村上春樹という居場所
村上春樹の「ノルウェイの森」を読んでいます。
(もう何周目になるのだろう?見当もつかない)Wikipediaを見て知ったのですが、ノルウェイの森の初版が発行されたのが1987年9月4日でわたしが産まれたのが同年の9月8日なのでたったの4日しか変わらないのです。
「ノルウェイの森」とわたしは同級生なんですね。もう少し昔の本だと思っていました。と言っても同じ年齢ということは32年前か。充分すぎるほど昔ですね。
今後誰かとの会話のなかで「ノルウェイの森って初版から何年経つんだろう?」という話題になったら迷わず自分の年齢を答えればいいわけです。
「初版から?32年前だね。間違いないよ」
便利だなぁ。早くその場面に遭遇したい。
「ノルウェイの森」を最初に読んだのは高校生の頃でした。
物語が身体の隅々まで深く染み込んでいく感覚をそのとき初めて味わいました。読み終えた後も物語から離れることができずに放心状態がしばらく続いて、そわそわとページを繰って目に入った段落を読んでいるうちに少しずつ落ち着きを取り戻していったのを覚えています。他の誰よりも「ノルウェイの森」に没入できたと思ったし、誰にも邪魔されることのない自分だけの居場所を見つけたことに興奮しました。
でもそれはわたしにだけ特別に起きたことではなく、村上春樹の多くの作品にはわたしが感じた凶暴とも言えるような中毒性があって、世界中の人々が同じように魅了されていることを後から情報として知りました。
"ハルキスト"なる人々もいますね。
わたしはハルキストに会ったことがありません。村上春樹が好きだという人は周りにたくさんいましたが、大声で『私はハルキストです!あなたも村上春樹が好きですか!同じハルキストですね!仲良くしましょう!』と熱い握手を求めてくるようなタイプの人はいませんでした。
(そんな人は存在しないのかもしれない)
ハルキストとは具体的になにをする人々なのでしょうか。"シャーロキアン"はホームズの推理や事件の顚末や舞台の裏側について話し合ったりするのだろうと想像できますが、ハルキストは一体なにをするんだろう。
とりあえず集まるのかな。人は集まるのが好きですね。
でも村上春樹のことが大好きな人々とジャズを聴きながら物語に登場したお酒や料理を嗜むのはちょっと楽しそうです。ジントニックとかウィスキーとか、パスタとか牛肉とピーマンの入った野菜炒めとか。
実際にそういう会合があるのかどうかは知りませんが、きっとあるんでしょうね。
行ってみたいとは思わないですけど。
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