DJ AKi STREAM 自宅押入れから生配信

それは長年の友人から送られてきた1通のメールで始まった。AKi君の家からの配信が観たい。DJとしてこの時代を生き抜いて欲しいので、必要な機材を送りますと...

正直自分はプロフェッショナルDJでありながら、この20年間自宅にDJブースを組んだ事が無い。明確に言うと組む必要が無かった。何故なら2000年から渋谷のクラブWOMBに身を置き、そこから10年近く当時WOMBの3階に常設されていたDJブースが自分の道場だったから。

相当マニアックな話になるけど、そこに搭載されていたサウンドシステム "PHAZON"は、90年代に世界一だった伝説的なニューヨークのクラブ "TWILO"のサウンドエンジニアであった神様 STEVE DASHが設計した、唯一無二の神の領域である日本最高峰の DJブースが存在した。

平日深夜の営業がまだ無かった無人のWOMBに週3、4日通い続け、振動でも針飛びしない様にゴムで吊るされていたターンテーブルとUREIのロータリーミキサー。渋谷のど真ん中でありながら深夜にあり得ない爆音を浴びてDJの鍛錬を続けられた日々。今考えるとこれ以上無い最強な環境があったDJキャリアの裏側は、幸運にも程が有ったと思う。

その後もニューヨーク時代からの親友が、代々木上原にあった完全防音のスタジオに籠っていたので、その場所で楽曲を制作し、当然DJもしまくっていた。丁度そんな時期に、自分達が愛して止まない音楽をストリーミングと言う新しい媒体を使って配信すれば少なからず誰かに電波して、日本のシーンを拡大出来るのでは無いか?と言う話になり、DJ AKi STREAMを開始した。

そして現在まで112回、およそ10年に渡って毎月番組を継続してきた。USTREAM → FACEBOOK → TWITCHとプラットフォームを変えながら、イベント前の2日前は公開スパーリングをするぞ!と言う意気込みで10年。

しかし、このコロナ禍到来で身動きが取れなくなり、家にDJ機材も無いし配信も終わりかなと思いかけていた矢先に、冒頭のメッセージが届いた。そして、スピーカー、マイク、カメラ、ミキサーと追随された愛が自宅に届き、あっという間に配信用の機材が揃った。

こんなにありがたい話も滅多に無いけど、自分は配信をする上で、今まで基本的に DJをするだけの人任せで、配信に必要なOBSと言うソフトウェアを触った事すら無い...

でも、届いた愛に応え無い訳にはいかない。OBSなる初めての未知なる相手と格闘しながらこの3日間弄くり回してみると仕組みを理解し始め、久々にDJ以外のクリエイティブ脳が起動し始めた。30秒弱とはいえ、自分にもこんなティザー動画が作れるようになるなんて考えもしなかった。

奇しくも20年前に帰国して間も無く、ニューヨークから持ち帰ったDJ機材を組んだのも、今このブログを書いている目の前にある押入れ。当時まだ健在だった父親にうるさい!と怒られた記憶も蘇る。今回愛に満ち溢れ届いた機材達を同じ場所に20年後に設置するんだよと、まだ血気盛んだった30歳の自分に言ってもお前何言ってんだ?となるだろう。

同じ場所で運命は繰り返され、新しい形で自分を表現出来る可能性を探求し、実験する時がきた。

長年の活動で形成された大切なコミュニティーを守り、音楽を通して多くの人々とコミュニケーションが取れる場所として、DJ AKi STREAMをリニューアルする。1人だけでも表現出来る、オンライン越しに見える遠隔された本来の人間性をTwitchにて伝えたい。2020年5月22日金曜日19時より配信開始。

https://www.twitch.tv/djaki_06s

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