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同業者だけどZETA DIVISION®のブランディングがすごすぎて吐きそう
2021年7月に「JUPITER」から「ZETA DIVISION」へチーム名を変更、いわゆるリブランディングを行ったのですが、そこから怒涛の勢いで国内のeスポーツファンを掴んではなさないチームになったZETA DIVISIONさん。
わたしはGameWithでeSports事業に関わっている立場から、ZETA DIVISIONさんの取り組みを参考にしたいと考えました。そこで改めて、いったい何がファンに刺さったのか分析してみます。
ZETA DIVISIONのファンとは
ある人がなにかのファンになる(ファン化)タイミングで重要な要素は「共感」「愛着」「信頼」の3つであると言われています。また、ファンとは「応援者」であるとも。つまりはZETA DIVISIONのことがめっちゃ好きで応援している人たちです。
ファンはZETA DIVISIONの選手やクリエイター、商品を「愛好」し「応援」しているため、ほかに良い商品があったとしても移行せず、長くその商品を使い続ける可能性が高いのです。
なので、どこのeスポーツチームもファンを獲得したいし、そのために様々な施策を売っています。が、これが一番難しく、わたしが働いている業界で一番成功しているであろうZETA DIVISIONさんを分析してみよう!というのがこの記事の趣旨です。
※ZETA DIVISIONさんに限った話ではなく、プロ野球やサッカー、メーカーさんやブランドなどすべての営利目的企業においてファン化の話は当てはまります
ファン化、コミュニティ化とは
本筋とはずれますし、知っている方はスルーで大丈夫です。
「ファン化」とは、既存の顧客を、よりエンゲージメント(つながりの度合い)の高い顧客=ファンに育てることです。
一般的な顧客とファンの大きな違いとして、ファンは「応援者」であるということが挙げられます。一般的な顧客は、商品を「使っているだけ」であり、より安く、よりスペックの高い商品があれば、そちらに移行する可能性があります。しかし、ファンはその商品を「愛好」し「応援」しているため、ほかに良い商品があったとしても移行せず、長くその商品を使い続ける可能性が高いと言えるでしょう。
コミュニティマーケティングとは、共通した興味を持っている人達の集団(コミュニティ)を積極的に活用してマーケティングを行うことです。
コミュニティの対象は、一般的には自社の既存顧客を対象とします。
ファンに主体的にマーケティング活動を行ってもらうために、企業は商品または企業に対して好感を持っている顧客同士の関係を生む場所や仕組みを構築していきます。
大きな3つのキッカケ
まずは事実をベースにZETA DIVISIONを紐解いてみることにしましょう。eスポーツシーン的に、これまで認知向上、改善のキッカケとなる出来事が大きく3つあったのではないかと思います。
その前に大前提となるZETA DIVISIONさんの確認をします。以下、ZETA DIVISIONさんの公式サイトより引用です。
ZETA DIVISION®は、東京に本社を置く日本発のゲーミングライフスタイルブランドです。ゲーマーとそれを取り巻くカルチャーをより豊かにし、新しいクリエーターを探し、次世代の文化を形成します。既存の文化にとらわれない新たなスタイルを発信しつづけ、ゲーミングカルチャーが広く親しまれる共通の価値観として確立した未来を目指し、活動してまいります。
独自のスタイルを貫き日本のシーンで唯一無二の立ち位置を確立したZETA DIVISIONは、eスポーツチームの枠を超え新たなカルチャーを生み出し続けるリーディングブランドです。
ZETA DIVISONには様々なスタイルを持った数多くのメンバーが在籍しており、選手たちは多くの競技シーンで圧倒的な存在感を放ち、クリエイターたちは独自の世界観でファンを魅了します。
選手たちの確かな強さ、クリエイターたちが持つ独特な魅力、そして私達が放つカルチャーに根ざしたPRが組み合わさり、ZETA DIVISIONはゲーミングライフスタイルブランドとして確固たる人気を保持しています。
この記事を書くまで国内TOPの人気をもっているeスポーツチームだと思っていました。しかし、ZETA DIVISIONさんは単なるeスポーツチームではなく、新たなカルチャーを生み出すブランドとしての姿勢を明確に発信していることがわかります。
キッカケ1:リブランディング
冒頭に記載した通り、2021年7月に「JUPITER」から「ZETA DIVISION」へチーム名を変更、同時にロゴやSNSなど目に見えるものはすべて変更されています。
「JUPITER」がゲーミングカルチャーを究極のエンターテインメントとして昇華させ、ライフスタイルとして確立した領域を作るべく「ZETA DIVISION」へチーム名を変更
これまで「JUPITER」は創立以来、プロゲーマーが世の中に大きな影響を与える「憧れの存在」となる未来を目指して活動してまいりました。昨今の急激なeスポーツシーンの発展も加わり、この目標は徐々に実現されつつあると考えております。
そのため、私たちは新たなステップへと歩を進めます。ゲーミングカルチャーが世間一般に愛されるライフスタイルとして確立した未来を目指し、私たちはそのリーディングブランドとして新たな活動を開始します。
「ZETA DIVISION」(ゼータ ディビジョン)
