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継続捜査ゼミ:今野敏:トリッキーな設定だな

「継続捜査ゼミ」(130/2021年)

「隠蔽捜査」シリーズ以外の今野作品を久しぶりに読みました。元警察官の女子大学の先生がゼミでゼミ生と共に未解決事件を解決するか、なるほどね、この設定ならば書ける警察小説もありか、いやはやトリッキーです。

ゼミ生5人はただの学生、素人であり、ゼミの課題として事件の謎を解くという事なので、プロの警察の方々がやってはいけない「いい加減」なことが出来るし、通常の捜査のプロセスとは違ったことをしても許される。自由度が増したわけですね。ある意味、無責任な立ち位置から事件に取り組という設定は、今野ならではでしょう。

メインテーマは15年前の老夫婦殺人事件。それと同時に学校内で起こった小さな事件を解決します。みんな饒舌というか、ゼミなので当然なんですよね、言葉が多い。事件捜査、警察小説の入門編みたいな雰囲気です。どうやって解決までたどり着くのかを丁寧に語っているのです、ロジカルに、理路整然と。これを現場でやったら、嫌われちゃいますよね、ウザい。でも、ゼミという設定だから許される。トリッキーだな。

出来れば、ゼミだけで、教授室の中の会話だけで真相を解いていくような展開を期待したいです。そして、それを演劇化、1シチュエーションの濃密な会話劇になるだろうな~。


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