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Salesforceの商談フェーズの概念は秀逸だが、完コピはできないし、勘違いも多い。

今日は久しぶりに営業のことを書こうと思います。
タイトルどおり、Salesforce(SFAで設定する商談フェーズ)の概念について聞かれることが最近増えてきたので、改めて解説をしようと思います。

僕は過去のnoteで、Salesforce流の商談フェーズについて解説をしたことがあり、かなり多くの反響を頂き、嬉しい限りです。

この中でSalesforce流の商談フェーズは8段階で設定されていると解説致しました。

フェーズ

商談フェーズの概念は非常に秀逸

特に秀逸な点は2つあります。

お客様の意思決定の進み具合に沿う
→お客様と導入までの意思決定において、具体的に合意した“事実”に基づいて進む

社内での共通言語化
→その案件について、進捗を定量的かつ、誰もが同じ認識で把握をする

ポイント

まず、この2点が最大のポイントだとご理解を頂きたいです。

ですので、見積書を提示した等をフェーズに設定することは、売り手側の勝手な都合なので全くの無意味であり、
仮に見積の提示を商談のフェーズとして設定するのであれば、
「見積に対しての可否をXX日までに返答もらうことを合意」した状態でなければ意味がないと思っていただければと思います。

Salesforceの商談フェーズ8段階は完コピできるか?

これも多くいただく質問です。
「弊社もSalesforceさんと同じ内容で商談フェーズを8段階に設定しました」

これ、結構失敗すると思います。

このSalesforceの商談フェーズの概念は非常に秀逸である一方で、Salesforceの営業向けに最適化されたフェーズ設計であることを忘れてはいけません。

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SaaSの営業においては、
複雑性×価格の2軸で営業スタイルを考えるという、SaaS Sales Modelというものが存在します。

Salesforceの商談フェーズ設計は、

・SMB(中堅、中小企業向け)
・ある程度高単価な商材(ACV100万円以上)
・インバウンド

この3点つの掛け算であることを想定していると僕は考えています。

このSaaS Sales Modelで表すと、このあたりでしょうか。

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商談フェーズの落とし穴

これは、Salesforceの社内であっても、大企業に複雑な提案を行う場合、あることが発生します。

それは、商談フェーズが全く動かない案件が大量発生すること。

特に、先述の商談フェーズでいくと、2,3あたりで止まってしまう案件が大量発生します。

商談フェーズが長期間動かない案件は、マネージャ目線で客観的に見るともう見込み外なのかなと思いますし、営業本人も、フェーズが動かないことでモヤモヤしてしまうことがあります。

一方で、Salesforceのマーケティングのチームやインサイドセールスのチームは非常に優秀で、SMBの役員レベルのアポイントをバシバシ取ってくれます。

僕がSalesforceでSMBの営業だったころ、マーケやISのお陰で初回から決裁者や役員との面談を行うことが多かったため、
僕は商談フェーズは4つしか使っていませんでした。

1=インサイドセールスからパスを受ける
2=課題特定と解決策の合意
5=最終交渉
8=受注

よく上司から「商談フェーズの管理が雑」というご指導をいただくこともありましたが、僕は割とこの4段階でことが足りてしまっていたのも事実です。
(うるせーなー、これが実態なんだよ・・・とは、流石に言ってませんよ)

逆に、SIer時代やZuora時代は大企業を担当しており、前述のフェーズでいくところの、2や3でストップし、全く進まないという案件も大量発生していました。

ここでは、停滞している案件を把握するという意味では有用であると思うものの、すべての企業がSalesforceと全く同じ商談フェーズ設定を完コピできるわけではないとお伝えしたいと思っています。

考えるべきはカスタマージャーに沿った商談フェーズ

先程も書きましたが、商談フェーズのポイントは、
お客様の意思決定に沿うということです。

ポイント

となると、Salesforce流の商談フェーズ設定は、すべての企業が完コピできるわけではないとご理解いただけると思います。

ここで考えるべきは、カスタマージャーニーだと僕は思っています。

カスタマージャーニー自体の説明は、MarketoさんのWebの情報を見ていただければと思いますが、あくまでお客様起点での意思決定の流れを構築するべきなのではないでしょうか。

簡単な商材×低単価×インバウンド×決裁者に会える商材

このような商材の場合、8段階の設定をするよりも、
もっと商談サイクルも短く、お客様の課題も明確になっていることが多いです。

Salesforce流でかなり重要な部分としては、フェーズ2の課題の特定と解決策の合意なのですが、このような場合はすでに解決策まで明確になっていることが多いと思います。

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そのような場合は、もっと簡易的に、

・初訪(As is-To beの確認)
・デモによるFit&Gap
・スケジュールと価格合意
・受注

というような設計のほうが適切でしょう。
業種特化型のバーティカルSaaSなんかもこの設計のほうが実態に近いのではないでしょうか?

大企業×高単価×複雑性の高い商材

この場合、かなり複雑性が高く、業務フロー(ワークフロー)の把握と変更、更には、既存システムとの連携やアーキテクチャなども考慮する必要があります。

そういった場合、営業だけで案件をすすめるのは非常に危険性が高く、技術営業やエンジニアの方に同席頂き、技術要件部分を抑えていく必要があります。

また、大企業の場合、上申したときに上位役職者からちゃぶ台返しを食らい、今までの提案が水の泡になることも多く、いち早く、決裁者やChampionといわれる、重要人物との接触が必要となります。

過去に解説しています。

となると、

・ターゲティング
・ビジネスゴール確認
・課題の特定と解決策の合意
・トップアプローチ
・スケジュールと価格の大枠合意
・トップより、現場をアサイン頂く
・現場に対し、SEを交えて技術要件などの確認とFit&Gap
・リーガル等の手続き確認
・契約手続き
・受注

といったフェーズ設計のほうが実態に沿っていると思います。
(簡易的に書くとこんな感じでしょうか)

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商談フェーズは変わっていく

一度設定した商談フェーズはずっと固定するものではないと僕は思っています。
今は自分でSaaSのプロダクトを開発しています。
初期は経営層の知り合いからアプローチするパターンや紹介が多いと思いますし、マーケティングチームが組織され、インバウンドのリードが増えればそれに沿った商談フェーズ設計が必要になりますし、
プロダクト自体が成長し、大企業にアウトバウンドでアプローチができるようになった場合も、商談フェーズは変わると思っています。

ですので、商談フェーズ自体をどこかの企業から完コピするのではなく、
ポイントなる2点

お客様の意思決定の進み具合に沿う
→お客様と導入までの意思決定において、具体的に合意した“事実”に基づいて進む

社内での共通言語化
→その案件について、進捗を定量的かつ、誰もが同じ認識で把握をする

を改めて考えられると良いかと思います。

また、「御社の想定しているカスタマージャーニーはありますか?」と伺うと、作られている企業はほとんど無いのが実態です。
改めて、お客様起点×自社のポジショニングを意識し、商談フェーズを設定いただけると良いなと思っています。

カスタマージャーニーや商談フェーズ設計にお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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