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定本 バブリング創世記:筒井康隆:こんなに圧の強い小説って…

「定本 バブリング創世記」(44/2022年)

バブリング創世記
死にかた
発明後のパターン
案内人
裏小倉

上下左右
廃塾令
ヒノマル酒場
三人娘

どの短編も力が強くて、読むの、途轍もなくヘビーです。奇想天外という言葉だけでは表せない力を感じます。37年ぶりの復刊となっていますが、各作品が書かれたのは70年代から80年代初頭かと。今でいう「差別用語」「ハラスメント表現」満載の作品もあり、時代を感じます。

でも、表題作「バブリング創世記」は時代とか簡単に超えてしまっているのでご安心ください。文学というよりは「絵画」に近い表現方法だと思いました。これぞ、フォースが必要な作品です。感じなければ、何も読者に伝わってこないいんですから。
個人的には「感じた」つもりにはなりましたが、それは理性の力で「感じたことにしておけ」となっただけかもしれません。「感じて」いないと、恥ずかしいという感情の方が優先しているかも。
でも、そういう気持ちになれた、そういう思考にたどり着いた、それだけでも価値があると思います。この作品の一文字一文字から発せられる圧を視覚で、脳みそで、そして全身で感じることが大切なのでしょう。

その他の作品も、どれも常識を壊そうとするものばかりです。常識の中で生きていると思っている私のような読者に、容赦なく襲い掛かってくるので覚悟して読んでください。

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