太陽と乙女: 森見登美彦:エッセイはミステリだ

「太陽と乙女」(087/2020年)

珍しくエッセイを読んでみた。

エッセイというよりは「自伝」に近いのかな。いや、私の記憶に残っているのが自伝的要素だけなのかもしれない。

正直、エッセイは好きじゃない。雑誌とか、Webでエッセイ的な文章を読むのは気にならないが、一冊の「書籍」として差し出されると、なんか敬遠してしまう。そもそも、日々の雑感を書いたものを、そんな大げさに世の中に提示しなくても良いんじゃないか、思うわけだ。

だが、しかし、今回、森見のエッセイを読んで、(書籍化された)エッセイの読み方を間違っていたのかもしれないと思った。

エッセイとは、著者の謎を読者が暴くために読むミステリなのかもしれない。こういう「感」を持つ人間とは、どういう人間なのかを探る冒険なのかもしれない。

なので、僕に残ったのは自伝的なところだけだったのかもしれない。もっと著者の謎に迫りたいと思う読者は、それ以外の文章から、ほんの僅かな糸口を見つけ出し、核心に迫るのだろう。

なので、エッセイを読むには、下調べも重要なことが分かった。逆に言えば、既に下調べが済んでいる人のエッセイを読むのは、とても楽しいに違いないと思った。



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