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176 大学入試

はじめに

大学入試の実態は、今の親世代の受験とは少し違っています。ですから、子どもの受験スケジュールを詳しく知りたいけれどイメージが持てないという声を聴くことがあります。
まずは、大学入試の方式には、大きく分けて、「一般選抜」「学校推薦型選抜(公募制・指定校制)」「総合型選抜」の3種類があることをおさえておきましょう。
そして、大学入試センターが実施する「大学入学共通テスト」と各大学が独自に実施する「個別試験」があるという順番です。
今日の教育コラムでは、大学入試のスケジュールに役立つようなお話をしてみたいと思います。

変化

大学入試の変化の中でもっと押さえておきたいことは、「AO入試」や「推薦入試」による入学者の増加が顕著であるということです。文部科学省の調査によると、国公立大学と私立大学の入学者全体のうち45.2%が推薦・AO入試によるものだと発表されています。

大学入学者選抜関連基礎資料集(文部科学省)
大学入学者選抜関連基礎資料集(文部科学省)

大学入学者が全体で約60万人とすると「推薦入試」で入学した人は20万人で、「AO入試」で入学した人は5万人となります。この両方で約半数の人が一般的にイメージの強い筆記試験ではない形で入学していることがわかります。そこで気になるのが、筆記試験ではなくどんな試験でこんなにも合格しているのかということだと思います。

スケジュール

国公立大学の入試日程を見ていきます。受験の日程の順に並べてみると国公立大学の場合、次のような順番に試験が行われます。
【1】と【2】の試験を受ける約半数の高校生は、年内に進学先が決まるということです。【3】【4】に該当する半数は、年度末まで進学先が決まらない状況があるということです。

【1】総合型選抜の日程
  ・出願:9月以降に開始
  ・入試試験:10月上旬~11月中旬
  ・合格発表:11月下旬

【2】学校推薦型選抜
  ・出願:11月上旬
  ・入試試験:11月中旬~12月中旬
  ・合格発表:12月以降

【3】共通テスト
  ・出願:9月下旬~10月上旬
  ・共通テストの試験:1月中旬

【4】個別試験(2次試験)
  ・出願:1月下旬~2月上旬
  ・前期日程:2月下旬
  ・中・後期日程:3月中旬
  ・合格発表(前期日程/中・後期日程):3月上旬/3月下旬

試験の違い

現在、各大学が合格者枠を広げているものに学校推薦型選抜があります。合格者の枠は、国公立大学においても「一般選抜」に次いで多く利用されています。しかし、この学校推薦型選抜は受けたいからと言って誰しもが受験できるわけではありません。
各受験希望者には、出願する時点で厳しい条件があります。学校での「成績基準」を設けている大学もありますし、推薦人数が制限されていることもあり、出願前に学校内で選抜が行われることもあります。
それに対して、総合型選抜(旧AO入試)は、学力だけでなく、学ぶ意欲や学びに対する適正、個性・能力など、受験生の可能性を評価する入試という特徴があります。
そして、皆さんおなじみの一般選抜となりますが、この試験は大学入試の中でも最も多く利用されている入試方式なわけです。現在、国公立大学が行っている一般選抜は、「大学入学共通テスト」と各大学が個別に行う個別試験(2次試験)の大きく2種類があり、この2つで合格を目指すわけです。

違い

総合型選抜と学校推薦型選抜・一般選抜の違いを簡単に説明すると、学科試験の評価が中心かどうかだと言えます。大学や学部によっては面接や口頭試験があるところもありますが、基本的に一般選抜は紙の試験が全てです。
総合型選抜は、書類審査と小論文と面接が主な試験の内容と考えてよいでしょう。そこに共通テストの結果も影響する場合がありますが、学生の力を学科試験だけで見るのではなく、様々な角度から評価するというものだということです。
また、総合方選抜では、大学はそれぞれにアドミッションポリシーを提示しています。これは、簡単に言うとどんな学生を入学させたいと考えているかというメッセージだと考えればよいでしょう。
つまり、面接やディスカッションで大学は、受験生に対してアドミッションポリシーに適している受験生を選抜していきます。
一般選抜は得点が全てですが、総合選抜では大学側が求めている人間であることをアピールすることが重要であるということです。ちなみに、学校推薦型選抜というのは、受験者が所属する高校が推薦する学生が合格に足り得る人物であるかを見極めるための試験になるわけですから、高校生活で積み上げてきた成績や経験などの書類上の成績が重要性をもつわけです。
このように入試のねらいや選考のポイントが明確に違うことを認識しておくことで、中学校から高校までの間にどのような学習を重ね、広げていきたいかを考えることにも活かせるように思います。

自分の大学入試プランを想像しておこう

①学科の学習が苦手だけれど、やりたいことに関する研究が得意
②学科の学習が得意だけれど、まだ何か打ち込みたいものが見つからない
③得意なものがしっかりとあり、そのことに自信がある
④時間をかけて自分で資格を取ったりしていくことは得意だがテストは苦手
⑤いろんな経験を重ねていくことでもっと自分の世界を広げたい
⑥毎日の授業や学校生活を真剣に取り組み、コツコツ成果を残していきたい

あなたはどんなタイプの学習者ですか。多様性があるのが普通でそれぞれが自分の学び方をもっています。大学入試もそうした多様性に対応したものになりつつあります。
①と②のタイプには大きな違いがあります。①でしたら総合型選抜を目指して自分の研究をまとめたり、発表したり、関連するコンクールや研究でもしも実績を残せたとしたら受験に際して大きな力になるでしょう。
一方で②の場合は、5科目7教科の成績を高めていくわけですから、多様な経験を重ねていく活動に用いる時間や特定の分野に力を注ぐ力を全教科に振り分けるわけですから学び方は違ってきますし、①とはまた別の苦労があるわけです。そして、筆記試験の1発試験に強くならなければいけないので鍛える部分がまた変わってきます。そうして、広げて学ぶことで大学に行ってやりたいことが見つかった時に培ってきた力を用いる準備をしていると考えればよいわけです。

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