狂犬の眼:柚月裕子:遂に始まるのか…

「狂犬の眼」(049/2020年)

いやね、やっぱ、ヤクザには憧れてしまうわけですよ。もちろん、「必要悪」なんかじゃなくて「悪」ってことは理解していますよ。でも、なんでしょう、映画「ゴッドファーザー」然り、このシリーズ然り、圧倒的に惹かれてしまいます。

冷静に分析すると、ヤクザの中の格差がそういう気持ちにさせるのかもしれません。「人間のクズの10,000乗」みたいな反吐が出るような奴がいる一方で、チョットしたキッカケがあれば真っ当な世界でも成功し尊敬されるような人もいる世界、として描かれるため、後者の輝きが一層増すのだと思います。

本作で言えば国光。ただの人殺しですよ、確かに。最低です。でも、ヤクザの中には、人は殺さないけどもっと最低な奴らもいるので、逆に国光の「筋」が際立つのでしょう。普通の社会で、この対比関係は存在しませんから。「筋」で人を殺す人はいません。昨年の元官僚が引きこもりの息子を殺めるというようなレアケースはありますが、基本的に一般人は、欲・恨・嫉で人を殺します。もちろん、ヤクザでも欲で殺す場合もありますが、それは只のクズパターンです。

そんな世界で生きることを決めた日岡、ついに動き出します。日岡の「筋」はどこにたどり着くのか…「暴虎の牙」もう出てるんですよね。う~文庫化まで待つのがつらいですが、ここは待つとしましょう。この待っている時間が、僕の中の日岡を成長させてくれるのです。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?