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導入事例の闇について語りたい

今回は世の中のシステム営業が好んで話をする導入事例について、だれも語らないがあるので語っていこうと思います。

この導入事例、売り手側はもちろん、買い手側も気にしています。
私が営業をしていた際にも必ずお客様から「事例教えて下さい」と聞かれていました。
みんな事例が大好きなんです。

今回のトップ画像も、様々なソフトベンダーの実際の事例を参考にして貼り付けています。(*特定できないように修正をかけています。)
見てください。この華々しい事例たち。

・商談数250%増、新規獲得2倍!
・案件数3年で4倍!
・受注件数3倍!!

嘘だったら色々と問題になるのでデータ的に嘘じゃないハズです。
でも、があるんです。

導入事例に隠された闇

最近の売上2倍とか、受注件数3倍とか、こういう向上系の効果を語る導入事例は非常に闇が深いです。

皆様にも考えて頂きたいのですが、
システムを導入しただけで売上が2倍、3倍になるものでしょうか?

結論はNoです。
長年ソフトウェアの営業をしていた私が断言します。

システムやソフトウェアによって直接的に売上が上がるなんてことはあり得ません。
基本的には業務効率化によるコスト(時間)削減のみです。

その空いた時間を使い、集中するべき業務に取りんでくださいね。
というのが本来の効果です。

でもどうでしょう。
ベンダーが出す事例は、あたかもシステムの導入によって売上が上がったかのような表記をしています。

システム導入2年で売上3倍に!

とか。
これは親切ではありません。

◯元々200%や300%の急成長中の会社がそのシステムを入れた
☓システムを入れて売上が200%の成長をした

これが真実です。

もちろん、システムによる効果が無いとは言いません。
ただ、「売上200%アップはすべてシステムのおかげ?」
と聞かれたら、Noなのです。

根拠のない投資対効果(ROI)

営業が提案をする際に、投資対効果を根拠に価格の正当性を主張してきます。
ですが、注意してください。その投資対効果は何の根拠にもなっていません。

例えば、
導入1000社における、平均向上効果
のような資料を持ち出してきて、

売上:平均20%UP
商談単価:15%UP
成約率:30%UP

これをベースに計算し、
貴社もXX円の売上UPです。投資対効果が出るので買うしか無いですね。」

なんて平気で提案してます。

もう、何の根拠もありません。
この平均の向上効果の中には、スタートアップで爆速の300%成長の会社や、長年横ばいの超大企業も含まれたりしています。

ここで2つの疑問です。

①その状態で平均出して何の意味があるんでしょうか・・・?
②そもそも、システムのおかげで売上が上がっているの・・・?

何も根拠は無いんです。
でも、ベンダーはコレをベースに平気な顔で提案をしてくるんです。
今までいろんなベンダーから提案を受け、「効果出ますよ?」と言われてもピンと来なかった方、その理由はここにあります。

前述をした通り、システムによって得られる効果は、
業務効率化によるコスト削減のみ
です。

システムの提案で向上と言う名の投資対効果はすべて根拠はありませんので、真に受けてはいけません。

そもそも、投資対効果自体が鉛筆舐め舐めの机上の空論になりがちです。
それを更に何の根拠もなく語ったら最悪です。

営業がキャッチーな投資対効果を語りたい気持ちもわかりますが、事実では無いことをお客様に伝えるというのは、営業として正しい行為ではないので、ぜひお控えいただければと思います。

私がここを熱く語る理由は、前々職で非常にお世話になった上司です。
常に口酸っぱく言われていました。
今でも私が投資対効果を考えるときの原点になっています。

「投資対効果は胡散臭い。
正当性を持たせたいなら、現場でストップウォッチで計測してこい。
その上で何分削減できたか計算する。
それでもまだまだ信用されないからな。
そもそも、石井が胡散臭いからなw」

なので、私が本気で投資対効果を計算するときはストップウォッチで計測をします。

Tips:年収から分給を計算する方法

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事例を求める買い手側の問題

ここまで、売り手側の事例の使い方問題を中心に記載をしてきましたが、
買い手側も大きな問題を抱えています。

いろいろな提案を受け、意思決定をするタイミングになっても、踏ん切りがつかない。
そして、どの企業も口を揃えて「事例を教えて下さい」と言うんです。

もちろん、似たような企業、似たような使い方をしているところを見て安心したいのかもしれません。

十分検討してもらうのも大切です。

しかし!!
場合によっては事例が無いことが成功の秘訣かもしれません。

例えば、近年語られることが増えたデジタルトランスフォーメーション(DX)については、国内でまだ取り組み自体が少ないんです。

その様な計画において、国内の競合企業が取り組んでいる事例を聞いたところで、それは二番煎じでしかない。
つまり、事例があることがマイナス方向に働く可能性があるということです。

もちろん、すでに成熟しているようなシステムの場合は事例が重要かもしれませんが、それって守りのIT投資の可能性が高いです。

攻めのIT投資の場合は、事例が無いことが成功の秘訣という可能性についても考慮いただけたらよいかと思います。

買い手が正しい判断をできれば解決する

最近私がよくいろんな方とディスカッションするのは、システムの価格の正当性です。

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例えば、缶のコーラが120円という価格について、
多くの方が妥当だ、と即答ができます。

しかし、Salesforceのsales cloudが1ユーザで18,000円/月という価格が高いのか安いのか判断できる人が少ないのです。

システムやIT投資に対しての正しいモノサシを誰も持っていないからです。

なんか危険じゃないですか?
ベンダーの言い値で買っているのか。
それとも、ありえない無茶な値引き要求をしているのか。

売り手がいて、買い手がいたら需要と供給が成り立つはずですが、モノサシが無いのでわからない状態なのです。

もちろん、プロダクトマーケットフィットという考え方もありますが、
本当に高いのか安いのか判断する基準が必要です。

そこで、システム導入時に考えるべきことのフレームワークを弊社で開発をしました。
その名もIT投資で成功を掴むフレームワーク“GRABS”です。

こちらは、次回以降の記事でご紹介致します。
お楽しみに!!
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