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【カクヨム更新】Page:54 無情の幸福 更新しました。
無情はどっち。
遥か遠い昔のことの気がしますが更新しております。よろしくお願いします。せっかくなので、新しいこういう告知の形式を改めようと思い、改装を試みることにしました。
解説
冒頭ちょこっと公開
噂話。お伽噺。まじない本。
誰もが知っているそれを、幼い頃の俺は信じて、友人らと別れた後の夕方遅くの門限寸前まで、布を捲り上げて地面と膝の皮膚を擦り合わせた。女々しくても、馬鹿らしくても、周りに見つかって非難されないように、人目を気にしながら。
「……ただいま、帰りました」
暗い玄関。出迎えは整然と並んだ靴のみ。俺はリビングの方へ向かう。カウンターキッチンの向こうで、母は上機嫌に料理をしていた。
はじめに
今回ヘッダーをみんなのギャラリーからお借りするに当たって「四つ葉って人に幸せをお裾分け的に皆さまアップロードしてくださるのに、いいのかこの内容の小説の更新ヘッダーに借りるのは!」とかなり悩みました。すみません、この内容でお借りして……。
さて。四つ葉ヘッダーに恥じない、四つ葉にまつわる短編です。
よくもまあ幸福モチーフの代名詞・四つ葉の話でこんなに暗くできるな、と顰蹙を買いそうな内容をしていますが、幸せになりたくて彼等は必死なのです。ジレンマ。
今回は、ヒイラギナンテンの兄・ミスター.マホニアと、セイヨウスグリの妹・ミス.グーズベリーの過去回です。
創作物における兄妹は見ていて微笑ましい筆者です、理想を詰め込んだ兄弟像をこれでもかと作中に出します、性癖かな。姉弟の方がより性癖ですが、兄妹も好きです。
兼ねてより色んな話数で、こいつら絶対に兄妹関係ねじ曲がってるだろ臭を匂わせに匂わせたため、どんなものがお出しされるかとヒヤヒヤする読者の方もいたのではないでしょうか。
満を持してのチラリズムです、まだ欠片くらいしかヤバさを見せていないつもりの筆者解説を始めます。
これは先行開示して大丈夫な情報なのですが、この兄妹のテーマは"相互無理解"です。お互いがお互いを理解していない、理解する気もないことを踏まえた上で、キャラクター補足を交えて書いていきます。
それでは今回の一人称視点メイン、ミスター.マホニアの話からいきましょう。
1.Mr.Mahonia-ミスター.マホニア(少年)
・Mt.Mahonia-ミスター.マホニア(ヒイラギナンテンの仕立て屋)
規則:??? 異能:???
ブティック・ベリーベリーの店主。ヒイラギナンテンの青年。
環獄では中堅であり、時折、昼間の中庭に出没する以外はブティックである寄宿舎の自室に籠っている引きこもり。店長、あるいは雑貨屋でのアルバイト時は比較的温厚に振舞っているが、素の彼は尊大な態度ばかり取ることや臆病な気質もあって人と関わるのが不得手。自身の被服技術を評価されることに何よりも喜びを感じ、他者からの失望を苦手としている。
ミス.グーズベリーの兄で、一見して彼女の理解者を自負したシスターコンプレックスをこじらせている人物……ようにも見えるが彼女本人の前では常に挙動不審であり、気まずそうにしている。
生前に関して後ろめたいことがあるようだが、その事象について頑なに口を割らない。
ふと思えば、マホニアの登場回って全然ないのですよね。これから描写を増やせると良いのですが。
今回関係のある記述でいくと、やはり"尊大な態度ばかり取ることや臆病な気質"という部分でしょうか。
何だか『如何にも。自分は隴西の李徴である』を思わせる記述だなと後から見た筆者は思うわけですが、少なくともマホニアは李徴子より単純なキャラ構造をしていると思います。
今作内でのマホニアは、人前では他者の言うことを聞くお利口さんです。対人用のペルソナ、外面は従順さを売っているわけです。これは環獄でのマホニアの接客態度に通ずるものがありますね……まともな接客描写が少ない!
