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SaaS(サブスク)の指標(KPI)を図式化してみた。

SaaS(サブスク)業界で使う指標を日本語に翻訳しようとしましたが・・・
断念しました。
無理でした。余計にわかりにくくなります。

じゃあ、どうしたら説明しやすいんだろうか・・・と少し考えました。

そこで、15年以上も前のことを思い出しました。

実は私、工業高専の電気科出身の理系です。(中退していますが・・・)
当時、ある先生が数学の授業のときにいつも言っていました。

お前ら、計算式なんか見てもなーーんもわからんだらぁ〜
そういう時はな、絵を書くんだ。図を書くんだ

当時の私のクラスが電気科で全員男という奇跡を20数年ぶりに引き起こしていたので、先生もテンション高めだったのを覚えています。

何で円の直径が2πrか考えてみろ。図にしたら簡単だ。
ほら・・・(自主規制)

では、早速、図にしていきます。

ACV

Annual Contract Valueの略語です。
日本語では年間発注金額でしょうかね。

BtoB SaaSの場合、年間契約が多く、新規で獲得した売上に相当すると思っていただけると良いと思います。

月間10万円の1年契約だと、年間発注金額は120万円ですよね?

なので、図式化するとこうです。

スクリーンショット 2020-05-23 21.59.50

TCV

Total Contract Valueの略です。
日本語にすると、合計契約金額です。

これは複数年契約の場合に使う指標で、
ACV×契約年数=TCVとなるので

先程のACVで3年契約だった場合は、

ACV120万円×3年=360万円
∴TCV=360万円

となります。

図だとこんな感じです。

スクリーンショット 2020-05-24 9.02.25

AOV

Average Order Valueの略で、
日本語ならば、平均契約金額といったところでしょうか。

1契約あたりの平均金額を表しています。

例えば、10件契約があった場合・・・

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その金額の平均値がAOVとなります。

この場合だと、177,000円がAOVです。

Annual Oder Valueのパターンだったり、
もっと極稀にActual Oder Valueのパターンもありますが、
今回はAverage のパターンでご紹介しています。

MRR

Monthly Recurring Revenueの略語です。
日本語だと、月間定期収益です。

んーーー、分かりにくいですねw

例えば、1月にサブスク契約を頂いているお客様が10社あったとします。
その10社のお客様の1月の利用金額の合計と考えたらわかりやすいかもしれません。

スクリーンショット 2020-05-23 22.12.20

なんかちょっと分かりにくいので、積み上げてみました。

スクリーンショット 2020-05-23 22.28.33

この方がいいかもしれませんね!

ARR

Annual Recurring Revenueの略語です。
日本語だと、年間定期収益です。

ざーーっくり行くと、MRRの12倍です。

なので、先程のモノをそのまま使うと・・・

スクリーンショット 2020-05-23 22.34.17

こんな感じですね!

今回は、
MRR=1,180,000円
これの12ヶ月分なので、

1,180,000×12=14,160,000

∴ARR=14,160,000円
となります。

ARPU

Average Revenue Per Userの略語です。
Average Revenue Per AccountARPAと言ったりすることもあります。
(厳密には、アカウントとユーザは違いますが、今回は割愛します・・・)

日本語だと、平均顧客単価になると思います。

こんな感じです。

スクリーンショット 2020-05-23 22.50.20

このARPUをMRRで出すパターンもあれば、
ARRで出すパターンもあって、これまたややこしいのですが、
とりあえずは、お客様にお支払いいただいている金額の平均値と考えたらOKだと思います。

Revenue Churn

Churnは解約なのですが、解約でも色んな見方ができます。
Revenue Churnは、お客様の解約によって減った収益のことです。

図式化すると、こんな感じです。

スクリーンショット 2020-05-23 23.07.09

今回の場合、80,000円がRevenue Churnとなります。

Customer Churn

これは、解約を金額ではなく、顧客数で見るパターンです。

図式化するとこんな感じです。

スクリーンショット 2020-05-24 1.58.42

今回の場合、2社がCustomer Churnになります。

Gross Churn

その月に解約で減った収益と、
月初のMRRの比率です。

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この場合、
5,000÷38,000=0.131=13.1%

となります。

Net Churn

その月に解約で減った収益と、
その月に既存顧客からの追加で増えた分の比率です。

Gross Churnに対して、増えた分も合わせて計算するパターンです!

難しい・・・w

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(減ったMRR-増えたMRR)÷月初のMRRなので、
今回の場合、
(5,000-4,000)÷38,000=2.63%
となります。

Negative Churn

これ、なんかすごくマズそうな名前なんですが、
実はめちゃめちゃ嬉しい言葉です。

Churn=解約
Negative=否定、反対。

つまり、解約の反対って感じに捉えてください。

マイナス×マイナス=プラスって感じです。

つまり、先程のNet Churnにおいて、
解約より増加の方が多い場合を、
Negative Churnと言います。

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(2月の減少分-2月の増加分)÷月初MRR
なので、今回は、
(80,000-170,000)÷1,180,000=-7.62%
となります。

マイナス7.62%の減少なので、
7.62%の増加ってことですね!!

Negative Churnは嬉しい♪

仮に、
月次のNet Churn2%
月次のNet Churn-2%(つまり、Negative Churn2%)
の状態で、1月にMRRが100万円だったらどうなるか計算してみました。

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その差は1年で1.6倍に・・・

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数%だから・・・といってナメてはいけません。
サブスクは複利なので、気づいた頃にはエグい差がつきます。
気をつけましょう。
(僕も気をつけます。)

NRR

これは、
Net Revenue Retentionもしくは、Net Retention Rate
の略語です。

無理やり日本語にするならば、売上継続率です。

2020年に100社のお客様がおり、
その100社をグループAとします。

そのグループAが来年いくら支払うか・・・という指標です。

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計算方法としては、
グループAの翌年のARR÷グループAの今年のARR
となるので、
この場合、

11,000,000円÷10,000,000円=110%
となります!

マイナスになる場合ももちろんあります。

来年のARRの方程式

実は来年のARRを計算する方程式があります。

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こんな方程式があります。
頭痛くなるので、図式化しますね!

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こんな感じです。

そして、ここのRevenue Churnにもう少しズームアップすると・・・

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そして、このACVにもう少しズームアップするとですね・・・

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(厳密には違うけど、ご容赦ください・・・)

とまぁ、こんな感じになっているのです。

でもっというと、
Quick Ratioというものがあったりするのですが・・・
底なし沼に入りそうなので今回は以上です!!

ぜひ、SaaS(サブスク)業界で使われる暗号のような言葉を、
しっかりとご理解いただければと思います!!

今回はどちらかと言えば営業向けの指標が多めですが、
また気が向いたら、
Quick Ratio,CAGR,GEI,LTV,CAC,Unit Economics,Burn Rateとか、
その辺りも説明していきます〜。


SaaSの営業×サブスクリプションの本質の正しい情報を書いていこうと思います! サポートいただけたら、リサーチ費用に充てたいと思います。 他にもHIPHOP好きな人と仲良くできると嬉しいです。