一発で刺さるデモとその極意を考察する
今回は一発で刺さるデモとその極意を考察します。
この内容を書くにあたり、デモのテクニックについて言及している情報が存在しないか調べてみましたが、良さそうな内容が見つかりませんでした。
ですので、超実践的なデモのテクニックを日本語で解説する初の記事になると思います。
製品デモが必要となる業種の方、特にSaaSに関わる方はドンピシャで参考になると思います。
そんな偉そうなことを書いている僕も、昔はデモに対しては苦手意識がありました。
理由は簡単で、良いデモを勘違いしていたからです。
よく外資系のIT企業が年に1回のカンファレンスで最新のテクノロジーを披露する、キラキラしたデモ。
そんなデモが良いデモだと思っていました。
でも、違います。
今回テクニックをご紹介する良いデモの定義は、
営業が普段実施をする、
「見たら思わず買いたくなっちゃうデモ」
です。
営業的(特にSaaS)に習得してほしいデモのテクニックなのです。
まず、デモと何か前回のnoteのおさらいをしていきましょう。
おさらい
まず、本題に入る前にデモってどういう位置づけかおさらいをします。
上記の2記事においてお伝えしたいを本当に圧縮すると、
刺さる営業資料=1回プレゼンをされたら、思わず買いたくなってしまう資料
そんな資料はストーリー仕立てになっている必要があり、
その手法として、「3つの部屋」という考え方があります。
3つの部屋とは、
①市場の変化の部屋
②価値部屋
③製品部屋
の3段落でストーリーを語るということです。
この中の製品の部屋がデモにあたります。
そして、僕が考える営業が実施するデモのあり方は、
市場の変化の部屋、価値の部屋で語った内容について、
それは壮大な夢物語ではなく、実際にできるものであること。
その証明=デモ
と捉えています。
では、超実践的な内容を書いていきます。
①デモには主人公が必要
今回お伝えしたいことの大部分はココです。
大前提ですが、デモはストーリー仕立てである必要があります。
そのためには誰かを主人公に仕立てなくてはいけません。
勘の良い方はお分かりですよね?
答えは、自社サービスを使ってあるべき姿に変革した、数ヶ月先のお客様を想定し、主人公にしましょう。
ここからストーリーは始まっています。
良いデモはそれを踏まえて、ログイン画面やホーム画面から説明が違います。
一般的なデモの一番最初のトーク例
これがログイン画面ですので、まずログインしていきます。
そして、最初に表示されるのがホーム画面です。ここには様々な情報が表示されていて、変更も可能です。
では、具体的に経費の承認の流れをご紹介します。
こちらの承認依頼というところをクリックして・・・
一発で刺さるデモの一番最初のトーク例
今日は「経費精算の時間は無駄だからとにかく0に近づけたい!」とおっしゃっていた○○株式会社のXX部長(架空)が、弊社のサービスを使って経費精算業務を0に近づけて、本業に集中するような変革をしていったのかというストーリーでお話します。
前提として、月末最終週で営業の数字はもちろん、事務処理も大変だという状況でお話します。
まず、最初のログイン画面ですが、こちらにはIDとパスワードを入力するだけでログインが可能です。
クラウドサービスですので、場所や端末を問わず、インターネットに繋がった機器があるだけで簡単に利用頂けます。
そして、ログインするとホーム画面が表示されます。
こちらには、必要な情報がすべて集約されているので、自らどこかをクリックして見に行く必要はございません。
ここで、右下の方に山田さん、田中さんから承認依頼というものが飛んできているようなので、早速確認をしていきましょう・・・
今回は経費精算システムを例に話をしてみたのですが、もう全然違いますよね。
ただの機能説明をしているだけなのか、実際のお客様を主人公に見立ててストーリ仕立てで話をしているのか。
これだけでお客様に与える印象が50%くらい変わると思っています。
ちなみに、ここまで完璧なデモを実施している人はほとんどいないです。日本のSaaSベンダーでこのレベルの人はほとんど見たことがない・・・
一方で、外資系のSaaSベンダーは徹底している印象があります。Salesforceでも売れている人はみんなストーリー仕立てのデモが上手でした。
②指示語の排除
良いデモにおいて、指示語は禁句です。
あれ、これ、それ、そこ、ここ、全部禁止です。
動画で見ていただいたほうがわかりやすいので、ついに動画に手を伸ばしました。
ダメな例
いい例
ダメな例のデモって本当に多いです。
ココをクリック、あそこをクリック。
わかりにくいので、目に見えるものをそのまま読み上げましょう。
