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リサーチ会社がおススメする調査のやり方とは?

こんにちは。電通マクロミルインサイト(以下:DMI)経営企画チームです。

これまで、マーケティングリサーチの手法についてや定量調査のポイントについてお伝えしました。
今回はリサーチから、より有益な情報を得て自社のマーケティング施策に活用するためのポイントをお伝えしたいと思います。

結論は調査を1回で終わらせるのではなく、複数回実施したり、異なる手法を組み合わせることです。組み合わせにより一つの調査では得られない多面的な情報を得ることができます。

そこで今回は、定量調査と定性調査の組み合わせについて具体的な事例を交えてご説明します。

定量調査と定性調査について

最初に定量調査、定性調査についてメリットとデメリットを簡単に説明しますが、ご存じの方は読み飛ばしていただき、次章の「なぜ組み合わせるのか」からお読みください。

各調査の特徴は、以前の記事「定量調査と定性調査の手法ご紹介」 にてご説明しましたので、併せてご覧いただければ幸いです。

定量調査

定量調査とは
定量調査は、数多くの回答を集め、結果を数値として分析をする調査です。市場やターゲットの傾向を手早く把握する際や、仮説検証、広告の効果測定などによく利用されます。

定量調査の代表的な手法
代表的な手法に代表的な手法にインターネットリサーチ・郵送調査・電話調査・訪問調査・会場調査などがあります。

定量調査のメリットとデメリット
メリットは結果が数値で出るため統計的な分析ができ、説得力があることです。
デメリットは回答者が設定した設問に回答するため、その回答をした理由や意識の深堀ができないことです。

定量調査のポイント
定量調査では調査票設計がとても大切です。調査票設計について「定量調査での調査票を設計するときに気を付けるべき7つのポイント」 にて解説しておりますので、こちらも併せてご覧ください。

定性調査

定性調査とは
定性調査は、インタビューなどによって収集した調査対象者の生の声、実際に観察した行動などの情報を通じて、人々の意識や感情、行動に至ったプロセスを把握する調査です。

定性調査の代表的な手法
代表的な手法にグループインタビュー、デプスインタビュー、行動観察調査(訪問観察調査)、オンラインインタビューなどがあります。

定性調査のメリットとデメリット
定性調査のメリットは対象者の深層心理や行動の理由がわかることです。また、対象者の表情や反応、しぐさなどから潜在的なニーズ、対象者のインサイトといった、言語以外の情報も収集できます。
デメリットは一度に大量の回答を集めることが難しいことです。あくまで少数の意見を深堀していくことが目的なので、消費者全体を捉えることには向いていません。

なぜ組み合わせるのか

ここまでお読みいただいた方はお気づきかもしれませんが、定量調査と定性調査はお互いに「補完関係」にあります。
定量調査は数量データとして扱えるが深堀りは難しい、定性調査は、深堀りはできるが量を確保することが難しいからです。

そこで、定量調査と定性調査の両方を実施することで、お互いのデメリットを補うことができ精度の高い調査結果を得ることができます。

本当に欲しい情報を得るためには
マーケティングリサーチは知りたいことを明らかにすることが目的なので、調査手法を一つに絞らず複数実施することで必要な情報を得ることができるでしょう。
組み合わせることにより、時間やお金はかかりますが、より詳細な調査結果を得られるため、可能な限り組み合わせるところまで実施することをお勧めします。

定量調査と定性調査の組み合わせ

ではここから実際に組み合わせについて、事例も含めてご紹介します。

定量調査→定性調査

最初に定量調査を実施した後に定性調査を実施するパターンをご紹介します。まず、定量調査を実施しターゲットや課題の全体像を把握します。
定量調査の結果をみて、より詳細に回答者の意識や感情、行動に至ったプロセスについて定性調査で深堀りします。

定性調査と組み合わせるメリット
定量調査は回答した理由や意識を聞くことはできません。そこで定性調査と組み合わせることでユーザーの深層心理を理解し、商品やサービス開発に役立てることができます。

定量調査→定性調査を組み合わせた事例のご紹介

食品会社のA社様から「新規市場開拓のため、高級食材を利用した商品開発のコンセプトをつくりたい」とご依頼をいただきました。
そこで、最初に定量調査を行いA社様のブランドイメージについてヒアリングし、市場の全体像を把握することになりました。

その結果、「美味しい」「手作り感がある」があるという意見が多くあり、ユーザーの購買理由として「味がおいしい」や商品に対して「信頼できる」といったブランドイメージを確認しました。

次に定性調査ではA社のヘビーユーザーに対して、高級食材に何を求めているかについてヒアリングを実施しました。ヒアリングからA社様のヘビーユーザーは高級食材に素朴さと素材へのこだわりを求めていることがわかりました。そのため商品開発のコンセプトは素材のこだわりをアピールしつつ、手作り感や安心感を訴求する商品にすることになりました。

定性調査→定量調査

まずは定性調査を行いその後、定量調査を実施するパターンのご紹介です。
この場合の定性調査は定量調査を行うための仮説を立案するために行います。

例えば、新商品を開発するときに新しいコンセプトやアイディアが浮かんでいない場合、定性調査を実施することでインタビュー参加者の発言や言動から何かしらのヒントを得ることができる可能性があります。そのヒントから仮説を立て定量調査でその仮説を立証していきます。

定性調査と組み合わせるメリット
先に定性調査を実施することによって、インタビュー参加者の意識や感情、行動に至ったプロセスを定量調査の設問や選択肢に反映できるため定量調査の調査結果も明快なデータを得ることができます。

定性調査→定量調査を組み合わせた事例のご紹介

食品会社のB社様から「顧客維持拡大のための商品改良のヒントが欲しい」とご依頼がありました。
既にB社様はご自身でお持ちの購買データを分析し、自社のユーザー層や販売状況を詳細に把握しており、事実データだけではわからない商品課題を探していました。そこで、定性調査を先に実施し、ユーザー目線から商品課題を洗い出し、定量調査で量的な検証をすることにしました。

まずはヘビーユーザー層へインタビューを実施、購買データだけではわからない生の声をヒアリングし、商品改良のヒントを掴みます。インタビューの結果、品質やブランドイメージは良いが中蓋の開封のしにくさと入れ物から商品を取り出しにくいという2つの仮説が見つかりました。

その仮説を基に定量調査を実施した結果、その2つの課題は消費者全体的に共通する改善点でした。さらにその2つ以外にパッケージの捨てにくさも改善点であることがわかりました。
今回の調査で見つかった3つの改善点を克服することで商品のブランドとしての成長するためのサポートを実施しました。

まとめ

今回は定量調査と定性調査の組み合わせについてご紹介しました。定性調査も定量調査も向き不向きがあるので、より効果的なリサーチ結果を得るためにはどちらかではなく、どちらも活用すると一番欲しいデータを得ることができます。

このような課題解決のための調査手法にお悩みの方は、以下のお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひフォローやスキボタンのクリック、SNS等でのシェアを行っていただければと思います。