ダリの繭:有栖川有栖:みんなの嘘が作り上げた現実
「ダリの繭」(34/2022年)
犯人だけじゃなく、複数の登場人物が、それぞれの理由で嘘をついているから、非常に難解な事件となってしまう。実に本格的。ここまで嘘に嘘を重ねてもストーリーが崩壊しないなんて、見事過ぎる。
大手宝石店チェーンの社長が死体で発見された、それも「繭」の中で。不可解な犯行現場からスタートする謎解きは、容疑者候補は次々と出てくるが、どうも違う、何かが違う。
容疑者が嘘をついている。でも、その嘘の理由がそれぞれ違う。その微妙なズレが、そして、徐々に明らかにされる事実が事件を複雑にする。読めば読むほど犯人が、動機が、トリックが分からなくなっていくにだが…
そこから一気に謎が解かれていくエクスタシー。次々と腑に落ちていく快感。火村シリーズ第二弾、勢いを感じます。
さらに、火村と有栖川の過去も知ることが出来て、満足度高し。
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