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リアルタイム議事録をやったらファシリテートスキルを伸ばせた話

こんにちは。合同会社DMM.com アルファ室のodamoです。
現在、チームリーダーとしてピープルマネジメントを行いつつ、アルファ室全体およびDMMの開発組織がより成果を出すために、組織開発に取り組み始めています。

私のスキルセットとしてはプロジェクトマネージャー(PjM)全般ですが、職務上、会議のファシリテーターを務めることも多くあります。
しかし、このファシリテーターという役割がなかなかに難しく、日々失敗の連続です

  • 参加者が静かで議論が盛り上がらなかった

  • ファシリテーターなのに議論の内容についていけず硬直してしまった

  • 結論を時間内に導けなかった  …などなど。

アルファ室内では「ファシリテート上手だね!」と評価いただくことが多いので、私自身がどのような失敗や経験を積み上げてこの能力を身につけてきたのか今回お話します。


これまでのファシリテート経験

現在の役割は冒頭に記載の通りなのですが、これまでのDMMでの経験としては以下の通りです。

  1. Web開発ディレクター(5年ほど)

  2. 開発チームのスクラムマスター(2年ほど)

  3. ベンチャービジネスのプロジェクト管理(1年ほど)

  4. 一瞬転職してゴニョゴニョ

  5. 出戻り。現在に至る

Web開発ディレクター時代も会議のファシリテートをする機会は多くありましたが、その中でも「2.開発チームのスクラムマスター」でのファシリテート経験は大きな学びがありました。

たくさん経験して、たくさん失敗したスクラムマスター時代

私はエンジニアとしての経験はほぼ0に等しく、業務上不都合が出ないレベルではエンジニアと会話可能なレベル感です。
「2.開発チームのスクラムマスター」の時は、エンジニア5〜7名、デザイナー1名、PO1名、SM1名(私)というチーム構成でした。

スクラムイベントを設計し、あらゆるイベントのファシリテートをやってきたのですが、これがとても難しいものでした。
当時はオンプレにあったシステムをクラウド移行するというプロジェクトをチームとして遂行していたのですが、エンジニア中心の会話になると、技術的な話がほとんどになり、会話内容にほとんどついていけませんでした。

しかし毎週のようにスクラムイベントはやってきます。苦労しながらも、意識的にやってきたことは以下の2つです。

1.細々と技術面を独学

これは自分が役目を全うするために必要性に迫られ、強制力が働いたのでやるしかありませんでした。
クラウドに関する書籍を読んだり、AWS Certified Cloud Practitionerの取得を目指したり、社内で有志でやっているインフラの勉強会に参加したりしました。このようなことを知っている人に、積極的に教えて!とアプローチすることもしていました。

結果として、十分に知識をインプットできたかというと、そんなことはなかったです。
ただ、AWSのマネージドサービスについてはなんとなくわかるようにはなった気がします。
以降の「議題の本質を理解するようにする」に繋がるレベルの概念的なものは理解できました。

2.議題の本質を理解するようにする

この話をする前に知っておいてほしいことととして、システム思考のアプローチに「氷山モデル」という考え方があります。

引用:https://www.change-agent.jp/systemsthinking/approach/the_iceberg_model.html

例えば、エンジニアが何か発生している問題について話をしているとします。
この時、会話上は発生している「できごと」についてフォーカスして話しますが、だいたいの場合、問題の本質はそこではありません。
発生しているできごとの裏にはパターンがあり、そのパターンを引き起こす構造があり、その前提に意識・無意識の前提があるというのが氷山モデルの考え方です。

当時、氷山モデルの考え方を知っていたわけではありませんが、
なぜそのできごとが起きているのか?それが起こしている本質的な問題は何か?を質問し続け、自分の中で落とし込むようにしていました。

このような考え方を持ってファシリテートに臨むことで、うまくいくようになったことが増えてきた気がします。
加えて、土壇場でもなんとかするアドリブ力みたいなものや、度胸も身につきました。やっぱり何事も経験するしかないですね経験と失敗を許容してくれた環境には感謝しかありません。
とは言え、失敗も多かったです。ほとんどメンバーの皆さんに助けられていました。当時のチームメンバーのみなさん、本当にありがとう・・・。