今回の内容だと、
ココをクリック→右上の緑の投稿ボタン
と言い換えをしています。
また、実際にクリックする回数なんかを言うのも良いと思います。
他にも数値を表示しているのであれば、
こんな数字が表示されます→65%と表示されます
のように言い換えるのも良いです。
指示語でのデモを行うと、多くの場合お客様が迷子になってしまいます。そのため、目に見える情報をそのまま読み上げるというシンプルなことが、非常に重要になるのです。
(いい例といいつつ、途中で「あっ」って言ってしまったのはご愛嬌)
③マウスカーソルはでっかく
先程の動画で、「マウスカーソルでかくね?」と思った方。
そのとおりです。でかくしてます。
このほうが見やすくなりますので、必ず大きくしてください。
④データに遊び心をもたせる
デモデータはとても重要です。
会社名のデータ1つをとっても細部までこだわりましょう。
株式会社あああ、株式会社○○、サンプルデータ
こんな感じのデモデータを使っている方を多く見かけますが、ダメです。
ストーリー仕立てのデモをするんですから、もっとデータに小ネタを入れましょう。
自己満足でもOKです。自分が楽しくなるデータを作りましょう。
僕がSalesforceにいた時は、常に蟹江西株式会社というデータを使っていました。
Kanye Westのことなんですけど、これに一番最初に気づいてくれたのはPOPPERのCEOの栗原さんという方でした。すごく印象に残ってます。
ちなみに、この蟹江西株式会社の名刺情報としては、
松井秀樹さん、黒田博樹さん、田中将大さん、上原浩治さん、鈴木イチローさん、大谷翔平さんと、メジャーリーガーで統一してました。
こういうデータの遊び心は人を引きつけるので、ぜひ実践してみてください。
⑤WOWを獲得する
デモにおいては、必ず1つは凄いとか、WOWとか、そういった良い意味のサプライズをゲットしてください。
このWOWの獲得については、実際に何か動く部分や可視化をする部分、自動化される部分などがおすすめです。
Salesforceならダッシュボード
経費精算ならレシートの取り込み
会計ならアウトプットや自動連携
等の、視覚的にアプローチできる部分で必ずWOWを獲得しましょう。
また、WOWを獲得する前に良い先入観を持ってもらうトークが必要です。
僕は先にSo Whatを語ると言っています。
⑥先にSo Whatを語る(FAB)
だから何?を必ず語りましょう。
自動化されます、可視化されます・・・そういったのは、見ればわかります。
これはSalesforceのダッシュボードという機能を例にトーク例を書きます。
ダメな例
このダッシュボードという機能では、様々なデータをリアルタイムで集計し、常に最新状況を可視化することができます。
これだと、可視化できることしか語ってないですよね。
良い例
ダッシュボードはリーダーシップそのものを表し、チームメンバーが自発的に行動することを促します。
また、エクセルでは実現が難しいグラフの表記もワンクリックで表示、変更ができます。 そして、これらの情報は常にリアルタイム集計されているため、最新の情報を常にチェック可能です。
~デモ中略~
なので、このダッシュボードによってリーダシップを表し、自発的な行動を促すのです。
この例ではチームメンバーに自発的な行動を促すことがSo Whatにあたります。
このSo Whatを先に語ってから実際の機能であったり、動く部分をお見せしましょう。
先に良い先入観を持ってもらうことが大切です。
ちなみに、このトーク例はFABという古典的な手法で作っているので、興味ある方は各自でFABをググってください。
FABは各機能ごとに分解し、全ての機能毎にFABのトーク例を作っておくことをおすすめします。
⑦デモは最強のヒアリングツール
①の主人公の設定から繋がっているのですが、
デモは「自社サービスを使ってあるべき姿に変革した、数ヶ月先のお客様」
を表しています。
なので、あるべき姿(デモ)と現状のGAP(=課題)が必ず発生します。
つまり、デモを見せるとお客様の課題がヒアリングできるのです。
「デモではこうですが、御社の現状はどうやって対応されているんですか?」
と問いかけるだけで、簡単に深いヒアリングができるのです。
だめだ、まだまだ書きたいことがいっぱいある・・・
ですが、長くなってしまいそうなので、また気が向いたら書きます!
⑧デモシナリオにお悩みの方はご連絡を!
初回資料とデモシナリオの作成が私の一番得意な領域ですので、必要とあらばお手伝いいたします。
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