起業したい子達が集まるコミュニティーいいね

ソーシャルでエシカルな関心をもつ人を惹きつける、街の中に広がる学びの場「ソーシャル系大学」。今回は、神奈川県と『カヤック』が運営する起業支援拠点『HATSU鎌倉』を取り上げる。
『HATSU鎌倉』は、神奈川県の経済を牽引する若者の起業を支援しようとする神奈川県と、「地域資本主義」を掲げて鎌倉のまちづくりを推進してきた『カヤック』による協働事業として2019年11月にオープンした地域に関わる人が集まるコミュニティである。まちに点在する拠点の魅力をレポートしたい。

既存のコミュニティに加わる、新しい人たちの、新しいアイデアを惹きつける場所。

 鎌倉駅から徒歩5分ほど、地元の人たちが行き来する通り沿いに、ガラスも真新しい3階建ての建物がある。あるときは大人が集まり勉強会をしていたかと思うと、別の日には子どもたちが集まり大人と一緒にご飯を食べていたりする。腰を掛けたくなる大きな縁台とのれんや提灯が下がる軒先に、通りがかりの人も不思議と惹き寄せられてくる。『HATSU鎌倉』は、キッチンのあるコミュニティラウンジとシェアオフィスから構成される空間で、レクチャー、フィールドワーク、ネットワーキング、メンタリングなどの実践的なプログラムを提供する起業支援の拠点である。「かながわ」発の起業家を育てようとする神奈川県の発案を、地元・鎌倉の地域活動に長く携わっている『カヤック』が具体化した。

 『HATSU鎌倉』では、会員となりシェアオフィスを利用しながら自らのネットワークを広げることもできるし、起業を志すチャレンジャーとなって、メンター、専門家、投資家からの支援を受けることもできる。この日もチャレンジャーを中心に、ITビジネスに詳しい専門家によるメンタリングが行われていた。参加者の中には、起業準備中の人、子育て中の女性、会社員、すでに事業を始めている人などもいて、ファシリテーターの繰り出す質問にみんなでアイデアを出し合っている。参加者同士が惜しみなく助言し合うプログラムの様子を見ながら、居合わせた神奈川県産業部産業振興課の担当者もビジネスの種がこのように育つことをうれしく思うと話していた。

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