの価値も生まない、仕事のための仕事、管理のための管理、議論のための議論。
それでも、賢いあなたは「クソどうでもいい仕事」と割り切ったうえで収入の安定を選びますか?それも仕方ないでしょうね。今さら辞められないもんね。恐ろしいね、ブルシットジョブって。
だったらせめて、余計な仕事を作らないでほしい。頑張らないでください。あなたが張りきるほど不幸な人が増えるだけです。

「エレガントワーカーへの提言」
ってないよね。ありますか?
収入大でやりがい大なんでしょ? お仕事が楽しくて楽しくてしょーがないんでしょ? そんな人間に何言っても聞く耳持たないんじゃないかなあ。
せいぜい自問自答していただくくらいでしょうか。
あなたはなぜそんなにお仕事が楽しいのですか?
自分の能力や権力を駆使できるのが気持ちいいから?
人一倍経済的価値を生み出している自負があるから?
それとも、じつは楽しくなくて、責任感とプレッシャーに圧し潰されそうになる自分を無理やり立たせているのでしょうか?
シットジョバーの真逆ですから、ワークとライフがアンバランスになりがちですよね。家族がいる人は気をつけたほうがいいと思います。いない人は好きに生きればいいですが、ただの人になったときにパラダイムチェンジできることを祈ります。


さて、本当に言いたいことは、この 4象限にあてはまらない人たちのことなんですよ。
つまり、「収入」と「やりがい」の他に、第三の軸を持つ人。
それは「自由度」です。
(あれ・・・普通すぎましたかね)

お金はあまり要らない。仕事に生き甲斐など求めていない。ただ、誰からの支配も命令も干渉も受けたくない。
そんな人を「インディペンデントプレイヤー」と名づけましょうか。
「働く」(work) ではなく、「遊ぶ」(play)。
独立・自律・自主。
やりたいときにやりたいことをやりたいようにやる。

このような構えに私は共感します。
私は、自分の上に立つ人間を欲しないし、自分の下に服す人間も欲しない。
どちらも心から楽しめないからです。

働いてお金を稼ぐことには、なぜかこの命令服従関係がつきまといます。
それがいやなのだ、という人はどうしたらいいでしょう。

組織という箱と線のない場で活動すること。
そんな活動の場を見つければいい。
そういえば、最近そんなプロジェクト&コミュニティを見つけました。

『まとも書房』という個人出版を立ち上げようとしている人がいます。
これがなかなかおもしろいんですよ。
お金ともしがらみとも関係なく、”志” に吸い寄せられた見ず知らずの人間が一人また一人と集い、プロジェクトに参画しているのです。
各人にはそれぞれ特殊技能があって、本の表紙にプロ顔負けのイラストを描いてしまう人や、本の内容にアドバイスできる編集さん、クオリティの高い書評を書いてくれる人、業界に詳しい人、様々な販路に本を供給できる人など、多彩なメンバーが自分にできることを無償でオッファーしてくる。

☟ のリンクで発起人の声を聴いてみてください。

まあ変わった人ですわ。
でもね。本気なのがわかる。彼の思想とメッセージは、人間の本質に根差していて説得力があり、”まとも” な人の心にすっと入ってくるものです。
その志のもとに人が集うのも当然だと思います。
こういう人が世の中を変えるのかもしれませんね。

働いてお金を稼ぐことに生き甲斐を見いだす人がいてもいい。
一方で、お金でも労働でもない、ただ自分の心が突き動かされる何かに夢中になったり喜びを見いだすのが人間の本性だと私は思います。

労働。働く。仕事。
どの言葉も、お金を得るための活動というニュアンスがすっかりこびりついてしまいましたね。人間の活動はそれだけじゃないのに。
新しい言葉を発明する必要がありそうです。

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