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ブラウン神父の童心:G・K・チェスタトン:古典、万歳。

「ブラウン神父の童心」(47/2022年)

タイトル、素敵です、ナイス翻訳。12の短編集。
「青い十字架」「秘密の庭」「奇妙な足音」「飛ぶ星」「見えない男」「イズレイル・ガウの誉れ」「狂った形」「サラディン公の罪」「神の鉄槌]
「アポロの眼」「折れた剣」「三つの兇器」
1911年作品です。ブラウン神父のデビュー作、ミステリの古典の傑作、Kindleがなければ、多分未読のまま死んでいたでしょう。

少し昔の作品なので、やはり読みずらいです。でも、ミステリの芯の部分は現在のミステリの基礎となっているわけで、実にソリッドで刺激的。本当はいけないのですが、解釈しにくい周辺状況の部分は読み飛ばしても、ちゃんと分かります。結論を知ってから、再度、その時代の風景や人々の心情を振り返っても良いかと思いました。

それにしても「秘密の庭」は衝撃的でした。え、2編目でこれですか…チェスタトン、恐るべし。このスピード感は凄すぎる。
また、最初は犯罪者で登場した人物が、いつの間にか仲間、助手的存在になっているところも凄いです。これは20世紀初頭という時代背景もあったかもしれませんが、新鮮でした。
「アポロンの眼」は、今のミステリに大きな影響を与えていますね。このトリックは永遠に不滅かと。
「折れた剣」があの名言「木の葉を隠すなら森の中」の源だったとは、今、気が付きました。当たり前だと思っていたことの発明の瞬間を知るなんて、なかなか貴重な体験です。

名作は名作ですね。改めて実感しました。生きているうちの、もっと過去の名作を読みたいです。

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