リアルタイム議事録をやったらファシリテートスキルを伸ばせた話

さて、ここからが本題です。時は流れ、現組織のアルファ室に所属してからの話になります。

昨年、私はとある定例会議の議事録係を任せられました。会議の内容としては以下の通りです。

アルファ室という組織がまだできたばかりで、CTO(兼室長)を中心に据え、様々なトピックでの相談・共有が行われる会議でした。
当時の私はただのメンバーの一人で、社歴はそこそこあるのでDMMのことは広くそれなりに知っているつもりでしたが、
とにかくトピックの幅が広く、会話の視座が高い。なんのために、どの方向に向かってこの話をしているのかよくわからない状況でした。
私自身がWebシステムの開発プロジェクトに関わってきた経験しかなかったので、経営課題や組織課題について向き合ってきた経験はほとんどありませんでした。しかし任されたからにはやるっきゃない!

やってきたこととしては以下の通りです。
※前提としてリモートのWeb会議です。

仕事風景

リアルタイム議事録を書く

  1. 内容がわからなくてもとにかく発言をすべて書き起こす

  2. 議題の着地点だけは意識的にわかりやすく整理して書く

画面共有をする

  1. 議論に必要な資料の投影をする

  2. リアルタイム議事録を見せる意図もあり

    1. 間違っていたら指摘してもらうという目的も含め

始めた当初は、もはや議事録というより会話の端々を記録したようなもので、本当にこれで議事録係として役目を果たせていたのかずっと疑問でした。しかし、これを週3回続けていくうちに、以下のことが見えてきました。

リアルタイム議事録をやり続けることによって身についたもの

大きく分けて3つありました。

1. 議題の内容が掴めてくる

議事録を書くためにはかなり集中して聞くことになるので、なんとなく聞いている時とは情報のインプット量が全く異なります。
口語として発言される言葉はそのまま文章にしても意味が伝わらないので、なんとか文章として伝わるように書く、という地味な努力も、何が議論されているのか自分自身が全くわからない内容への理解に繋がっていったと思います。

2. どういうことを発言する傾向のある人なのかわかってくる

リアルタイム議事録を書いていく内に、参加者が気にする観点を自然と把握するようになりました。
特定の人が発言しようとしている時に「この人はこういうことを言いそうだ」と予測しながら、議事録を予測して書くというAI的なこともできるようになりました。
議事録係だけではなく、ファシリテーターとしても、参加者がどういう観点のものを気にする人なのか、ということを意識した上で会議を促進することはとても重要です。これまであまり一緒にお仕事をしたことがなかったようなレイヤーの人達の考え方を知るという経験は、大きな身になりました。

3. 視座が高まった

結果として、いつの間にかこの定例会議のファシリテートを自然と務めるようになり、加えて上長からも「視座が高まったね」という評価を得られるようになりました。
そもそも、この会議に参加する方々が私の何倍も経験のある人達ばかりでしたので、そういった人達の考え方を知るだけでもとても良い学びに繋がったと感じています。
この会議の参加をきっかけに、より組織に貢献するために身につける必要があることは何かを知り、自己学習も進んでいきました。

「ファシリテートが苦手だ…」と感じる方は、まずはリアルタイム議事録を買って出ることから始めてはいかがでしょうか。詳しく言語化することが難しいくらい、たくさんの気づきと成長があります。
最初はできなくても、日々の積み重ねと、スキルを伸ばしていきたい意思がきっとあなたの身になります!

おまけ

リアルタイム議事録を書くことがファシリテーターとしてのスキル向上に繋がる、というのは以下の動画でも話されています。
他、「会議は前処理がすべて」というお話などもとてもタメになるので、ぜひご覧になってください。


さいごに

アルファ室では一緒に働く仲間を募集しています。
カジュアル面談も受け付けておりますので、60事業以上を展開するDMMでPMとして挑戦することに興味がある方はぜひご応募ください!