反面彼は、もっと自由に自分らしくいたい、という不満を抱えています。そういったフラストレーションが原因で、周囲、特に親や大人が自己表現を許さない、望まない、と強く感じ、真実がどうであれそれらの人物が自分に敵意を向けたり叱責してくると思うに至るのです。
よく環獄キャラクターの中には、弟妹を可愛がることを強制される上の子と、それを理由はどうあれよく思わない下の子が登場します。マホニアは、元は自由意思で下の子と接している上の子ですが、作中で言うように彼は妹が嫌いです。
なにせ自分より才能があり、両親に大切に思われる、可愛い妹ですからね。
しかしまあ、妹についてあんな風に思って、あんなことしてたらシスコンは名乗れないでしょう。これには海より深い理由があるとかないとか。
今作は何度も前述しましたが過去回。ここで殴ったからこそ運命に歪みができて、マホニアは環獄内でシスコンになったとも言います。あまりにも歪なシスコンですがね……。
筆者視点だと、最初からグーズベリーのせいで運命が歪んでるために、ここでマホニアがああせざるをえなくなったとしか言えないのですが、正直殴るよりも「おかしいよ」って口にする方がまだ和解の道があったと思います。それを本人と両親が聞き入れてくれるのか、聞き入れるまで言い続ける覚悟はあるのか、というのはまた別問題です……。
ひとまず小学生に解決できる問題でないことは確かです。
ちなみに環獄には反抗期が家出したようなメルヘン男子がたくさんいるため(基本がメルヘン。筆者の手癖で女子と男子の精神性や趣味趣向が逆転しがちであるため)、環獄内であればマホニアの素の性格が臆病でメルヘンなことに大きな問題はありません。
過去生きていた世界ではメルヘン男子を露呈できなかった/できなくなったことがマホニアにとっての問題です。言っても覆せなったのか、いつの間にか言えなくなったのかは筆者もまだネタ詰めが甘いところです。そのうち決まります。
……勇気を持ってメルヘンを露呈して孤立した他のキャラクターたちがこっちを見てますね。君たちはまた別問題、別テーマなんですよ。おすわり。
話を戻して、彼の尊大な振る舞いは散々メルヘン趣向で苦しいからこそ、外で強がることが根っこにあります。男らしい振る舞いを履き違えていると捉えてもあまり誤解はないと思います。
しかしながら、誰だって今まで否定されてきた自分を周りが凄い凄いって褒めてきて認められたら気が大きく(なるかは分かりませんが少なくともマホニアは)なるでしょう。筆者はそう思っています。……そんな話今まで書いたっけ? 解説しておいて怪しいですね。言うほど尊大ではなかったような。
余談ですが、マホニアが開き直って、裁縫がしたい! デザイナーになりたい! と言ってたら何か変わるか、と聞かれればそれは限りなくNoです。
彼の夢は基本的にマイナススタートであり、技術もセンスもある程度しか身に付きません、良くも悪くも努力の方法が明後日なので。平凡で凡用で尖ったところがないデザインがいい人もいるでしょうが、世界的ヒットを出すような"売れるデザインになるか"という観点では、全く見込めないのですよね……。
では次にセットで描いたミス.グーズベリーのことを引用を交えながら話していきましょう。
2.Ms.GooseBerry-ミス.グーズベリー(少年の妹)
・Ms.GooseBerry-ミス.グーズベリー(セイヨウスグリの魔女)
規則:行く先々を美しく飾る(違反で枯れる) 異能:???
