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海のある奈良に死す:有栖川有栖:勢いを感じるミステリ

「海のある奈良に死す」(111/2021年)

1995年作品なんですね。有栖川が専業作家になったころに書かれた作品のようです。実にオーソドックスなミステリです。トラベル系観光の要素もあって興味深い作品になっています。

有栖川の知り合いの作家、赤星が「海のある奈良に行ってくる」との言葉を残して旅に出た。そして、福井の古都・小浜で死体で発見される。どうも他殺らしい。赤星と最後に会話を交わした当事者として、有栖川は事件の解明に乗り出す。

関係者として小説原作の映像化を幅広く手掛ける会社の「超若作り」女性社長やイケメンの赤星の従弟など、分かりやすいキャラがたくさん出てきます。非常に読みやすい。

そしてイケメン従弟も謎の死を遂げます。連続殺人です。アリバイトリックや「海のある奈良」というキーワードの謎を解いていくうちに犯人にたどり着くわけですが、第二の殺人の手法はなかなかの曲者でした。

全体的に勢いを感じます。ミステリを書くのが楽しくて楽しくて、書きたい衝動のまま綴っている感じに飲み込まれてしまいます。納得のいかない点もありますが、この文章に乗っかって読んでいくと、それをカバーして余りある実に楽しい読書が出来ますのでオススメですよ。



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