祝祭と予感:恩田陸:あのシーンが甦るかもしれません

「祝祭と予感」(67/2022)

「蜜蜂と遠雷」のサイドストーリーが6つ。あのコンクールを挟んで、過去と未来の話があります。「蜜蜂と遠雷」必読ですのでご注意ください。読んでいないと99%理解不能かと。

「祝祭と掃苔」は未来の話です。お恥ずかしながら掃苔という単語の意味を初めて知りました。素敵な日本語を知ることが出来てラッキーでした。

「獅子と芍薬」は過去の話。コンクールというバトルフィールドの中で、こんなドラマがあるなんて。そう、ピアニストも職業なんです。ピアノを弾いているだけではないんです。

「袈裟と鞦韆」は過去の話。『春と修羅』の誕生にもこんな豊かな物語があったなんて、、、これは沁みました。音楽って良いですね。

「竪琴と葦笛」は過去の、師弟のお話。師は弟を選ぶ、そして弟も師を探し求める。このマッチングの失敗でどれだけの才能が消えていっているのでしょうか、と思ったのですが、良い師弟関係を築くことも才能なんですね、それもかなり大きなウェイトを占めるのでしょう。

「鈴蘭と階段」は未来の話。本作品では目立たなかった浜崎奏が主人公の楽器のストーリーです。楽器で道具なんですが、こんな世界を魅了する道具ってありませんよね。

そしてラストは過去の物語、「伝説と予感」。天才誕生の瞬間、じわじわ来ます。

素敵な読書でした。恩田陸に感謝です。

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