館内装飾係の1人。セイヨウスグリを体内にて生育する少女(自家結実性あり)。
環獄内でも古株と言われるほど長く留まっており、大体のことを把握している。場合によっては館長の癇癪から他の環察官を庇うこともある。活舌は悪いが肝が据わった自信家であり、自身の施す装飾及び衣装に絶対的な自信とプライドを持つ。そのため、飾りを外す、破壊する行為に対して取り乱すことがある。
本来は植物体だが、望んで人間の姿を取る。その理由は記憶の中の誰かに見つけてもらうためであり、その人と共に苺を食べる約束をしたと度々話している。しかし件の者は環獄及び彼女の生前の世界にも存在が確認されておらず、パラレルワールド由来のデジャヴ、あるいは前世の記憶に基づく存在を物心つく頃から有していたと思われる。
また男性に密着されると生気が抜ける様子が確認されており、彼女の生前に関わる事象とされる。
ミス.グーズベリーは、今まで何度となく準メインキャラ的な要素で出ておりますが、基本は本編の者なのでぼかし気味だったりします。
今作と関係のある解説の記述は……ないかもしれません。こじつけるならば、"絶対的な自信とプライド"の記述ですが、こじつけなんですよね。
彼女は過去回でも、手芸や裁縫に関わる立場の人間です。幼い頃から多大な期待を背負ってるわけです、裁縫に期待も何もあるかという感じですが、デザイナーになれる才能があると両親は思ったのでしょう。彼女はそういうキャラクターです。
その過去長らくかけて培われた技術、文字通り短い人生かけて伸ばした才能ですので、自分より才能がある人を認めたくないし、自分の技術を馬鹿にされたくないのです。それそのものが彼女のアイデンティティ、彼女自身なのです。
ちなみに、彼女は母親から強制されて裁縫を始めたわけではなく、マホニアがそういうものに興味を持っては怒られる姿を見て、兄と同じことをしたら怒られないに違いない! と裁縫を始めて才能を見出された、ということになります。
なので、彼女は裁縫そのものが好きなわけでも、作品作りに何か感じているわけでもありません。できたからやった。それで怒られなくなったから続けた。
あまりにも凶悪な解答です、欲しくて努力しても手に入らないマホニアを前に、グーズベリーは欲しくもないものを持って努力を強いられているのですから。
ところでこの兄妹、テーマが相互無理解だと上の方で述べました。
理解できないのではなく、理解しようと思えばできてしまうけど理解しないままの関係です。理解しないから険悪でつらいのに、なぜしないんでしょう?
理解したところでお互いに何ができるんでしょうね。
まずもって理解されたいなんてどちらか片方でも思っているのでしょうか。
そういうことです。
なお、グーズベリーはマホニアとの差別化で家族側が「男の子はこう育てて、女の子はこう育てたい」という教育方針を子に分かるほど明確に出しています。
よって子供視点ではとても息苦しいのは勿論、そういう教育思想の場合って子どもが思い通りに育たないことが親も苦しいのでは……という二重地獄を生み出しております。
親の苦悩についてまで描写を深める余裕はないのですが、文中表現から『元はグーズベリーの方が出来損ない』だったことが分かります。"教育"して、思い通りの娘ができてしまった、グーズベリーが両親の成功経験になってしまったのが、マホニアを苦しめる原因であり、この家族の失敗でしょうね。なまじ思い通りになるグーズベリーなので、思い通りにならなかったマホニアはさぞ腹立たしいでしょう。
また、彼女が四つ葉を千切った理由はその昔作ったキャラクター紹介をご覧いただければ少し分かるので、そちらを貼っておきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1694934524956-by3e2Iu18X.png?width=800)
別名、今見てもよく作ったな~シートですが、意外と本編ネタもSSネタも入れ込めていてキャラクター理解の深まるシートになっていると思います。書いている内にいろいろと設定ブレてそうでヒヤヒヤするシートでもあります。
これを見ればグーズベリーの幸福観はマホニアと違うことが分かるかと思います。幸福観の乖離によって本作最後のあれが起こったのです。天才と奇人は紙一重だし、得てして天才とは変態であるものです。ある意味グーズベリーは変態、異常性癖者なわけです。……性癖ってほど本人的に性癖ではないのかもしれないけれども。
ミス.グーズベリーをメインにした開示が基本的に存在しないのですが、彼女の真価は本編活躍時なので、こんなのじゃ足りないぜ! って読者はいつか年単位後で公開されるだろう本編もよろしくお願いします。
おわり 宣伝
それでは、ここら辺で今回の宣伝解説はおしまいです。お読みいただきありがとうございました。
次回更新は、いつでしょうか……いつかされますので、しばしお待ち下さい。まだ出来上がる自信がありません。執筆時間が取れないのです。
それでは、また目に留まった時にお会いしましょう。迷昧捺でした。
以下、宣伝のためのリンクのペタです。興味があれば覗いていただければ幸いです。
↑ミスター.マホニアの登場回です。
小さいピエロに靴を要求されるお話。
↑ミスター.マホニアの登場回です。
石像にウェディングドレスを届けるお話。
↑ミス.グーズベリー登場回です。
映画を見に行って気分を害するお話。
↑ミス.グーズベリー登場回です。
お仕事してたらトラブルになる話。
( ゚д゚)!!!!!