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マーケティングで使えるフレームワーク(中編)【連載:リサーチ会社によるマーケティング入門書Vol.3】

皆さん、こんにちは。電通マクロミルインサイト(DMI)です。現在、連載にて「マーケティングへの理解を深める」ためのヒントになる情報を複数回にわたってお伝えしています。

前回の記事では、PEST分析、3C分析について解説しました。

今回は、市場分析のフレームワークの中から、SWOT分析と5forcesについて紹介します。

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SWOT分析

◇SWOT分析とは
SWOTは Strength(強み), Weakness(弱み), Opportunity(機会), Threats(脅威)の頭文字で、自社の内部環境と外部環境を、ポジティブな要素とネガティブな要素から整理する方法です。
自社課題の整理をしたうえで対応策・打ち手を考えていくことが大切です。

▼SWOT分析

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◇SWOT分析の特徴
SWOT分析では、内部要因・外部要因×ポジティブ要素・ネガティブ要素をかけ合わせて分析します。

・内部要因は社内のこと(ヒト・モノ・カネ・情報、バリューチェーンで見た自社の方法)
・外部要因は社外のこと(マクロ環境や業界環境、顧客や競合の環境)
で、この切り分けは容易です。

一方、ポジティブかネガティブかは解釈が難しい場合があります。
例えば認知度が低いことは、一般的にはネガティブですが、一部のファンに強いブランドイメージや差別化ができているなら、エンゲージメントを高めやすいという強みになります。
そのため、一般論ではなくその状況が真に意味するところを的確に見極めて分類する必要があります。

4つの枠に当てはめた後に、それぞれの枠ごとに、以下のことを考えていきましょう。
・強み⇒活かすべき自社の強みは何か?
・弱み⇒克服すべき弱みは何か?
・機会⇒狙うべき市場機会は何か?
・脅威⇒リスクを回避すべき脅威は何か?

仮に自社の強みが複数上がったとしても、置かれた状況の中で更に強化する強みがなにか?を考えることが次の打ち手に繋がります。
当てはめただけで満足せず、その結果どうするかを考えていきましょう。


▼SWOT分析の戦略への落とし込み

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そしてSWOTを分析したら、それらをかけ合わせて戦略に落とし込むことが大切です。

「強み×機会」は積極攻勢戦略、
「強み×脅威」は差別化戦略、
「弱み×機会」は改善強化戦略、
「弱み×脅威」は防御・撤退戦略となります。

いろいろな戦略オプションを考え、優先度を検討して戦略目標を設定しま
す。

5forces(ファイブフォース)

◇5forcesとは
5forcesとは、業界の収益構造を把握・分析するためのフレームワーク。
「競合」「売り手」「買い手」「新規参入」「代替製品」の5つの影響力(Forces)を分析することで、自社の収益性や事業成功の成功要因を発見しするのに役立ちます。

◇5forcesの要素分解

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5forcesは下記のような要因に分解されます。

〈買い手〉
・顧客との力関係は?
・自社商品・サービスが他社と差別化ができているか?

〈売り手〉
・仕入れ先の交渉力は?
・どれくらい依存しているのか?

〈競合〉
・業界内の企業間の競争の激しさは?

〈新規参入〉
・業界の参入障壁は高い?
・今後新規参入しそうな企業はある?

〈代替品〉
・自社以外で顧客のニーズを満たせる商品はある?

◇5forcesの分析例
5forcesのポイントは
今戦っている市場においてどのような影響力が最も強いのか?を見極めてその影響力を減らす打ち手は何か?
を考えることです。

例えば
「買い手」の影響を受けやすい場合、他の顧客にも販売できないか、付加価値をつけて売ることでこちらが有利になる状況を作れないか?を考えます。

「売り手」の影響が強い場合、仕入先の選択肢がない、原材料に依存しやすい体質になっています。そのため、仕入先の余地を検討する、原材料の組み合わせを変えるなどの打ち手が考えられます。

「競合」との競争環境が激しい場合は、競合に対してどういう優位性を持てるか、によって戦い方を変えることを考えます。

「新規参入」の障壁が低い場合、市場が魅力的であれば今後多くのプレーヤーが参入することが想定されます。それを防ぐために既存顧客のスイッチングコストを上げる工夫ができないか?などの打ち手が考えられます。

「代替品」は、テクノロジーの進化や社会情勢の変化で急激にやって来ることがあります。現在考えられる代替品だけでなく、将来驚異となりうる代替品も上げておきましょう。

枠を埋めるだけでなく、どの影響力を最も受けやすいか、その影響を減らしたりプラスに変えることはできないか?を考えて作成していきましょう。

複数のフレームワークの組み合わせ

複雑化した市場を分析するには、単独ではなくフレームワークを組み合わせて使用することが大切です。

前回と今回でお伝えした4つのフレームワークは、自社を取り巻く経営環境を分析する(市場環境分析)ためのものです。いずれも単独で使うのではなく他のフレームワークと組み合わせて使用することが大切です。その際、今回紹介したフレームワークの順に考えていくのがオススメです。

例えば、水着素材メーカーの新商品開発では、
①まずPEST分析で市場全体の「マスクの慢性的不足」を、
②次に3Cで業界環境の「紙以外のマスク生産拡大の動き」を導き出します。③そしてSWOT分析で自社課題の整理として「水着素材をマスクに活かせる」ことを分析、
④最後に5forcesで「どのような条件がそろえば収益性が上がりやすいのか」事業成功の要因を確認する、
といったように、複数のフレームワークを組み合わせて、事業戦略を立案していきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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