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愛と髑髏と:皆川博子:エロスはエロくない

「愛と髑髏と」(7/2022年)

幻想とリアルが入り混じる世界にようこそ、って感じの短編集。1985年作品とのこと。タイトルからして攻めてますよね、もちろん、中身はもっと攻めているのでご安心を。基本的にはサスペンス、ミステリ。短い時間で過剰なコンテンツが押し寄せてきます。

「風」「悦楽園」「猫の夜」「人それぞれに噴火獣」「舟唄」「丘の上の宴会」「復讐」「暁神」の8つの短編。女性の性的な思い、願い、欲望、といったものが底辺に流れています。

「猫の夜」はちょっと毛色が違います。「時計犬」がメインの物語。「なにそれ?」と思ったら、読みましょう、驚くべき犬が登場します。かなり刺激的です、脳みそが沸騰します。

「人それぞれに噴火獣」、エロい。子供もエロスを持っているという衝撃的な事実、心に刺さります。「舟唄」も人と人との繋がりとエロスの境界線上を彷徨う女性の物語、とても不安定で読んでいて不思議な気持ちになります。

性的関係のみでしか証明することが出来ない何か、それを求める作品たち。エロくないんです、このセクシャルな人間たちは。呼吸をするようにエロスに身を投じる姿を「愛」と呼ぶのかもしれません。

それにしても、皆川博子の作品の幅の広さには…衝撃的すぎます。


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