アルファベットの最後の文字であるZを冠し、「最終」「究極」などの極まった最終地点という意味合いと、DIVISIONの「区分」「領域」といった意図して分けた場所を意味する単語を組み合わせ、『ゲーミングカルチャーを究極のエンターテインメントとして昇華させ、ライフスタイルとして確立した領域を作る』という想いが込められています。その名の通り私たち「ZETA DIVISION」は、ゲーミングライフスタイルブランドの最終到達領域となるべく活動してまいります。
キッカケ2:VCT2022での快進撃
2022年から始まった公式大会「VALORANT CHAMPIONS TOUR 2022 (VCT 2022) 」では3月、地域予選リーグであるChallengersを勝ち抜き、日本代表として「Stage 1 Masters Reykjavík」に出場。世界3位となりました。
これはeスポーツシーンはもちろん、yahooニュースを筆頭に様々なところで取り上げられたのでシーン外の人にも届いたビッグニュース。
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数値は、特定の地域と期間について、グラフ上の最高値を基準として検索インタレストを相対的に表したものです。100 の場合はそのキーワードの人気度が最も高いことを示し、50 の場合は人気度が半分であることを示します。0 の場合はそのキーワードに対する十分なデータがなかったことを示します。
キッカケ3:クリエイター陣の層の厚さ
リブランドのタイミングで「CREATOR部門」にStylishNoobが加入。以降、k4sen、ta1yo、鈴木ノリアキ、Killin9Hit、など人気配信者が続々と加入を続けています。
ここまでのまとめ
リブランディングによる「見栄え」の差別化
VCT快進撃による「知名度」の向上
クリエイター増加による「チーム」の強化
ファン化を促進する仕組みは、3つのキッカケを武器として活かすことによって機能しているようにみえます。
三位一体ZETA DIVISION
ZETA DIVISIONさんはどのように武器を活かしているのでしょうか。上記3点をもとに分析をしてみると、3つが歯車のように噛み合っていることが見えてきた気がします。
1,リブランディングの効果とweb戦略
ブランドの顔としての機能を担っているTwitterを始めとして、webマーケがすごく強い印象です。基本的にweb上のコミュニケーションによって、一般の顧客をファンに変えていくクロージングと定期的な栄養(コンテンツ)の補給を行ってるのではないでしょうか。
とくに新規獲得ファンへのイメージアップに長けている印象です。
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2,チームの強さ(の魅せ方)
うえにある画像もそうですが、所属選手、部門の大会結果や、事前事後の舞台裏を魅せる、次への期待を抱かせるといったことが上手いと感じます。
具体的には、常に勝ち負け以前に「カッコいいビジュアル(または動画)」が目に止まるような体験が設計されているのです。そしてこれはZETA DIVISIONを知るキッカケ(入り口)としての役割を担う効果的な施策だ、と思います。
たとえば以下は2022年のまとめ動画ですが、2021年の年末段階ですでにこういった動画を作ることが決まっていたんじゃないかと思うほど映像素材の質が抜群です。
ZETA DIVISION '//, 2022 WRAP-UP pic.twitter.com/pHpMBYM6Sz
— ZETA DIVISION (@zetadivision) December 30, 2022
3,エンタメ力の高さ
クリエイターそれぞれがキャラ立ちをしているので、それぞれにファンがいる上で、○○さんが所属しているZETA DIVISIONという順番で新たに認知してもらうキッカケも作りも期待できます。
かつ、所属クリエイター、選手のYouTube動画ではOP、EDを統一することでZETA DIVISIONのクリエイティブが様式美として統一されたイメージを与えています。
共通項はクリエイティブ/デザイン
ファンになるための入り口がZETA DIVISION主体の発信、クリエイターや選手個人からの発信と2つあって、それぞれが行き交っても確固たるデザイン力(ヂカラ)を共通の印象として残すことで、ファンをつなぎとめ、ZETA DIVISIONというブランドを提供しているようにに見えてきました。
ただし、クリエイティブやデザインがイケてるからファンになるわけではないですし、元々存在しているそれぞれの魅力を1つのイメージにつなぐ役割として機能しているということなのではと思います。
と、簡単に書きましたがもしリブランディング発表以前から練られたロードマップに沿って計画通りに実行されてきたのだとしたら一制作者としては恐ろしいほどの熱意と綿密さと情熱を感じます。もちろん、VCTの結果についてはリブランディング計画中にわかることはないと思いますが、それ以外の部分についてはその可能性も高いのではないでしょうか。
俯瞰的にとんでもない細かさでロードマップを引いた上で信念をもってデザインされていったリブランディングに思えますし、計画時からほとんど、9割近くご担当者さんの狙いが外れていないように見えます。
いつか機会があったら一連の施策を仕掛けた方とお話してみたいです。もし、ここまで頓珍漢なことを書いていたら大変申し訳ございません。
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