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スケルトン・キー:道尾秀介:賛否両論も楽しいぞ(ネタバレ無しです)

「スケルトン・キー」(80/2021年)

主人公はサイコパスです。サイコパスとは何か、様々な解説があるので、そこは自分で確認してみてください。もちろん、本作品内でもサイコパスに関する説明はあるので大丈夫です。

主人公、錠也はサイコパスのようだ。恐怖を感じないので、他人よりも効率的に、迅速に、的確に物事を進めることが出来る。

2歳の頃、母親が殺されて以後児童養護施設で生活をし、出てからヤバめの仕事をしている錠也であるが、徐々に出生の秘密が明らかになってくる。サイコパスを自覚しているだけに、このままサイコパス度が高まると、何かとり返しのつかない事をしてしまうのではないか、不安になる錠也であったのだが、事件は、起きてしまった…

さて、以後はネタバレになるから具体的には書きませんが、このトリックというか仕掛けというか、ストーリー構成は賛否両論みたいですね。

このトリックならではの高速展開サスペンスが楽しめるとういうのが前向きな意見。これは映像化とかしたら面白い演出が期待できそうです。あの人と会話しているシーンとか、慌てて読み返しましたから。またシンプルなアクションシーンも多いので、エンタテインメントしてます。

後ろ向きな意見は、やっぱ、このトリックは「禁じ手」だよ…というもの。確かに道尾作品に対する過度の期待があるので、若干肩透かしをくらった感じではあります。緻密なミステリを求めるならば、オススメしません。

この賛否両論ですが、結局、道尾秀介という作家が好きだから、発生するのだと思います。読者一人一人の中に、それぞれの「期待する道尾」という作家がいて、実際の作品が期待通りだったのか、期待を良い方に裏切ったのか、悪い方に裏切ったのか、この3パターンは読者によって異なるのは仕方ないことです。今回は「否」だった人も、また次の道尾作品を読むはずです。

個人的には、新しい道尾スタイルがここから始まっても良いな、と思いました。極めて映像的でスピーディーなサスペンス系です。この主人公でシリーズものとか書いてくれたら、間違いなく追いかけますよ。

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