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509 頑張れ‼ 斎藤元彦 兵庫県知事「陰謀論とネット工作で大逆転!?」

はじめに

兵庫県の斎藤元彦知事への不信任案が可決されます。9月議会の初日に全会一致の可決という異常事態が想定されます。県政は、混迷と停滞の一途をたどっています。
今日の教育コラムでは、そんな斎藤知事が陰謀に巻き込まれこのような事態になっているという説やネット工作について少しお話をしてみたいと思います。

権力者たちが判断したこと

7つの疑惑という告発文から始まった今回の半年以上にのぼる兵庫県斎藤知事の問題ですが、何度も謝罪し理解を得るチャンスはありました。むしろ毎日が非を認めるチャンスの連続だっと言えます。
様々な問題はありますが、今日は最初の段階での問題についてのみ整理したいと思います。
「嘘八百・公務員失格・事実無根」と斎藤知事が言い放ったのは3月27日の記者会見でした。この時点で、懲戒処分を念頭に置いた調査が続いていました。犯人探しも行われ、恫喝・脅迫めいた事情聴取も行われていました。
遡ること3月21日の知事と4人の仲間たちの会議では、徹底的に調査するように命令出され、実行されました。
この時に過ちが生じました。それは、この文章が誹謗中傷性の高い、真実相当性の無いものであると決めつけられたのです。それも、告発文章に登場する人物たちによってです。ここではっきりしたのが、権力を有する者が、一方の思い込みで嘘であると決めつけたことです。
これにより徹底的な不適切な捜査が始まり、権限もないのに個人情報を違法に持ち歩き、外部に漏らし、事実を決めつけ隠蔽しようとしていきます。
さて、その後、パワハラやおねだりの話に移るわけですが、ここまでで重要な問題はもう発生していて、いくつかの法令違反が生じています。
つまり、パレードの真意もパワハラの真意もおねだりの真意も、この問題の次に重要な内容で幾つかはもしも事実なら刑法違反ですので、検察の捜査なども視野に入る内容です。つまり、第三者委員会に事実の確認を最初の段階で依頼しないことが、自分たちへの嫌疑を自分たちの手で調査し、一方的に結論付けて、公開の場で故人を誹謗中傷し、貶めたと言えてしまうのです。この「独裁国家のような権限行使」が問題なのです。

港湾利権との関係

以上のように告発文章の内容も問題ですが、その扱い方の問題が重要なのですから、公益通報だろうが誹謗中傷性の高い文章だろうが、第三者の判断を待てばいいわけです。それを怠り、調査の過程であるにもかかわらず個人攻撃をした独裁者的な振る舞いを反省すべきなのです。
では、告発文章の中身に大きな犯罪につながるものは無かったのでしょうか。それはまだ調査が進まなければわからないことも多くあるのが現状です。議会が解散となれば百条委員会も解散されます。そうなれば、2つの大きな疑惑に調査の手が伸びずに終わってしまいます。それが次の2つの疑惑です。
【手つかずの疑惑】
①2023年7月30日の斎藤知事の政治資金パーティーで、県内の商工会議所、
 商工会に補助金削減をほのめかせて、パーティー券を大量に購入させたこ
 とと兵庫県信用保証協会の保証業務を利用して、パーティー券購入を依頼
 させた。
②阪神・オリックスの優勝パレードの費用が集まらなかった際に信用金庫へ
 の補助金を増額させてキックバックした。

この二つの項目は、パワハラとおねだりに比べて犯罪に大小はありませんが、大変に大きな問題となり得るものです。

では、こうした疑惑をもみ消そうとする体質や手法が問題であるのに、なぜ港湾利権にメスを入れたために知事が罠にはまったという話になるのでしょうか。そもそもない事ばかりが書かれているのであれば、第三者に任せれば全部嘘だと証明してくれるのですから、当事者たちにとっては最も確かで簡単な手続きになるはずです。
しかし、彼らは心当たりがあったため自分たちの手で隠ぺいすることにしました。不当な目的で作られた文章であるというストーリーをつくりだしたのです。その際に職員によるクーデターという陰謀論を信じたわけです。
そして浮上してきたのがいかにも陰謀論らしく聞こえる「港湾利権」という話です。
そもそも、斎藤知事は税金の使途と公共投資のバランスが重要であるため港湾事業に関わる外郭団体の問題や地域間の公共投資配分の不均衡などが課題である述べています。また、この港湾事業の問題についても監査体制の強化や第三者委員会を活用した透明性向上を進めていくことを述べています。
一方で、自分は第三者委員会を活用せず不透明な調査を徹底しました。港湾利権という敵をつくり、行政改革をアピールしながらも自らの嫌疑に対しては権限を行使して隠蔽しようとしたわけです。

包括的外部監査

東京都監査事務局 参照

今回の港湾利権の問題というのは、県の外部監査が指摘したものです。これは、地方自治体自らのチェック機能を強化する目的のもので、独立性、専門性を充実させた監査機能です。地方自治法の改正で平成11年度から実施されるようになった制度で毎年度1回以上の実施が義務付けられています。県の特別職である監査委員が行うこれまでの監査委員制度とは違います。
県が契約した弁護士である包括外部監査人が、毎年テーマを決め、その監査の結果について知事・議会等に報告するものです。この監査の過程で見えたのが、兵庫県の港湾施設を独占的に運営する外郭団体に対して、県が不適切に低い使用料を設定していたということでした。
外郭団体は県に支払う料金が抑えられ、剰余金が14億円を超えて存在していたのです。剰余金は得た利益のうち、分配せずに積み立てたお金のことですから簡単に言えば、内部留保です。この余剰金について見えにくい形でため込んでいる点について兵庫県の包括外部監査は、改善するように求めたのです。
包括外部監査は、外部監査人が自ら特定の事件(テーマ)を決めて監査を行うものです。都道府県、指定都市及び中核市は、毎年度監査を受けることになっています。また、契約期間は1年ですが、同じ外部監査人と契約が長期にならないように連続した契約を制限したりしています。
その上で、兵庫県でも包括的な外部監査が行われ、問題点を知事や県、議会に報告したわけです。知事がこの問題のメスを入れたという指摘は正確ではなく、外部監査が指摘した問題を改善したわけです。つまり、今回の告発が港湾利権に手を出した報復というのはあまりに飛躍した論理なのです。
告発でパワハラの一部実態や公益通報者への不当な扱いが明らかになってきたのは事実ですし、パレードの寄付の問題は大阪地検に告発もされていますが、問題は告発文章を権力者が自分勝手に判断し、権限を行使して独裁者のように処分したことなのです。

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