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③片平里菜にとっての、大事なことば

③の質問に行く前にまず前回(②)の続きで、明日に開催の野音ライブのお話から。最新アルバム・『Redemption』に参加のOAU&おおはた雄一くんがセッションゲストな上に、「磐城じゃんがら遊劇隊」がやって来ると。
オープニングアクトの磐城じゃんがら遊劇隊さんにご出演をお願いしたのは、地元の大切なものを皆に知ってもらいたいなという気持ちもあって。地元・福島県いわき市から全国へ、いわきじゃんがら念仏踊りを広める活動をしています。じゃんがらは新盆を迎えたお宅の軒先で亡くなられたかたへの鎮魂の祈りを込めて舞う盆踊りです。毎年3月11日にclub SONIC iwaki(福島県)で開催される「Asylum in Fukushima」でも披露されているものなんですけど、日比谷でじゃんがらを見られるのは、私もちょっとグッと来ちゃうかもしれないなぁ。

じゃんがら念仏踊りについて
里菜ちゃん本人が紹介しています
こちらから読んでみてください
(じゃんがらPhoto by 石井麻木

野音がちょっとしたお祭りの日になりそうだよね。
うん、お祭り!マルシェもあって、私と繋がりある方の色々なものを持ってきてもらって販売します。南阿蘇(熊本県)のお米とか、そこに住む人との繋がりを感じられるものを、ドラマと一緒に手渡せたら良いなと思ってますね。

何が並ぶかはお楽しみで。そして何より、野音で歌うのは今回のツアーファイナルでもあり、片平里菜10周年の集大成です。
今、リハをしてるんですけどただただ、皆さんの演奏が本当に素晴らしいです。贅沢です。
これ以上の言葉はない、この日の野音を見るしかないですね。前回のツアーファイナルは、12弦ギターを使っていたのがわたしには良い意味でサプライズでしたが!
すごく好きな、カレン・ダルトンっていう昔のブルースシンガーがいて。すごくシャイでミステリアスな人で、ボブ・ディランが密かに敬愛していたようなミュージシャンなんですけど、声とか雰囲気、空気感が私はすごく大好きで、12弦ギターを弾いてて。12弦ギターってアコースティックギターだけど、副弦があるだけでちょっと民族っぽい音になるんですよね。その感じの音色を弾き語りでやれたらカッコいいなぁって思って買って、「カントリーロード」(2023)とかで弾いて歌ってました。勿論、今でも機会があれば弾いてます。
時にブルースハープも使いながらね。
ブルースハープはもう、日常(笑)。ブルースハープとかハーモニカの音って強いから、あるだけで曲のパワーがグッと上がるというか。間奏とかでブルースハープの力をお借りしちゃいます。すごいんですよね、あの音。
そんな前回のツアーファイナルでは“諦めずに歌い続けて、今日この景色が見られて幸せです”とMCしてましたね。野音ではまたさらに、素敵な景色が見られますように。
そうですね…泣いちゃいそうです(笑)。この前、ちょっと野音に見学に行ったんですけど、やっぱり最高でした、特別でした。原点…にまた帰ってくるじゃないけど、今はそんな気持ちですね。
でも改めて、10年歌い続けてきた自分を褒めてあげても良いのではと。
うん、それは応援してくださっている方がいるからで、ありがたいですね。

片平里菜:1992年福島市生まれ シンガーソングライター
高3から地元のライブハウスで音楽活動をはじめ
「閃光ライオット2011」審査員特別賞を受賞しメジャーデビュー
2018年から個人事務所で音楽活動を続ける
2023年10月から始まったツアーで全国47都道府県・51箇所を周り
いよいよ4月20日(土)日比谷野外音楽堂にて
ツアーファイナルを迎える

では、そんな片平里菜の座右の銘や、大切にしている言葉は何でしょう
パッと思いつく言葉は今、いくつかあるんですけど……「置かれた場所に咲く」。音楽活動で一花咲かせるぞって思って、その時の環境で何でもかんでもがむしゃらに頑張ってみる中で、でも、気づいたら自分を見失ってしまいそうになったりして。自分は本当は何がしたいんだろう、自分って何なんだろうって自問自答していた時期に、思っていることをとにかく言葉にして書き出していく中で辿り着いたのが、自分の名前だったんですよ。
ほうほう?
しがらみやレッテル、着飾っていることも全部脱ぎ捨てて、最後に残ったのが自分の名前で。生まれて一番最初に親に与えられた愛情やアイデンティティ、それが名前で。片平里菜は本名なんですけど、5月に生まれて“古里に咲く菜の花”の風景を思い浮かべてお母さんに付けてもらいました。だから、「ふるさと」と「花」、「置かれた場所に咲く」こと・全うすることっていうのは、人生のテーマだなって思いました。
20代の頃とかは一花咲かせるとか成功するとかそういうことばかりに囚われていたけど、でも、咲くことって、それだけじゃない。瞬間的に今を楽しむとか、笑うこと、それも咲くことだという風にだんだん、大人になってから思うようになって。だから「置かれた場所に咲く」…意味合いも、自分の中でちょっとずつ変わってきてるなと思いますね。
なるほどそれは考えが深い。それで言うとまさに今、この状況下でもバッチリ咲いてますよね(笑)。
そうですよね(笑)。この言葉は「置かれた場所で咲きなさい」っていう本(渡辺和子著)があって、その本を愛読していてこのフレーズがずっと心に残ってて。そしてそれは、自分の名前というものにもリンクしているなぁと。
“名前”と言えば、そんな里菜ちゃんの楽曲もありますよね。
そうです、それこそ「なまえ」(2017)。今話したようなことを意識し出したのが、ちょうど「なまえ」を書いた頃だなと思いますね。
ちょっと話が戻るけど、“里菜”の名前はそんな由来だったんですね。
そうなんです。小学生の時って自分の名前の由来を親に聞いて発表する授業があるけど、そこで先生に“素敵だね”って褒められた記憶があります。ふるさとに咲く花って、すごく綺麗ですよね。私は、自分の名前を、すごく気に入っています。

【「④片平里菜のこれから」に続く/4月26日公開予定】

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